研究室コラム・更新履歴

8月6日

カブトムシの角の研究
カブトムシのオス(左)と繊維から作られている角の断面(右)

カブトムシは東京周辺では7〜8月に出現し、よく知られた昆虫ですが、最近になって、バイオミメティクス(生物規範工学)の世界で大きな注目を集めています。カブトムシのオスは頭に大きな角があります。この軽くて丈夫な角は厚みが0.3mmと意外に薄い壁でできており、壁はさらに10層以上の薄い膜によって作られ、1枚の膜は断面が長方形の繊維が一列に並ぶことによってできています。身近な虫のからだに、工学者が注目する造りが隠されていたことは大きな驚きです。
(動物研究部:野村周平)

7月30日

研究の小道具、眼鏡の自作
右目に度数1.25のレンズ、左目に「きずみ」を装着した様子

研究や資料整備には各種作業に特化した道具を必要とし、自作することもある。最近老眼となり、しかも朝と夕方で多少視力が変わりとても不便を感じるようになった。そこで多様な用途に使えるよう各種レンズや「きずみ」が装着可能な眼鏡を自作した。レンズは古い検眼用のフルセットを入手したため、広範囲の度数のレンズが利用でき、一つで日常の用途から精密な作業まで対応が可能となった。しかも今後買い替えが必要ないので非常にお得である。
(理工学研究部:前島正裕)

7月23日

謎の海山群を調査した結果が公表されました
航海参加者の船上での集合写真

日本から約1500km東の太平洋に「シャツキー海台」という超巨大火山が存在し、そのさらに北東に「応神ライズ海山群」という大小
80個程の海山が分布します。この海山群を2014年6〜7月に調査しました。海洋研究開発機構の調査船「かいれい」を用い、当館の展示担当職員も同行して地球館2階の展示用映像を撮影しました。
最近、その調査結果をまとめた論文が英文誌「Lithos」に掲載されました。その論文では、シャツキー海台と似たマグマが噴出したことを報告しています。
(地学研究部:佐野貴司)

7月16日

おしば標本で解明!害虫のヒストリー
1906年に北海道で採集されたササバギンラン標本の果実から見つかったランミモグリバエの蛹(矢印)

絶滅のおそれのある日本のランは、ランミモグリバエの脅威にさらされています。幼虫が若い果実を食べるので、種子がみのりません。最近、被害が急増したことから、このハエは外来種では?と疑いを持たれはじめました。ランミモグリバエは果実の中に蛹の殻を残します。そこで標本庫に保存されているランのおしば標本の果実を調べると、標本が保存された最初期の1891(明治24)年以降、地域と年代を問わず蛹の殻が見つかりました。ランミモグリバエは日本の自然生態系に存在していたのです。標本収集と保存に尽力された先人のおかげで、保存資料から新しい価値を引き出すことができました。
(植物研究部:遊川知久)

7月9日

生痕化石
図.白浜層産Asteriacites quinquefoliusと現生ヒトデの観察(Ishida et al. 2019)

恐竜の足跡のように、生物の本体ではなく生物が残した痕跡が化石になることがあり、それらは生痕化石と呼ばれます。星形の生痕化石はその形からヒトデが残した痕跡であると考えられています。
その一種であるアステリアサイテス・クインクエフォリウスが日本から初めて発見されました。ヒトデがどのようにこの形の痕跡を残したのかを明らかにするために、生きたヒトデの行動を観察しました。化石の成因を理解するのに、現生の動物の研究が大いに役立ちます。
(動物研究部:藤田敏彦)

7月2日

田植えの風景
ペルーは、現在南米大陸でブラジルについで2番目に新型コロナウィルスの感染者の多い国で、特に北海岸で被害が拡大しています。写真は今年の2月にその北海岸の遺跡に発掘に出かけた際に撮影した、田植えの風景です。昔の日本の田植えを思わせますが、畦にはマンゴーの木が植えられています。実はこの写真、中止になった和食展で紹介しようと思って撮影したものです。この時点では、その後のコロナの影響を想像もしていませんでした。あまりに急激な世の中の変化に唖然とするばかりです。
(人類研究部:篠田謙一)