研究室コラム・更新履歴

12月7日

軽い、四角い、使いやすい
化石の採集にはいろいろな道具を使います。みなさんイメージされるハンマーはもちろん、お菓子作りでおなじみの篩(ふるい)も必須の品です。私たちの研究室では東南アジアの化石生物がどう多様化してきたかを明らかにする研究をしており、篩を使って小さな貝化石を大量に採集します。けれども市販品は重いうえ、丸い形をしていてどうにも使いにくい…。しからば、ホームセンターで手に入る材料で、軽い角形のものをこしらえてみれば…劇的に効率アップ! こうして得た資料の研究成果を発表していきますので、ご期待ください。
(地学研究部:芳賀拓真)

11月30日

弥生人のDNA
下本山岩陰遺跡に人類研究部全員で訪問した時の様子

私たちのルーツを知る方法として、遺跡などから出土する人骨のDNAを分析して昔と今の人の遺伝関係を調べるというものがあります。当然、人骨は長いあいだ土に埋もれていたのでDNAのほとんどは分解されていますが、試料の状態によっては専用の設備と手法を用いることでDNA配列を調べることができます。下本山岩陰遺跡(長崎県佐世保市)から出土した弥生時代人骨のうち、2体からは幸運にも良好な結果を得ることができ、今年6月に弥生人のミトコンドリアゲノムを決定した最初の論文としてAnthropological Science (Japanese Series)に発表しました。その後も下本山弥生人のDNA分析は続けており、今年の夏には膨大な遺伝情報を含んでいる核ゲノムの一部配列を決定することができました。今後の解析によって、下本山弥生人と現代日本列島人の遺伝関係がこれまでよりも詳細にわかることが期待されます。
(人類研究部:神澤秀明)

11月23日

研究者の資質?
国際原生生物学会(チェコ共和国)で留学時代のラボメンバーと(一番左が谷藤)

研究者に必要な資質を聞かれることがありますが、コミュニケーション能力が結構大事だと思っています。私は学会に行くたびに新しい人脈を作り、共同研究の芽を持ち帰るようにしています。知り合った研究者仲間とはSNS(Facebookや研究者用のものなど)で、いわゆる“友達登録”をすることがあり、この繋がりが本当に助けになります。SNS上で研究のネタを仕入れることもあれば、議論が起こることもあります。また、直接会ったことのない研究者に連絡しても、こちらの素性が分かるせいか、だいたいすぐに返事が来ます。研究者にとって、世界中の人と友達になることも大事な能力かもしれません。
(動物研究部:谷藤吾朗)

11月16日

今年は鹿児島で
薩摩半島側から見た桜島

大きな地震があった節目の年に、その地で地震学会を開催することがあります。今年は1997年3月と5月に鹿児島県北西部で大きな地震が起きてから20年で、10月に桜島の近くで学会が開催されました。滞在中の桜島は、おとなしかったです。普段は当館内で地震に関する議論をすることはないので、学会やシンポジウム等に出席して新しい情報を仕入れています。一日中地震の話に囲まれ、当館を訪れる皆様に今後どうお伝えしようかな、などと考える4日間でした。
(理工学研究部:室谷智子)

11月9日

ブータンでの高山植物調査
かねてから知見の乏しい「黒色花」(実際には真っ黒ではなく、非常に濃い赤紫色で黒っぽく見える花)に関する研究ができないかと考えていたところ、ブータンの高山帯でマメ科の「テルモプシス・バルバタ(上写真)」に出会いました。絶好のチャンスとその花の色素を分析すると、紫色のデルフィニジンやペチュニジン、赤色のシアニジンなどの配糖体を多量に蓄積することで、黒に近い花色をしていることが分かりました。これは事前に予想していた通りの結果でしたが、さらにこの花から、コーヒーの機能性成分として知られるクロロゲン酸も見つかりました。この成分は紫外線をはじめとする高所でのストレスの防御に役立つと考えられ、この発見は予想外のものでした。現在、他の様々な高山植物でも調査が進んでおり、高嶺の花たちに秘められた、化学的多様性が明らかになりはじめています。
(植物研究部:村井良徳)

11月2日

昆虫標本づくりを支える技術
今回は昆虫標本作成の裏側をお見せしましょう。写真は研究室にある大きな乾燥機の中です。なにやら針の山が見えますね。これは、野外調査で採集してきた蛾の標本をつくっているところで、展翅(てんし)と呼ばれる作業です。展翅板(てんしばん)という器具を使い、一個体ずつハネを広げてパラフィン紙と針でとめ、乾燥させて形を整えます。展翅作業は、標本作成の技術を持っているスタッフにお願いしてやってもらうことも多いです。いろいろな人に支えられながら、少しずつ標本のコレクションがつくられているのです。
(動物研究部:神保宇嗣)

10月26日

現地調査
写真:福岡市埋蔵文化財センター内の機器室での調査風景(左が沓名)

先日、福岡市埋蔵文化財センターで戦国時代の非鉄金属生産技術に関する現地調査を行いました。福岡市には、出土遺物の保存処理や詳細調査のため最新の機器がそろっています。収蔵場所で詳細調査が行えることは、安全面などからも遺物にとって非常に重要です。今回の調査でも、また新たな発見に出会え、収蔵庫はまさに宝の山と感じました。今回の調査成果は、当館(上野本館)で行うディスカバリートークなどで今後紹介したいと思っています。
(理工学研究部:沓名貴彦)

10月19日

秋に咲くカンアオイ
「カンアオイ」という植物をご存知でしょうか? 徳川将軍家の家紋「三つ葉葵」のもとになった植物「フタバアオイ」の仲間です。それにしても、特に不思議なのはその花。種類ごとにいろんな色や形をしていて、おまけにそれぞれ独特の香りがあるのです。でも、蜜などは一切ないようで、それぞれどのような昆虫をどうやって呼んで花粉を運んでもらっているのか、謎だらけ。2月から4月にかけて咲く種が多いのですが、上写真の「カントウカンアオイ」のように今の時期に咲くものも少しあり、これも花粉を運ぶ昆虫と関係あるのか、興味がつきません。
(植物研究部:奥山雄大)

10月12日

マッコウクジラの骨格標本
写真:特別展(上野本館)で展示された頭部構造付き16mマッコウクジラ頭骨標本

深海ではダイオウイカと戦い、腸内では「龍涎香(りゅうぜんこう)」と呼称される香水原料の腸石が生成され、歯は印鑑や工芸品に、脳油は燃料や防錆剤となるなど、多方面で有名な「マッコウクジラ」。しかし、その全身骨格の標本化は途方もなく大変で、16m級を保管できる施設も限られている。当館筑波研究施設自然史標本棟には頭部構造を再現した16mマッコウクジラ頭骨標本を収蔵している。いつか全身版を作製したいものである。
(動物研究部:田島木綿子)

10月5日

1万枚の太陽黒点スケッチ
1947年4月5日の黒点スケッチ(南東部に史上最大級の黒点群が見える)

当館ウェブサイトの「標本・資料データベース」に「太陽黒点スケッチデータベース」というページをアップしました。理工学研究部の先輩である小山ヒサ子先生が1947年から1996年の50年間続けて行った世界的にも貴重な太陽黒点のスケッチ観測、約1万枚をデジタル化したものです。大きな太陽フレア(太陽表面の爆発現象)が起こって最近話題になりましたが、そのような太陽活動と太陽黒点は密接な関係があります。1ヶ月の観測をアニメ化したものも用意しましたので、是非一度ご覧ください。(画像のスキャンだけで5年を要した力作です!)
(理工学研究部:洞口俊博)