学習マンガのひみつ

近年、教育関係者やマンガファン、出版関係者など、さまざまな立場の人々から「学習マンガ」が注目されています。学校図書館や書店の児童書コーナーには、これらの書籍が並ぶ棚が大きな一画を占め、戦前からの古い歴史もあり、また大きな出版市場を形成しているジャンルです。しかしながら、これまでその全体像を俯瞰するような書籍や展覧会はありませんでした。本企画展は、“見えないマンガ”と言われる「学習マンガ」を、教育博物館として誕生した国立科学博物館にて、内容や表現方法の歴史的な変遷に注目し、「マンガで学ぶ」ことの可能性について多角的に紹介する初めての展覧会となります。

開催概要

企画展名称
「学習マンガのひみつ」
開催期間
2025(令和7)年10月10日(金) ~ 11月9日(日)
開催場所
国立科学博物館(東京・上野公園)
日本館1階企画展示室、中央ホール
開館時間
  • 9時~17時
  • 入館は閉館時刻の30分前まで
休館日
10月14日(火)・20日(月)・27日(月)・11月4日(火)
入館料
  • 一般・大学生630円(団体510円)
  • 常設展示入館料のみでご覧いただけます
  • 団体は20名以上
  • 高校生以下および65歳以上は無料
主催
国立科学博物館
京都国際マンガミュージアム
京都精華大学国際マンガ研究センター
特別協力
学習マンガ研究会
協賛
株式会社Gakken
株式会社KADOKAWA
協力
公益財団法人東洋文庫
一般社団法人マンガナイト
後援
日本マンガ学会

アクセス

所在地
東京都台東区上野公園 7-20
地図アプリサイトで見る
お問合せ
050-5541-8600(ハローダイヤル)
国立科学博物館アクセスマップ
  • JR「上野駅」公園口から徒歩5分
  • 東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口から徒歩10分
  • 京成電鉄「京成上野駅」正面口から徒歩10分
  • ※敷地内に駐車場および駐輪場はございません

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種類
PDFファイル
サイズ
3.68MB
ページ
A4サイズ2枚
更新日時
2025(令和7)年10月2日

展示紹介

~この展覧会における「学習マンガ」の定義について~

本展では、典型的な学習マンガとして、子どもを読者とし、義務教育の教科内容を解説したものを中心に扱います。具体的にいえば、書店のマンガコーナーではなく、児童書・参考書コーナーで売られており、学校や公共図書館などでも広く読まれているマンガです。さまざまな教科に対応したサブジャンルがありますが、今回は、「理科」「歴史」、そして「伝記」を扱った学習マンガに注目します。

第1部 学習マンガの歴史

第①章 学習マンガのはじまり戦前~ 1950年代
戦中、「科学教育」が重視されるなかで、子ども向けマンガは、「荒唐無稽」なものとみなされ、排除されつつありました。学習マンガの源流のひとつは、「マンガが社会的に有用」であることを示そうと努力したマンガ家たちの取り組みにあります。戦後も、子ども向け娯楽マンガはしばしば「悪書追放」の対象となりましたが、一般書の全集ブームを背景に、教科学習を念頭に置いた子ども向け学習マンガシリーズも登場します。
第②章 学習マンガの拡大1970年代~
1970年前後から、「日本の歴史」といったタイトルのついた、学校での学習内容を意識した通史としての歴史科系学習マンガがシリーズとして登場します。一方、いわゆる学年誌や科学雑誌などに掲載されていた理科系学習マンガが、単行本シリーズとして刊行され始めます。1980年代に入ると、子ども向けとして発展してきた学習マンガの手法を使った「大人向け学習マンガ」が“発明”されます。これらは、赤塚不二夫や石ノ森章太郎といった人気作家が手がけたことで、ベストセラーになるものも登場します。
第③章 学習マンガの新展開2000年代~
2000年代以降、一般的には子どもの娯楽でしかないと思われていたマンガそのものが「文化・芸術」として認識されるようになっていきます。教育現場においても、娯楽として発展してきたマンガが受け入れられるようになりますが、そのことで学習マンガのアイデンティティが揺らぎ、新たな方向性が模索され始めます。学習マンガの娯楽化は大胆なコマ割りを採用したり、「対決」や「冒険」といった少年娯楽の構造を導入したりするなど、表現方法や構造の大きな変化をもたらしました。また、海外出版社との共同制作が進むなど、学習マンガのグローバル化が進みます。
第④章 学習マンガの現在
教科教育をベースに発展してきた学習マンガですが、学校における教育内容の多様化とともに、学習マンガの扱う「学習」の範囲も拡大しつつあります。SDGs や人間関係、お金の知識など、大人向け自己啓発書で人気のテーマが子ども向けの学習マンガでも展開されるようになっています。一方、学習マンガの娯楽化は、同時に、娯楽マンガの学習マンガ化ももたらします。従来のストーリー娯楽マンガを学習のツールとして活用する教育プロジェクト「これも学習マンガだ!」が教育現場でも採用されるなど、ますます活況を呈する学習マンガからまだまだ目が離せません。

第2部 トピック紹介

  • 科博とマンガ
  • 植物系学習マンガの変遷
  • 植物学へといざなう学習マンガ
  • 身近になった植物マンガ
  • これも学習マンガだ!