蒲郡情報ネットワークセンター 生命の海科学館
学芸員
山中 敦子さん
本が好きで、あまり外では遊びませんでした。石や宇宙の図鑑が好きで、ぼろぼろになるまで読んでいました。野山で自然の観察などはしませんでしたが、望遠鏡は持っていて月を見ていました。小学校の文集には『10番目の惑星を見つけたい』と書いてありました。
やはり本が好きで、学校の図書館に入り浸っていました。純文学やミステリ、海外SFなどを読みました。得意な教科は国語でした。理科や数学は特に好きでも嫌いでもありませんでしたが、苦労したという記憶もありません。SFのお陰で科学の話題を身近に感じることはできていました。小学校時代から水泳部に入っており、中学では水泳と卓球を掛け持ちしました。
微分積分、無機化学が苦手になってしまいました。納得の行かないところがあって先生に噛みついたりもしていたのですが、努力して勉強する、という訳でもなかったため成績が下がってしまいました。有機化学は1度仕組みが解れば理解しやすいと気がついたので面白く、無機化学についても物理で習う物質の成り立ちを先に知っていれば話が繋がって理解しやすくなった筈だと後になって気がつきました。
部活は水泳も続けましたが、一番熱心に活動したのは文芸部でした。
この世界の成り立ちに興味があったので、宇宙論を研究したいと漠然と考えていました。3年の時、国立極地研究所の先生の隕石についての講演を聞いたことがきっかけで隕石の研究に進みました。隕石は太陽系がどのように形成されたのかを知る手掛かりになります。本物の資料を目の間にして、実際に手にとって調べることができることが喜びでした。
あまり大きな博物館ではありませんが、地球の誕生から人類の誕生まで幅広い時代を扱っています。本物の標本を通じて、自然史とそこから繋がる科学を理解して頂ければと思います。学芸員はひとりだけなので、展示内容の検討から出前授業、館内でのレクチャーまで、あらゆることをこなす必要があります。他の職員やスタッフのサポートがなければとてもできません。
自分が子どもだった頃、身近なところに本物の標本を見られる博物館があったらどんなに良かっただろうと思います。館に来て下さる方に対しては、当時の自分と向き合うような気持ちです。
自分自身が何者なのか、この世界はどうなっているのかに興味があり、自分と社会、自分と世界の関係について考えるなら理系の方が良いのではないかと考えました。自分の欲しいものに近い答えが書かれていたのが、ハードSFであったことも一因です。フィクションは飽くまでフィクションですが、科学が基盤になっている筈だと考えました。
数学や化学が苦手なことは不安でしたが、できることより興味があることを大切にしたいと思いました。
科学を理解することは物の成り立ち、ひいては世界の成り立ちを理解することだと思います。科学を学んで、自分の生き方や日々の感動の幅が広がりました。
興味があるのに成績や将来への不安など、何かのマイナス要因で諦めるのはもったいないと思います。分野も多く興味の門戸も広いので、迷っているくらいなら進んでみるのも悪くないのではないでしょうか?