南西諸島のヒザラガイ類

齋藤 寛(さいとう ひろし)
動物研究部
海生無脊椎動物研究グループ
ヒザラガイ類は貝殻を8枚もった貝のなかま(軟体動物)です。体は楕円形で平たく、背中に8枚の貝殻が1 列にならんでいます。貝殻のまわりは鱗や棘で被われています。磯の岩の上にくっついているヒザラガイを見たことがあるかたも多いのではないでしょうか。名前(学名)のついた種は世界中では1000種ほど、そのうち日本の海からは100種ほどが知られていますが、名前のついていない種(新種)がまだたくさんいます。
南西諸島にはどんなヒザラガイ類が生息するのでしょうか。私は学生のころから調べはじめ、現在も研究中です。これまでに学名のついた種を37種、まだ学名が分からない、あるいは新種と思われる種を16種、合計53種を確認しました。現在も当館の総合研究「黒潮に注目した地史・ 生物史・人類史」に参加して、この海域で調査を続けていますが、調査をするたびに、これまでに確認されていない種が少しずつ増えており、この海域の種多様性の高さを感じています。
1.シリブトヒザラガイ2.シリブトヒザラガイ属の1種3.ゾウガンケハダヒザラガイ4.ケムシヒザラガイ属の1種5.ハナヤカクサズリガイ6.ナミジワアヤヒザラガイ7.ナミジワアヤヒザラガイ(色彩の異なるもの)8.オニヒザラガイ
※~属の1種としたものはまだ学名がわからない種で、新種の可能性もあります。
研究者に聞いてみました!

1) 専門は何ですか
軟体動物、特にヒザラガイ類、カセミミズ類、 ケハダウミヒモ類の分類です。
2)これから取り組んでみたい研究は
すでにたくさんの共同研究やプロジェクトに参加していますので、これから取り組むというより、いま行っている研究をなんとか完成させ、公表したいと思っています。
3)やりがいを感じるのはどのような時ですか
新しいことを見つけたときです。
4)研究する上での苦労や悩みなどはありますか
解剖や組織切片作成など、細かい作業が必要になりますが、不器用なのでいつも苦 労しています。