当館の甲殻類コレクションには現在3万本以上の液浸標本瓶に収められた登録標本があります。その一方でまだ研究されていない未登録標本が、登録標本と同じくらいあります。白鳳丸KH-72-1航海の標本も1972年に採集されて以来、未登録のまま長らく標本庫に保管されてきました。本航海はフィリピン、インドネシアなど東南アジアを3ヶ月かけて巡る大航海で、若き日の故今島実・元動物研究部長が乗船し、専門の多毛類だけでなく甲殻類標本も採集したものです。現在、館内外の研究者と協力して分類学的研究を進め、約50年の時を経て順次公表しているところです(Part 1, Part 2)。外国産標本を収集することは近年難しくなっており、これらの標本は当館にとって非常に貴重なコレクションとなります。
(動物研究部:小松浩典)