Masaonori Nakae

中江  雅典(なかえ まさのり)
動物研究部
脊椎動物研究グループ


國立科学博物館のプロジェクト研究「日本の生物多様 性ホットスポットの構造に関する研究」(平成25~29年 度)の一環で、奄美大島とその近海に出現する魚類を調 査しました。 

なぜ奄美大島? 

奄美大島は、九州と沖縄本島の中間に位置し、生物地 理学的な興味により古くから魚類の調査が行われてきました。ただし、近年になっても、奄美大島にどれくらい多様な魚種が生息しているのか、どのような魚種が多いのか、魚類相が九州のそれに近いのか沖縄のそれに近いのかなどが不明なままでした。

 少なくとも1,615種!

神奈川県立生命の星・地球博物館、横須賀市自然・人 文博物館および鹿児島大学総合研究博物館と共同で、現 地調査や日本各地に保管されている標本の調査を行い、奄美大島には35目175科618属1,615種の魚類が出現することを確認しました。種数では、ハゼ科魚類が一番多く、ベラ科、スズメダイ科が続きます。

 また、沖縄本島の詳細な魚類相が不明であるものの、 奄美大島の魚類相は、小笠原諸島や屋久島よりも、沖縄 本島のそれに近いという暫定結果も得られました。 今回の研究結果は、奄美大島の魚類相研究のさらなる発展の基礎となります。

ワニトラギス_ホシヒレクロハタ上:トラギス科ワニトラギス/下:ハタ科ホシヒレグロハタ
奄美大島の近海に分布することが近年に判明した魚類
奄美_浅海魚採取奄美大島での浅海魚採集の一場面

研究者に聞いてみました!

Nakae_採取
1)これから取り組んでみたい研究は

何とか機会を作り、奄美大島の魚類相調査を行ったようなチームで、今度は沖縄本島に出現する魚類を調べる研究をしたいです。

2)やりがいを感じるのはどのようなときですか

やりがいとは少し違うかもしれませんが、 新しい研究を始める際に、自分なりに進め方などを設計できる点です。順調にデータが集まれば嬉しいですし、何か問題が生じ た場合でも、解決方法を思案するのも楽し いです。それらの結果、良い研究成果が得 られたときにやりがいを感じます。

3)研究者になるために一番大事だと思うことは何 ですか

研究対象に興味を持ってください。そして、 自分なりの武器を磨いてください。頭脳で勝負するか、技術で勝負するか、データ量で勝負するか、方法はひとつではありません。

4)研究する上で一番大事だと思うことは何ですか

研究対象に興味があることが大前提です。 その上で、ある程度の方向性や目星を付け、 段取りして研究することが大事だと考えて います。