「魚を知る」×「魚から学ぶ」

動物
Gento Shinohara(8080)

篠原 現人(しのはら げんと)
動物研究部
脊椎動物研究グループ


私の専門は系統分類学で、特にゲンゲという魚の研究に力を注いでいます。ゲンゲ類のある種は潮間帯の石の裏に隠れていますが、別のある種は超深海の海底に生息しています。ゲンゲ類はこれまで250 種以上が見つかっていますが、未発見の新種が多く残っています。世界や日本の海にどれくらい種数がいるのか、どんな色や形をした種がいるのか、どのような生活をしているのかに興味をもっています。

ゲンゲ

私のこれまでの研究は「魚をよく知る」ことが目的でしたが、昨年から工学系の研究者たちと協力して、「魚から自然の知恵を学ぶ」ことにも取り組んでいます。魚の姿や体の部分の形は、長い進化の歴史を経て洗練された優れたデザインの宝庫と考えられています。サメ肌やマグロの皮膚の微細構造を真似た素材で水着を作ると、水の抵抗が抑えられ早く泳げるようになります。このような優れた素材を発見しながら、同時に魚の体に備わる(研究者も気づいていなかった)機能を明らかにしたいと考えています。

新素材開発_魚とキーワード生活に役立つ新素材の開発にヒントを与えてくれ砂魚たちとキーワード
ヤモリザメ_皮膚ヤモリザメの皮膚の電子顕微鏡画像
マンボウ_皮膚マンボウの皮膚の電子顕微鏡画像

研究員に聞いてみました!

篠原 博士
1)専門は何ですか?

魚類の系統分類学が専門です。特にゲンゲなどの深海魚や底魚を研究対象にしています。

2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?

海のそばで育ったことが大きく関係しています。小学生の頃は、海洋学者になりたいと思っていましたが、大学で、進む方向と興味がすこしずれて魚類学者になりました。

3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?

生物系以外の研究集会に参加し、工学系の研究者との話をする機会が増えて、生き物の 見方がすこし変ってきました。物理、化学、生物の知識を融合させると博物館標本からどんな新しいことができるのか楽しみにしています。

4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !

コミュニケーションを大切に。競争だけでなく協力もできる仲間を作ることが大事です。