骨は口ほどに物を言い

坂上 和弘(さかうえ かずひろ)
生命史研究部
人類史研究グループ
「私はヒトの骨が大好きです」。こう自己紹介すると、多くの人 は足のニオイを嗅がされたような顔をします。しかし、先入観な くじっくり人骨を観察した経験があるでしょうか?
人骨にはその人が生きていた時の情報、例えば顔つき、性別、 亡くなったときの年齢など、が刻み込まれています。私は、これ らの情報から、その人の生き様や当時の社会状況や文化を復元 することを研究目的としています。そのため、縄文時代人骨から 警察で扱っている現代の白骨死体まで幅広く取り扱っています。
これまで多くの人骨を見てきましたが、ひとりとして同じ形 の骨を持つ人はいません。ただ、一人ひとりは違っていても、「時代」や「地域」などグループごとの個性が見えてくる場合 もあります。

写真と標本は江戸時代人男性の頭蓋骨です。計測値を統計処理したグラフを 見ると、「庶民」や「武家」といった社会的な立場によって分布が異なっています。 両グループを比べると、顔の細さやあごの骨(下顎骨)がずいぶん違うことから、 食生活や生活習慣など違うことが原因と考えられます。来春(2013年)に当館の 企画展「江戸人展」で、人骨からどんなことがわかるのかを展示いたしますので、 ぜひご覧ください。

研究員に聞いてみました!

1)専門は何ですか?
自然人類学が専門で、ホモサピエンス以降の骨やミイラを研究しています。
2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?
戌年生まれだからです(笑)。小さな頃から骨に興味がありました。
3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?
古代エジプト人のミイラの特徴が興味深かったです。
4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !
研究対象を大好きになってください。