アンモナイトを求めてアラスカを歩く

重田 康成(しげた やすなり)
生命史研究部
環境変動史研究グループ
中生代はダイナミックな時代
古生代末の大量絶滅事件により生物の大部分が死滅し、生態系は壊滅的な打撃を受けました。こうして幕をあけた中生代(約2億5000万年前‒6500万年前)は、恐竜が大繁栄しただけではなく、陸上植物や海洋生物にも大きな生態的な変革が起きました。それは現在の生物の分布や生態系の成立を理解する上で、重要なヒントを与えてくれます。
アラスカ・タルキートナ山地に露出するジュラ紀や白亜紀の地層。
キャンプをしながらアンモナイトの調査を行う。
なぜアラスカなのか
アラスカのツンドラ地域や高山地域は植生が乏しいため、地層が広範囲に露出しています。地層の重なりや広がりを追跡しやすく、しかも、人間がほとんど入りこんでいないため、手つかずの状態で化石を野外で観察できます。しかし、調査場所へのアクセス は困難な場合が多く、四輪バギー車や馬なども利用しますが、基本的には自分の足と体力が頼りです。もちろん化石は自分の手で掘り、担ぎ出します。2004年以来、中生代の海洋環境と海洋生物の生き様の証拠を求めて、アラスカの大地を調べ歩いています。
四輪バギー車で悪路を進む。
馬を引き連れてさらに奥地を目指す。
アンモナイトのパラダイスにいたる。研究員に聞いてみました!

1)専門は何ですか?
地学研究部 古生物学や地質学が専門です。特に、アンモナイトを対象として、分類、生態、多様性、系統、進化、化石化作用などを研究しています。アンモナイトの目を通して、古生代や中生代をのぞきたいと思っています。
2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?
小学生の頃、生き物が石になる(=化石)ということがとても不思議でした。自分でも化石を採ってみたいと思っていましたが、自宅周辺には、かこう岩しかなく化石は採れませんでした。化石への思いは募り、大学では化石を学びたいと思い地球科学を専攻し、卒論でアンモナイトに出会い、今日に至っています。
3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?
ロシア・北カムチャッカでの地質調査の際、虹色のアンモナイトを求めてヘリコプターを飛ばし、狙いを付けた場所に降ろしてもらいました。
その場で狙い通りのアンモナイトを見つけた時には思わずガッツポーズをしてしまいました。
4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !
研究対象を見たり触ったりしているときの表情が一番素敵と言われるようになってください。