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4月25日
小型アンモナイトの研究、34年目の結果
Tetragonites minimus
(左)と
Tetragonites nanus
(右)、いずれも成体殻
私は、
1989
年に北海道の白亜紀の地層から新種の小型アンモナイトを発見し、
Tetragonites minimus
として記載しました。その際、産出する時代により、成体殻のサイズや形態が異なることを指摘しましたが、形態差は同種の時代的な変化なのか、別種なのかを議論するには標本数が十分ではなく、同一種として記載しました。その後、数百個の標本を採集し、成体殻のサイズや殻の成長様式を詳細に調べた結果、1)中間形が見られない、2)成長のかなり早い段階から形態が異なる、ことから、2種に区別できることが判明し、
2023
年に一方を新種
Tetragonites nanus
として記載しました。1989年に指摘した形態の違いは、同種内の時代的な変化や雄雌差などではなく、別種の存在を意味していたことが34年目にして明らかになりました。
(地学研究部:重田康成)
4月18日
外来種?それとも自然分布?
南北アメリカに自生する水草
Najas guadalupensis
が沖縄本島の一部に生育していることが
わかりました。
人が運び込んだ外来種と考えるのが普通ですが、渡り鳥などによって運ばれた可能性もゼロではありません。むしろ、水草は長距離散布が起こりやすいというのが、当館らの研究グループの成果でもあるため、外来種と決めつけるのは自己矛盾なのかもしれません。外来種なのか自然分布なのか?それが生態系に与える影響としてどこに違いがあるのか?なかなか深い問題です。
(植物研究部:田中法生)
4月11日
日本の魚類図鑑
「北海道水族寫生図」(立花宇一、1897年 当館所蔵)のカレイ類(博物画原図)
魚類図鑑といえば綺麗な標本写真が印刷されているのが現在の主流ですが、私が子供のころは絵の多い図鑑、それ以前は全てが絵の図鑑が出版されていました。さらに時代をさかのぼると、魚類図鑑の絵は江戸〜明治時代の精密な博物画につながります。さて、日本人の多くが魚に親しみを感じるのは、それが大切な食料である以外に、日本で良質な図鑑が出版されたことも大きいと感じています。古い時代に描かれた博物画の生物学的な意味での精度を調べることで、魚類図鑑の原点のほか、日本人と魚類の関わりについての新たな側面を明らかにできると考えています。
(動物研究部:篠原現人)
4月4日
不思議なヒゲクジラ:発見から70年!
当館所蔵のハーペトケトゥス・センダイクスの全身骨格化石(NMNS-PV 19540)の復元レプリカ
当館には、ハーペトケトゥス・センダイクスという名を持つ全長わずか3mちょっとの異次元の小ささを誇る500万年前のヒゲクジラの全身骨格化石が保管されています。現代に生息しているヒゲクジラで最も小さい南半球のコセミクジラでも6mはあるのに、何故こんなにも小さいのか、実はこれまで解明されていませんでした。この標本は、1954(昭和29)年に現在の岩手県奥州市から発見され、今年でちょうど70周年という記念すべき年を迎えました。70年目にしてようやくその大きな謎を解き明かせそうです。
(地学研究部:甲能直樹)