Tsuyoshi Hosoya

細矢 剛(ほそや つよし)
植物研究部長
菌類・藻類研究グループ


こんな格好で落葉や落枝を丹念に調べています。
細矢博士_調査

菌類(きのこ・カビ・酵母)は、現在世界では約10万種が知られていますが、実際には100万種を超える種が存在す るといわれています。日本には現在 13,000種が知られていますが、多様な環境に恵まれた日本には、まだまだ見つかっていない菌(新種・新産種)がいるのです。私はその中でも特に研究が進んでいないビョウタケ目という微小 なきのこをつくる菌類を研究しています。

最近発表した新産種・新種

トゲミノダイダイサラタケとフタツミシロヒナノチャワンタケは筑波実験植物園で見つかり ました。身近な環境でも丹念な調査により、まだ新産種が発見できることを示しています。

新種_菌類
ビョウタケ目系統類

ビョウタケ目の多くは、落葉や腐朽材の上にきのこをつくりますが、DNA の断片や菌糸に基づく情 報で、最近、植物の生きた根や葉の中でも多くが 生活しているらしいことが明らかになってきました。しかし、これらの方法では名前を知るための情報が足りません。自然界から標本を採集し、名前を調べ、その正しい分類を考えることは、生態的な解析を進める上でも必要で、まさに博物館が行うべき事業ということができるでしょう。

研究員に聞いてみました!

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1)専門は何ですか?

いわゆるチャワンタケ類として知られる菌類の分類学です。菌類の中でももっとも多様化した菌群です。

2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?

大学の実習でカビの観察をして、こんな単純だけど多様な生物がいるのかと感動しました。もっ とも、チャワンタケはもっと複雑な構造でしたが。

3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?

私が 10 年以上前に日本新産として発表していた種が、実はいまヨーロッパで問題となってい る樹木の病害菌と同じであることが分かり、外国の研究者との共同研究に発展しました。新知 見があれば、菌を一つ一つきちんと記載しておくことの重要性を再度認識しました。

4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !

新発見は足元にころがっているかもしれません。日々の発見を大切に。