巨大イカ類とマッコウクジラ

動物
Tsunemi Kubodera

窪寺 恒己(くぼでら つねみ)
動物研究部
名誉研究員


マッコウクジラの食性を知ることを目的に 、2000年から調査捕鯨(JARPN II) により北西部北太平洋で捕獲されたマッコウクジラの胃内容物を日本鯨類研究所と東海大学大泉研究室と共同で調べています。当海域のマッコウクジラは様々な深海性イカ類を捕食しており、餌生物の95%以上がイカ類であることが分かってきました。巨大なイカ類としては、ダイオウイカやヒロビレイカが出現して、個体数は少ないものの重量組成で重要になります。

マッコウクジラに大量に食べられているイカ類が、どの水深にいるのか、何を餌にしているのか、産卵はいつどこで行っているのか、孵化した子供はどのように成長して親になるのか等々、それらの生態はまったく分かっていません。その謎に迫ろうと、特殊な深海カメラを使って大型イカ類を小笠原沖で調べ始めました。そして2004年に世界で初となるダイオウイカの連続静止画を、また2006年には新開発の深海ビデオカメラで、まったく謎に包まれていたヒロビレイカの動画撮影に成功しました。

マッコウクジラとダイオウイカ

2012年には同じ小笠原父島沖で、NHK との共同撮影・調査プロジェクトにより、最新鋭の有人潜水艇の分厚いアクリル球の中から、生きているダイオウイカの姿を自分の眼で観察し、映像に記録しました。このプロジェクトの詳細は、2013年1月に NHK スペシャル「深海の超巨大イカを追え」として放映されたので、ご覧になった方も多いと思います。

10年に及ぶ調査・研究を通じて深海性巨大イカ類とマッコウクジラの関 係が少しずつ分かってきました。しかし、依然として前述した疑問の答えは、 深い海に隠されています。それらの疑問を一つずつ解いていくことが私の研究でもあり、夢でもあります。

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研究員に聞いてみました!

窪寺博士
1)専門は何ですか?

イカやタコの分類や生物学、動物地理等が専門です。それから海にすんでいる生きものたちの食う―食われる関係に興味を持っています。特にイカ類を捕食する大型ハクジラ類の食性に注目しています。

2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?

大学を卒業した時が第一次オイルショック、就職先がないのと、もう少し学生でいたいと大学院に進学、そこで指導教授から北洋のイカ類を研究するようにと指導を受けて、調査研究の面白さにはまった。

3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?

2012 年の夏、最新鋭の有人潜水艇に乗って、小笠原父島沖の深海 (水深 630-880m )で23分もの間、ダイオウイカを自分の眼で直接観察できたことかな。

4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !

なにごとも、深く、深く。専門性を高めることが研究者への道だと思う。