研究室コラム・更新履歴

4月22日

花の八重咲とABCモデル
ABCモデルの異常でもたらされた八重咲のヤブツバキ園芸品種「十八学士」

幾重にも花弁が重なる八重咲の花をもつ園芸品種はとても重宝され、アサガオやツバキなどいろいろな植物で知られています。近年、花のめしべ・おしべ・花弁・萼が形成される遺伝的なしくみが解明されつつあり、その発現にはA・B・Cの3つの遺伝子が関わっていることがわかってきました。これがABCモデルです。そして、これらの遺伝子にある異常が起こると八重咲きになることもわかっています。
今夏、当館で開催予定の特別展「植物 地球を支える仲間たち」では、ABCモデルの異常によってもたらされた八重咲のヤブツバキのアクリル包埋標本を展示する予定です。古典園芸植物と最新遺伝研究のコラボレーションにご期待ください。
(植物研究部:國府方吾郎)

4月15日

標本は語りたい
戦前の岡山県産昆虫標本の一部。標本の色が良く残っていることがわかる。

国立科学博物館の昭和記念筑波研究資料館に保管されている標本の中に、戦前に岡山県から昭和天皇に献上された多数の昆虫標本が見つかり、倉敷市立自然史博物館のチームと共同でその詳細を明らかにしました。(プレスリリース)。我々が受け継ぎ、保管しているそれぞれの標本には、その標本が経験してきたストーリーがあります。膨大な標本の一つ一つを見ていくことはなかなか難しいですが、じっくり時間をかけて向き合う中で、標本に語ってもらうことがとても大事だと改めて感じました。
(標本資料センター:神保宇嗣)

4月8日

デジタルアーカイブの研究開発
さまざまな資料をデジタル化して保存し、ウェブ上で公開するデジタルアーカイブが、近年急速に発達しています。そこで私も、以前に整理・調査をおこなった科学者資料(科学者のノート、原稿、書簡など)を題材として、新しいシステムの研究開発に挑戦しました。取り上げたのは、科博の前身である教育博物館の初代館長でもあった植物学者・矢田部良吉です。情報技術に詳しい人たちとの共同研究の結果、「できたらいいな」が形になったと思います。電子展示サイト「文明開化の科学者・矢田部良吉の生涯」から、ぜひご覧ください。
(理工学研究部・有賀暢迪)

4月1日

都市生物相変遷の総合研究
都心でも普通に見られるようになったロウソクゴケ

環境汚染に関する悪いニュースばかりが目立ってしまう昨今ですが、すべてが悪い方向に向かっているのかというと、そうでもありません。例えば、かつて深刻だった大気汚染が改善されたことが挙げられます。これは測定データで示されているだけでなく、科博が行った皇居や自然教育園での調査において、大気汚染に敏感な地衣類の多様性が過去から大幅に増加したことからも知ることができます。
2021年度から都市環境における生物相変遷に関する総合研究が始まります。人間活動に伴って良くも悪くも様々な生物相が変化してきましたが、それらの現状や変遷を外来生物も含めて皇居を中心に調査していく計画です。
(植物研究部:大村嘉人)