2015-07-15

“第4の原人”化石を台湾で発見


澎湖人(ほうこじん)の発見

図(a,b):澎湖の動物化石が見つかる海域(bの赤い楕円部分)。
写真(下左):引き上げられた動物化石の一部。
写真(下右):研究チーム(左から一人おいて張、高井、海部、河野)。


台湾本島とその西にある澎湖諸島の間の海域からは、ゾウ、スイギュウ、シカ、シフゾウ、ウマ、クマ、トラ、ハイエナ、タヌキなど、様々な地上性の中〜大型哺乳動物の化石骨が大量に見つかっています。これらは漁船の底引網に、魚と一緒にかかって引き上げられたものです。水深70メートル以上あるこの場所から、どうして陸上動物の化石が発見されるのでしょうか? 

それは氷期・間氷期サイクルと関係があります。気温が今より低かった氷期には、海水面が低下してこの一帯は陸化していたのです。中国大陸と台湾の間の海は大部分が水深60メートル程度と浅く、最大で130メートルほど海面が下がった氷期には、台湾がアジア大陸の一部だったことがありました。そうした時期に、動物たちが広がってきていたというわけです。

2009年のことでした。京都大学霊長類研究所の高井正成教授が、台中にある国立自然科学博物館を訪れた際、博物館の古生物学者である張鈞翔博士に台湾で見つかっているサルの化石について訊ねました。そこで見た澎湖の動物化石の写真の中に、原始的な人類と思えるものがあったのです。実物の化石は、台南市に住む化石コレクターが持っているとのことでした。

それは人類の下顎骨(下あごの骨)の化石で、現代人ならその前面下部にある突出部(“オトガイ”と呼びます)がなく、明らかに原始的な種に属するものでした。これはたいへんだということで、高井教授から、古い人類の化石を研究している科博の河野礼子博士と私のところに連絡が入りました。重大な発見であることは写真を一目見れば明らかでした。即座に張博士を含めた研究チームを発足することにし、2010年に私たちも台南市を訪れて研究をスタートさせました。