どこまで飛んでいる?大気中のきのこの胞子

保坂 健太郎(ほさか けんたろう)
植物研究部
菌類・藻類研究グループ
きのこと降雨
「雨が降ればきのこが生える」。だれもが知っていることでしょう。でも、「きのこが雨を降らしているかもしれない」と聞いたらどう思うでしょうか? 近年の研究によって、きのこの胞子が大気中で雨の核(氷晶核)となり、降雨の主要な要因となっている可能性が示されています。
地上付近のきのこと空気を調べる
たくさん生えているきのこの胞子 は、よりたくさん林内の空気から検出されるのでしょうか?筑波実験植物園内できのこの発生調査と同時 に、空気を採取して実際に飛んでいる胞子の種類を調べています。
植物園内に大量に生えるタマゴタケ
植物園内の空気を調べる観測機器類きのこの胞子
きのこの胞子は植物のタネよりずっと小さく、10ミクロン(1ミリの100分の1)程 度です。もしかしたら大量の胞子が上空に舞い上がって、雨を降らせているのかもしれません。しかし、地上に生えているきのこの胞子が、いつどのくらい上空に飛ぶのかは、ほとんどわかっていません。
植物園上空の空気を気球で調べる上空の空気を調べる
地上付近だけでなく、さらに上空 の空気も調べています。建物の屋上だけでなく、上空200メートル付近は気球で、さらに上空の500 メートル付近の空 気はヘリコプ ターで採取しています。地上部に生えるきのこの胞子が、そのまま 上空に舞い上がっているのでしょうか?
海岸の空気と海水を調べる
森林に生えるきのこの胞子は、海岸でも検出できる のでしょうか?もしかしたら風だけでなく、海流に乗って移動するきのこもいるのかもしれません。
房総半島南端の海岸で空気を調べる
沖合に見えるのは伊豆大島
海岸の流木に生えるツノマタタケ研究者に聞いてみました!

1) 専門は何ですか
きのこを中心とする菌類の分類、進化、多様性などについて研究しています。
2)研究する上での苦労や悩みなどはありますか
良く食べてぐっすり眠らないとまったく使い物にならない体質なのですが、野外調査に よっては夜通し活動する必要があるのが、 楽しくもツライところです。
3)研究以外の趣味や熱中していることはあります か
研究に生かせて、なおかつ趣味としても楽しめそうな資格や特技を身に着けていきた いと思っています。最近では船舶関係や狩猟、無線などの免許を取りました。
4)研究する上で一番大事だと思うことは何ですか
自分自身が面白いと感じることを突き詰めるためには枠にとらわれない、ということかなと思います。例えば僕自身はきのこ研究者ですが、最近は海や空を詳しく調べて います!