アオコはどうして嫌われるの?-アオコの毒-

アオコを構成している藍藻類[らんそうるい]は顕微鏡で見るととっても綺麗なのに、嫌われ者です。それはどうしてなのでしょうか。

アオコの中にはミクロシスティン(ミクロキスティスの一部に含まれる)やアナトキシン(アナベナの一部に含まれる)などの毒を含んだ物があります。この毒は発ガン促進活性を持ち、肝臓に作用します。 これらの毒が人間にどのような影響があるかについては良く知られていませんが、海外ではアオコの発生する場所でカヌーをしていた人が皮膚炎[ひふえん]になったり、アオコの水を飲んだ人が下痢をしたりといった事例が知られています。 また、ヨーロッパではアオコの発生した湖の魚を食べることが禁止されている例もあります。海外では、家畜がアオコの入った水を飲んで死亡する例が多く報告されています。しかし日本では、アオコの入った水を飲んだり、アオコの発生するような湖の魚を食べることが、あまりないので、被害例は知られていません。

いっぽう、日本でもアオコが水鳥の大量死の原因となった例が知られています。 アオコはまた魚類の大量死を引き起こすこともありますが、魚類の多くはアオコが発生するとその水域から逃げると言われています。

アオコは、また景観[けいかん]上の問題も引き起こします。私たちは、水に特別の親しみを感じるため、湖沼[こしょう]の多くは観光地となっています。 その表面がペンキが流れたように青緑になってしまうと、やはり嫌な気分になるでしょう。また、アオコには独特のカビ臭がします。現実的な問題としては毒の影響より、この景観上の影響の方が強いかもしれません。アオコの大量発生の後、アオコが分解するときには腐敗臭[ふはいしゅう]を発生すると共に、水中の酸素を消費してしまいます。そのことも魚の大量死や景観上の問題になります。

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