研究室コラム・更新履歴

2月15日

ナマコの微小骨片
マナマコApostichopus armatusの骨片(Woo et al., 2017

食用とされるマナマコは分類学的には1つの種と考えられてきましたが、体色の異なる型があります。最近になって、これらの型は遺伝的に異なることがわかり、マナマコとアカナマコという異なる2種に分類されました。ナマコは、体壁や触手の中にとても小さな骨片をもっていて、その形状で種を識別することができます。走査型電子顕微鏡による観察で、2種の微小骨片の違いを明瞭に示すことができました。今では、電子顕微鏡は研究に欠かせない道具となっています。
(動物研究部:藤田敏彦)

2月8日

キープを探す
結び目のついたひも

写真は、インカ帝国で情報伝達の手段として使われた「キープ」と呼ばれるものです。現在開催中の特別展「古代アンデス文明展」(〜2月18日)で展示するキープを探すために、ペルー北部のレイメバンバ博物館に行ったときに撮影しました。どんな情報が書かれているのかよく分かっていませんが、研究は進んでおり、最近ハーバード大学の学生が解読に成功したというニュースも流れました。今回は、この博物館から最も大きなキープを借用して展示しています。
(人類研究部:篠田謙一)

2月1日

100年前のデータベース(?) 南方熊楠
未同定のきのこ(F105bis)。左上に「cf. F71」として、他の図譜が引用されている。

2017年は南方熊楠生誕150年で、12月から企画展「南方熊楠―100年早かった智の人―」を開催中です(〜3月4日)。熊楠が集めた「情報」とその扱いにスポットを当て、まるで100年前にデータベースを実現したような熊楠像を浮き彫りにしています。本展ではいくつかの菌類図譜を初公開。熊楠は変形菌で有名ですが、実は非常に多数のきのこの標本を収集し、水彩画で描写し、標本をシートに貼り付け、記載しました。興味深いのは、近縁と思われる標本の番号をシートに書いているのです。熊楠の頭の中では標本さえも、互いに関連する知識の源となる材料だったのでしょう。その全貌を知るため、当館では関連機関とともに熊楠の菌類図譜のデータベース化を行い、一部を公開しています。
(植物研究部:細矢剛)

1月25日

夜も鳥の調査
左:はしごに登って巣箱の中をチェックする。右:ねぐらをとっていたシジュウカラ。

鳥の調査は早朝が主体ですが、ときには夜も行います。この時期は調査地にかけてある巣箱を使って、夜、ねぐらをとる(眠っている)シジュウカラの個体識別を行っています。先日は、昨年の春に私の巣箱で育ったオスが、数百メートル離れた巣箱でねぐらをとっているのに再会しました。足環をつけて個体を区別することで、住民(住鳥?)たちの台帳が整っていき、一生を追跡することができます。
(動物研究部:濱尾章二)

1月18日

CIMUSET2017に参加
CIMUSET2017参加者記念撮影

CIMUSET(科学技術の博物館・コレクション国際委員会)の年次総会が、12月初旬にモロッコの首都ラバトで開催され、日本からは前島正裕科学技術史グループ長と私の2人が参加しました。CIMUSETは、国際博物館会議(ICOM)の30ある国際委員会の一つで、今回初のアフリカ開催でした。モロッコの熱意は並ならぬものがあり、初日の会議終了後の歓迎レセプション挨拶では、科学技術学士院の常任事務局長で前高等教育・科学研究大臣のOmar Fassi-Fehri氏が、モロッコで開催されることの意義を力説されていました。2019年9月には京都でICOM世界大会が開催され、そこでCIMUSETの年次大会も行われます。その周知も兼ねて参加したため、当館の140年の歴史と科学技術遺産認定における役割について発表するとともに、ICOM京都大会の紹介をしました。参加者の関心は高く、日本での大会を世界にとってもまた日本にとっても意義深くする必要性を改めて感じました。
(理工学研究部:若林文高)

1月11日

底なる玉
日本鉱物科学会英文誌の「ひすい」特集号(下)と「かはくのモノ語りワゴン」の標本(上)

日本鉱物科学会の英文誌(JMPS)から国石「ひすい」の特集号が出ました。緒言「Gem sparkles deep(底なる玉:万葉集 巻十三 三二四七 より)」に続く11編の論文が、最新の「ひすい」研究を熱く語ります(電子版の閲覧はこちら)。全編英語ですが、美しいカラー写真だけでもお楽しみください。
そして、当館ボランティアによる「かはくのモノ語りワゴン」(展示の理解を深めるポイント紹介)に“ひすい”も入った「ワンダフル!ミネラル!」というプログラムが加わりました。ご参加の際にはぜひ手にとって実感してみてください。石のつぶやきから地底の出来事が聞こえるかも!?
(地学研究部:宮脇律郎)

1月4日

天国からの贈り物
樹幹に生育するParisia neocaledonica (樋口正信撮影)

以前、天国に一番近い島ともいわれるニューカレドニアで、コケ植物の調査を行いました。南部のフンボルト山の調査ではヘリコプターを使って山頂部に行きました。山頂までの登山道が無く、また、ニッケル鉱山の開発のために植生は焼き払われ、湿った山頂部にだけ原植生が残っているからです。そこで樹幹に蘚類(せんるい)の希少種Parisia neocaledonicaを見つけました。Parisiaはニューカレドニア固有で、この島での絶滅は地球上から無くなることを意味します。
(植物研究部:樋口正信)