子を見て親を知る― ハバチ類の多様な世界

動物
篠原博士

篠原 明彦(しのはら あきひこ)
動物研究部
名誉研究員


私は、幼虫が植物の葉を食べる原始的なハチの仲間であるハバチ・キバチ類を研究しています。日本からこれまでに約800種が知られていますが、実際には少なくとも1000種はいると考えられています。とくに力を入れているのはヒラタハバチ科とミフシハバチ科の系統分類です。

ヒラタハバチ_2012新種中国湖南省雲山のヒラタハバチ類(2012年に新種として発表)

ヒラタハバチ科は世界で300種近く、日本からは 80種近くが知られています。私がハバチの研究を始 めた35年前には日本からは30種あまりが記録されていただけでした。今ではどのような種が日本にいるかがほぼ分かっていますが、それぞれの種の生態や 分布については十分に調べられていません。今後は、とくに、日本のヒラタハバチ類の分布と進化の研究に不可欠なアジア大陸東部のヒラタハバチ相の解明に 力を注ぎたいと思います。

数年前から共同研究者とともにチュウレンジハバチ 類の幼虫の研究も進めています。チュウレンジハバチ類と言えばバラやツツジの害虫として知られています。成虫はよく似たものが多いのですが、幼虫は種によって形態や食べる植物に大きな違いがあり、これまで困難だった種の分類に大変役立つことが分かってきました。この研究によってこれまで20種あまりとされていた日本産のチュウレンジハバチ類が実は40種近くいることが明らかになりつつあります。

シモツケチュウレンジ2012年に発見されたシモツケチュウレンジの産卵から終齢幼虫まで

研究員に聞いてみました!

篠原博士‗研究員に聞いてみました
1)専門は何ですか?

ハバチ類の系統分類と多様性の研究です。

2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?

中学生のころからハチの標本を集めていましたが、名前を図鑑で調べてもまるで分からず、 博物館でお願いして調べてもらっても分からないものが多く残りました。専門の研究者でも 分からないことだらけの昆虫の世界、自分が調べたことがそのまま新発見につながる、わくわくする研究の楽しみに引き込まれました。

3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?

片道1時間ほどの山道をハバチの幼虫を探しながら往復したとき、行くときには何も見つか らなかったのに、ひとたびある植物に幼虫を見つけると、帰りには行きと同じ道沿いにたくさんの幼虫がいるのに気づきました。観察のポイントを熟知しているはずなのに、見ているようで見ていないことを思い知らされました。

4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !

その時々の流行ではなく、自分自身の興味や見方にとことんこだわってください。