2015-07-15

“第4の原人”化石を台湾で発見

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澎湖人(ほうこじん)の発見
驚きの形態
意外な年代
“第4の原人”

“第4の原人”

図(左):アジアの原人地図。緑色の部分は、海深100mより浅い海域で、氷期の海面低下時に陸化したと考えられます。
図(右):アジアにいた原人・旧人と澎湖人の年代的関係。


ですから澎湖人と和県人は、やはり北京原人やジャワ原人とは別のグループの原人だったのです。もし澎湖人の年代が20万年前より新しいのなら、そうした原人が、北京原人が40万年前頃にいなくなった後にも中国南部〜台湾地域で生き残っていたということになります。

2015年1月に、私たちはそうした内容の論文をNature Communications誌に発表しました。これまでアジアで認識されていたジャワ原人、北京原人、フローレス原人に続く“第4の原人”発見というニュースに、国内の主要全国紙の全てと3つのテレビ局が取材に訪れ、大きく報道されました(ただし“原人”は日本国内のみで使われている語なので海外向けには“新しいタイプの人類”と、異なる表現をしています)。台湾でも記者会見を行い、張博士は一躍有名人になりました。欧米のメディアからも注目され、CNNなどで報道されました。

澎湖人の化石は、私たちに新しい知見をもたらしました。しかし化石資料はまだ1点だけです。本当の調査研究は、これから始まるのだと考えるべきでしょう。それにアジアには、まだ古い人類化石が発見されていない空白の地域がたくさん残っています。そうした地域から、今後、どんな発見が出てくるのかたいへん楽しみです。

〈執筆・監修〉
 国立科学博物館 人類研究部 人類史研究グループ グループ長 海部陽介


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