海のスーパースター イカとタコ

動物
Tsunemi Kubodera

窪寺 恒己(くぼでら つねみ)
動物研究部
名誉研究員

イカとタコ、私たち日本人の大好きな海産物ですが、なん種類のイカ・タコがいるのか、どのような場所にいるのか、どのような生活を送っているのか、その分類や生態などまだまだ分からないことが多く残されています。
それを明らかにしていくのが、私の研究テーマです。

頭足類の分類と分子系統に関する研究

今までに世界の海洋から約900種のイカ・タコが報告されています。しかし、調査の及ばない深海やサンゴ礁に潜むイカ・タコのなかには、学名の付けられていないものがいます。最近の研究では沖縄近海から、オキナワミミイカ、ソデフリダコ、ナギサアナダコ、オグラグンバイダコ、ツノナガコダコの5新種を報告しました。今までに採集した深海性タコ類やコウイカ類にも未記載種が残されています。最近、mtDNA (COI)をもちいた頭足類全体の分子系統解析も進めています。

沖縄近海の新種イカ・タコ

海洋生態系‐食物網に関する研究

マッコウクジラ胃内容物のイカ類マッコウクジラ胃内容物のイカ類

上段左より:トスロンパックに冷凍で持ち帰られたマッコウクジラ胃内容; 解凍した胃内容(紐のようなものは寄生虫アニサキス、褐色のものは頭足類の嘴板;ソーティングして上顎板、下顎板、寄生虫、その他に分ける)

下段左より:オオトガリウオイカ Cycloteuthis akimushkini Filipova, 1968(スケールは15cm); ヒロビレイカ Taningia danae Joubin, 1931(スケールは50cm); ダイオウイカ Architeuthis sp.(スケールは100cm)、右下:ダイオウイカから取り出した口球と嘴板

中深層性大型イカ類の生態に関する研究

マッコウクジラが餌としている中深層性大型イカ類に迫ることを目的に、2002年から小笠原近海で小型水中カメラ、深海HVビデオカメラを用いて調査を続けています。2004年には世界初となる深海における生きたダイオウイカのデジタル画像を撮影し、学術誌に公表して世界中の注目を集めました。2006年には、ダイオウイカを生きたまま海面まで釣り上げ、その行動を撮影して、世界に発信しました。さらに、2007年にはヒロビレイカの遊泳行動や捕獲行動、発光によるコミュニケーションをHV映像を基に解析し、学術誌に公表しました。この成果も国内のみならず欧米のメディアで広く報道されました。この調査は、継続中です。新しい発見をご期待下さい。

深海にすむ大型イカ類の画像・動画上段左より:水深900mで撮影されたダイオウイカ;腕を広げる;引き揚げられた触腕、
中段:釣り上げられたダイオウイカ;墨斗からの噴水、
下段:水深600mで撮影されたヒロビレイカ;餌を襲う瞬間(餌のスルメイカは約30cmほど)
イカとタコは貝の仲間(軟体動物)ですが、動きやすいように貝殻を薄く平たくして体の中に入れたり、まったくなくしたものもいます。筋肉ポンプの外套膜に海水を吸い込み漏斗から勢いよく噴出すジェット推進で、海のなかを自由自在に泳ぎ回ることができます。タコは8本、イカは2本の触腕を加え10本の腕をもっていて、腕についている吸盤で大きな餌でもたくみに捕まえて食べることもできます。さらに体色を変幻自在に変えてカモフラージュしたり、敵におそわれると墨をはいて逃げ出すこともできます。なんといっても、イカとタコは海のスーパースターなのです。