
研究室コラム・更新履歴
- 20分の1万

- 僕の研究室では陸生哺乳類の研究のため、普段から標本を作っています。本日6月26日、作成している標本の個体処理番号が10000番を突破しました。また一つ目標を達成した感があります。僕が当館に就職したのは2005年の4月なので、今年がちょうど20年目です。前任者から引き継いだ個体処理番号は900番台だったので、およそ9000個体以上のなにがしかを解体して標本にしてきたことになります。ただし僕は自分が採集したモグラなどはSIKを冠する、個体処理番号とは異なる自分のフィールド番号をつけていて、それが1000ちょっとあるので、大雑把に言って1万点くらいの死体を処理してきたと考えてよいでしょう。年間500個体程度で1日なら1〜2個体という計算ですが、日々継続するということは大切な事だとあらためて感じました。
(動物研究部:川田伸一郎)
- 化石の産状を保存する大切さ

- 東北地方の某所で30年ほど前に発見され収蔵していた化石の研究を進めています。化石を採集したらまずクリーニング。つまり、石や堆積物を除去して生物の特徴を調べられるようにするのが常識ですが、写真の標本は地層を立体的に切り出した状態で、化石が見つかった当時の様子を保存しています。写真の面は地層面(=水平面)で、水流で洗われてさまざまな果実や木材が散在しているのがわかります。化石が地層から見つかる状態を“産状”と言いますが、実はこれが化石研究にとても大事で、この標本の場合、化石となった植物の各部がいちどきにあまり選別されずに流されてたまったことが推測できます。こうした情報は、その植物がかつてどんな場所に生えていたかを知るのに欠かせません。クリーニングが済んだ標本だけからはわからない、こうした情報をいかに残すか。その大事さを改めて考えさせられました。
(生命史研究部:矢部 淳)