ペルム紀の海のモンスター、シカマイアを復元する

生命史
Tomoki Kase

加瀬 友喜(かせ ともき)
生命史研究部
名誉研究員

貝類化石から生物の進化や 絶滅を研究する 

貝類の化石記録は古生代初期(5億4000万年前)にまでさかのぼります。貝 類の化石は地質時代を通じて豊富に産出するので、地質時代を追って進化や絶滅の研究に適しています。私の研究室では日本列島や東南アジアの貝化石の分類や古生態の研究を進めています。ここでは、最近筑波大学の大学院生と取り組んでいる 古生代ペルム紀のシカマイアについて紹介します。

シカマイア

シカマイアは、はじめは所属不明の動物の化石とされていま したが、その後研究で、二枚貝のなかま(アラ トコンカ科)であることがわかりました。殻 は最大1mにも達し、前後に強く押し潰され、「ペルム紀の海のモン スター」ともいうべき異様な姿かたちをしています。シカマイアのなかまはペルム紀の熱帯の海に生息し、日本では岐阜県大垣市の赤坂石灰岩などから見つかっています。その名称 は古生物学者の故・鹿間時夫博士に由来 します。

シカマイアの殻を石灰岩中から取り出すのは困難ですが、安里開士さん(筑波 大学院生)の1年におよぶ地道な剖出作 業の結果、その姿かたちがはっきりとして きました。赤坂石灰岩や岐阜県内の他の地域には未研究のシカマイアの仲間の化石がいくつかあり、今後の研究でその進化 や絶滅の謎が明らかになることでしょう。 

日本館3階にシカマイアの展示があり ますので、ぜひともご覧になってください。

シカマイア標本石灰岩から取り出したシカマイア標本
シカマイアの復元赤坂石灰岩産シカマイアの復元(中央は殻の上面と側面、上下は線で示した位置の断面)
シカマイア密集層シカマイアの剖出作業(上)シカマイア密集層。白く見える部分がシカマイアの化石。(下)シカマイアの剖出作業

研究者に聞いてみました!

加瀬博士
1)専門は何ですか

古生物学、とくに貝化石を用いた進化古生 物学が専門です。フィリピンやインドネシ アの新生代貝類の研究を進めています。これらの地域は世界で最も多くの生物が生息 していますが、いつからそのようになった のか、またその要因は何なのか、貝化石の 記録からその謎を解く研究をしています。

2)自身の研究内容と社会、一般との接点は

化石の研究の成果は、われわれの生活に直接役に立つことはあまり多くはありません。 今取り組んでいる新生代貝類の研究は、地球温暖化が進んだ場合、海の生物にどのような影響がでるかを予測することができる可能性があります。

3)研究する上での苦労や悩みなどはありま すか

研究は失敗の連続です。いつも悩んでいます。

4)研究する上で一番大事だと思うことは何 ですか

既存の説をうのみにせず、自身の直感を大 事にすること。