トンボを求めて東南アジアへ

動物
Takuya Kiyoshi

清 拓哉 (きよし たくや)
動物研究部長
陸生無脊椎動物研究グループ


トンボは世界で約6000種が知られていますが、特に東南 アジアは種の多様性が高く、トンボの宝庫となっています。 毎年、数多くの新種のトンボが東南アジアから発見・記載されており、まだ学名の付いていないたくさんの未記載種が東南アジアには存在しているようです。私もこれまでにマレーシア、インドネシア、ベトナム、ラオス、ミャンマーといった国々に赴いてフィールド調査を行ってきました。その結果、トンボの未記載種を多数、発見・採集してきています。いままでで一番おどろかされたのは、ミャンマーのホテルのロビーに迷い込んできたヤンマを捕まえてみたら未記載種だったことです。

ミャンマーでの調査風景-01ミャンマーでの調査風景

新種を捕まえることだけが目的かというと、そうではありません。東南アジアは現在急速な経済発展を遂げている最中で、自然環境の保全の必要性が出てきており、国立公園など自然保護区を設立する試みが各国で行われています。その設立された自然保護区の種の多様性を評価するためには、実際にどんな生き物が住んでいるのかを調べる必要があります。現在私はベトナムの研究者と協力して、同国の国立公園内に分布するトンボ類の種の「チェックリスト」を作成しています。

ミャンマーでの調査風景-02
ミャンマーで採集したヤンマの一種左:ミャンマーで採集したタカネオニヤンマ属(Neallogaster)の一種 右:新種記載したヤンマの一種(Sundaeschna tanintharyiensis

研究員に聞いてみました

清博士-02
1)専門は何ですか

トンボの分類学および生物地理学です。トンボの新種の記載をしたりするだけでなく、DNAを調べて進化の歴史を探ったりもしています。

2)やりがいを感じるのはどのような時ですか

時間をかけて書いた論文が出版された時ですね。

3)研究する上での苦労や悩みなどはありますか

海外調査で調査に適した陸水環境をさがすのにいつも苦労します。特に最近調査を行っているミャンマーではなかなかいい場所が見つかりません。

4)今の職業に就いていなければ何をしていると思いますか

昆虫の研究を始める前は植物の進化にも興味があったので、植物の研究者になっていたかもしれません。