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深海性魚類

深海性魚類とは一般に水深200m以深にすむ仲間をさします。大きく2つのグループに分けることができます。第一のグループは系統的に古くて祖先の時代から深海域に適応した仲間(一次性深海魚)で第二は比較的新しい時代に深海魚となった魚類で祖先種が浅い場所に生息していたと考えられる仲間(二次性深海魚)です。一次性深海魚には、牙を持った鬼のような面相のワニトカゲギス目や発光魚として有名なハダカイワシ目等が知られ、二次性深海魚に紐のように細くなった尾部をもつソコダラ科やゼラチン状の体をもったウラナイカジカ科等が含まれます。

中層域(水深数百メートル)にすむ一次性深海魚はビームトロールという特殊な漁具で採集します。また一次性深海魚の多くは摂餌のために夜間海面近くへ上がってきますが(深い場所と浅い場所を垂直に往来するので鉛直回遊と呼ばれます)、海面近くで稚魚ネットという網を曳いて採集します。調査用の船や特殊な漁具が必要なため、標本を採集することが簡単ではありません。そのような理由も関係して、日本周辺の深海にはまだまだ未知の種類が残されています。私は国立科学博物館の調査で東北太平洋岸駿河湾および土佐湾の各深海を調べています。



一次性深海魚



リュウグウハダカ

ヒガシホウライエソ

ススキハダカ


二次性深海魚




ヤリダラ

モヨウヒゲ

ボウズカジカ