宮城県の三陸海岸に露出する地層(大沢層)からは、原始的な魚竜類であるウタツサウルスをはじめ、アンモナイトなど三畳紀前期の様々な化石が産出します。そのため、この地域は生物種の90%以上が絶滅したペルム紀末(2.52億年前)の大量絶滅事件からの生態系や生物多様性の回復を研究する上で注目されています。私たち(科博、筑波大学、福島県立博物館)は、大沢層の正確な時代を明らかにするために、先行研究で使用されたアンモナイト標本に加え、新たに採集または寄贈を受けた多数のアンモナイト標本の分類学的検討を行いました(Shigeta et al ., 2024 )。その結果、ウタツサウルスの時代は三畳紀前期のスパシアン中期(約2.47億年前)であることが明らかになり、魚竜類の多様化を含む海洋生態系の複雑化のタイミングがより明確になりました。
(生命史研究部:重田康成)