サカナの形を探求する

篠原 現人(しのはら げんと)
動物研究部長
脊椎動物研究グループ

魚は子供の頃からずっと好きな生き物です。魚類の形態学に足を踏み入れたのは、大学生のころですが、知れば知るほど、わかってないことがたくさんあることを知りました。
研究対象としている魚が世界にどれくらい種数いるのか、どのような進化をたどってきたのかを 解明することが研究目標です。
最終調査や標本調査、学名の整理や系統関係に基づいた分類の研究をおこなっています。
カサゴの仲間には系統関係がよくわからない種がたくさんいます。
ゲンゲの仲間は深海域にたくさんの種がいますが、その大部分は名前さえついていない未知の種類です。
カサゴは水産上重要な種をたくさん含み、ゲンゲは深海研究のモデル生物として期待される魚です。
水産研究所、大学、水族館等と協力してこれらをはじめとした深海魚や底魚の形態様式や進化の実態に迫ります。



分類や形態の研究は標本が命です。
標本を適切に処理し、最新の注意を払って観察をおこないます。
骨格の観察では染色透明標本を使うこともありますが、 標本の中には損傷を与えてはいけないものもあります。
その時に使うのが軟エックス線撮影装置とCTスキャン装置です。
軟エックス線像は重ならない骨の数の観察に、 CTスキャンは重なった骨の形や関係を調べるのに適しています。
すべての標本は潜在的に貴重なものばかりですが、研究でさらにその価値を高めたり、 本来の価値を知ってもらうことができます。