第625号
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科博メールマガジン第625号
発行日:2015年4月30日
http://www.kahaku.go.jp/
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今週は全国的に夏日や真夏日になったりと、春を飛び越して夏がやってきた
かのような日がありました。上野公園内も、ソフトクリーム片手に散策されて
いる観光客の方々を多く見かけます。
さて、本日からメールマガジン特製デスクトップ壁紙の5月分をご利用いた
だけます。今回は特別展「大アマゾン展」で生体展示している水草「コビトヒ
メビシ」です。気温も上がってきましたので、この壁紙を見てちょっぴり涼ん
でいただけたらと思います。
※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「海に咲く花を見せたい」
■ 筑波研究室トピックス 「深海における爆発的火山活動の解明」
■ ボランティア便り 「ヤマブキから教えられたこと」
■ お知らせ
■ 科博関連メディア情報
■ 壁紙プレゼント(5月カレンダー付き)
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◆ エッセイ ◆
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海に咲く花を見せたい
植物研究部 田中 法生
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海の中にも植物がいます。そんなの知っていると思われるかもしれませんが、
海藻ではありませんよ。陸上植物の祖先から、淡水中へ進出し、さらに海水中
へ進出した植物なのです。そのため、根も茎も葉もあり、すべての種類が花を
咲かせます。
海草と書いて「うみくさ」と読む、この変わった植物たちには絶滅危惧種も
多いのですが、残念ながら、海草の栽培保存は国内の植物園ではもちろん、海
外の植物園においてもほとんど成功例がありません。これは、生育環境が特異
なために、栽培が難しいことが大きな原因です。とはいえ、難しいから栽培を
しないというのでは、何も始まりません。
そこで筑波実験植物園では、3年ほど前から海草の栽培に挑戦しています。
正直、数ある水草の中でもかなりの手強さで、臨海施設でもない限り無理なの
ではと半ば諦めたこともありました。それでも、継続していると必ず光は見え
てくるもので、最近ようやく安定して維持するための条件が少しずつわかって
きました。まだまだクリアすべき課題は多いのですが、何としても栽培保存方
法を確立したいと考えています。保全的意義はもとより、栽培下で花を咲かせ
られれば可能な研究も多くありますし、何よりも植物園で海に咲く花をお見せ
できるのです!
この夏、筑波実験植物園では、「水草展2015〜海に生きる水草〜」を開催し
ます。海に咲く花を見せられるかは今はなんとも言えません…でも、海の中に
生きる水草の不思議な世界はたっぷりと楽しんでいただけるよう、準備中です。
夏の暑さを楽しめる展示です。ぜひお越しください。
▼「水草展2015〜海に生きる水草〜」
http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2015/08mizukusa/index.html
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◆ 筑波研究室トピックス ◆
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深海における爆発的火山活動の解明
筑波地区 研究活動広報担当
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先頃、ニュージーランド北東沖ケルマディック島弧での調査航海を終えた当
館地学研究部の谷健一郎研究員に、この調査の概要を聞きました。
〇調査航海の目的は何ですか。
ニュージーランド北東沖で2012年に噴火したばかりの海底火山、Havre
火山の調査航海に3/27〜4/17の期間、参加しました。この火山は大部
分が水深900mより深い海底にあります。これまでの常識では、こんな深海
で噴火が起こっても周りの水圧で爆発が封じ込められ、また海水で噴出物が冷
やされてしまうので、海面上には影響がないだろうと思われていました。しか
しこの火山の場合は、海面に浮く大量の軽石(流紋岩質の火山噴出物)に、上
空を飛んでいた旅客機の乗客が気付くほどの大規模な噴火でした。なぜこのよ
うな爆発的な海底噴火が起こったのか、さらにはこの噴火によって周辺の海底
はどんな影響を受けているのかを明らかにするのが本航海の目的でした。
〇航海に使用した船や機材は?
アメリカのスクリップス海洋研究所所属の調査船Roger Revelle号(3180
トン)です。自律型無人探査機で分解能が1mという高精度な海底地形図を作
り、その地図を基に遠隔操作型の無人探査機で海底観察や試料採取を行いまし
た。
〇今回の成果と今後の展望について聞かせてください。
高精度海底地形図から、爆発的噴火によって周辺の海底にまき散らされた噴
出物の分布が明らかになりました。また2012年の噴火の際に出来たと考え
られる多数の噴火口や溶岩流も見つかり、噴火が広範囲で長時間にわたって継
続していたこともわかりました。今後は採取された噴出物の詳しい分析・解析
を行い、噴火の全貌解明を進める予定です。また、このような軽石を噴出する
可能性がある海底火山は日本の伊豆小笠原諸島や南西諸島の近海にも無数に存
在しており、さらには浅海での海底噴火は津波を引き起こすこともわかってい
ます。Havre火山のような噴火したての海底火山を詳しく調査することで、未
だに謎の多い海底火山の噴火メカニズムや災害リスクを理解したいと考えてい
ます。
▼研究者紹介ページ(谷研究員)
http://www.kahaku.go.jp/research/researcher/researcher.php?d=kentani
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◆ ボランティア便り ◆
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ヤマブキから教えられたこと
植物園ボランティア 佐藤 絹枝
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ヤマブキは好きな花の一つです。山菜採りに山に入った時など、咲き乱れて
いるのに出会うと見とれてしまいます。
私は、太田道灌の逸話に出てくる古歌「七重八重 花は咲けども山吹の 実
の一つだに なきぞ悲しき」から、深く考えずに「ヤマブキには実がならない」
と思い込んでいました。植物園ボランティアになって園の植物の写真を撮るよ
うになったある日、ヤマブキの花が終わった後に実がついているのに気が付き
ました。えっ、と思い調べると、自生種には一重の花が咲き実がなり、八重の
花はめしべやおしべが花弁状に変化しているため実がならないということが分
かりました。
これは、ほかの植物にもいえることで、自生種は基本的に一重の花を咲かせ
ます。園芸種などの八重咲き種が実や種子をつけることはごく稀です。春にな
ると植物園のあちこちにヤマブキの花が咲きますが、花の美しさを愛でながら
こんなことを考えるのも楽しいです。
観察するようになって、植物から沢山のことを教わりました。植物への関心
は花だけではありません。例えば、寒い時期に木々が葉を落とした明るい林を
歩けば、冬芽や枝の形の面白さに気付きます。早春の芽吹き時の葉の展開はた
め息が出るような美しさ、可愛さです。ルーペで覗くと更に驚きの世界が広が
ります。以前セミナーで「終わりがないことが面白さの根源」と言われた先生
がいました。最近、少しずつですが分かってきた気がしています。
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◆ お知らせ ◆
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特別展「大アマゾン展」
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本展は、アマゾン川流域に生息する生物の多様性を主なテーマにアマゾンを
総合的に紹介する過去最大級の“アマゾン展”となります。今回、大河アマゾ
ンの源流から河口まで、その広大な流域に生息する哺乳類・爬虫類・両生類・
鳥類・魚類・昆虫・植物・菌類の多様性について、化石や剥製、骨格標本、生
体を美しい映像資料とともに紹介し、あわせてそこに住む先住民と動植物との
関わりについても紹介します。
[開催期間]平成27年3月14日(土)〜6月14日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2015/amazon/
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発見!体験!先端研究@上野の山シリーズ
「山形から未来を照らすサイエンス ―見る・聞く・感じるイノベーション―」
<予告>
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有機エレクトロニクス、3Dプリンタ、ロボット、水中トランシーバ。山形
大学工学部が地域連携・企業とのコラボレーションで研究、開発してきた成果
をご紹介します。山形発、未来を照らすイノベーションを感じてください。
[開催期間]平成27年5月2日(土)〜6日(水)
詳しくは下記をご覧ください。
http://ifront.yz.yamagata-u.ac.jp/kahaku/
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コレクション特別公開「クレマチス園公開」:筑波実験植物園 <予告>
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カザグルマをはじめとするクレマチスの野生種とその園芸品種約250種類を
公開するとともに、クレマチスの種類や花の色などについて解説したパネルを
展示します。
[開催期間]平成27年5月2日(土)〜6月14日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2015/05clematis/index.html
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国際博物館の日記念事業
親子で楽しもう!ミュージアム何でも探検「建物ツアー」 <参加者募集>
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明治から昭和にかけての建物や科学技術について、国立科学博物館や東京国
立博物館、黒田記念館を見学しながら、楽しく学びます。親子での参加はもち
ろん、お友達同士での参加も大歓迎です。
[日 時]平成27年5月16日(土)13:30〜15:00
企画の詳細、参加申し込み方法は下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?id=0001430205932347
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自然観察会「富山県立山のコケと地衣類を見る知る楽しむ」 <参加者募集>
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コケと地衣類の特徴を知り、立山美女平付近で見られる代表的な種類を観察
します。北陸新幹線開通で今注目される富山県の自然をコケ目線で満喫します。
将来、野外での観察指導者を目指したい人にもお勧めです。
[日 時]平成27年6月20日(土)13:00 〜 21日(日)12:00
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?id=0001424071472875
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発見!体験!先端研究@上野の山シリーズ
「山形から未来を照らすサイエンス ―見る・聞く・感じるイノベーション―」
特別講演会 <ご案内>
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山形大学学長をはじめ、山形大学工学部で先端研究を担う教授陣や産業界で
活躍する卒業生による特別講演会を開催します。
[日 時]平成27年5月2日(土)13:30〜17:20
講師、講演タイトル等詳細は下記をご覧ください。
http://ifront.yz.yamagata-u.ac.jp/kahaku/
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上野東京ライン開業記念 国立博物館・美術館3館共通入場券 発売中
<ご案内>
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東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館の3館は、上野観光連盟
と共同で、JR東日本「上野東京ライン」の開業を記念した共通入場券「UENO
WELCOME PASSPORT(上野ウェルカムパスポート)」を2015年3月14日より発売
しています。この共通入場券は、3月14日〜5月31日までの期間中、3館の常設
展/総合文化展が各館1回観覧でき、すごろく式マップやスタンプラリーなど
も付いて、親子で楽しめる内容となっています。
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.ueno.or.jp/nmwp/
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国立科学博物館Facebookページ更新中!
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上野本館の情報を中心に、科博の「今」を写真付きでお届けしています。
Facebookユーザーでなくても閲覧可能ですので、ぜひご覧ください!
https://www.facebook.com/NationalMuseumofNatureandScience
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雑誌milsil(ミルシル)通巻44号と定期購読について
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今回の特集は「宇宙で生物実験」です。世界15か国が参加する有人宇宙施設
「国際宇宙ステーション」に日本が取りつけ、運用している実験棟「きぼう」。
地上にはない特殊な環境を生かしてさまざまな宇宙実験を行っています。その
特殊な環境を利用した生命科学研究分野の実験、宇宙医学研究、宇宙でのタン
パク質結晶生成まで幅広く紹介しています。
また、これまで連載していた「結晶」が最終回を迎えます。近代結晶学が誕
生して約100年、その業績を記念して2014年は世界結晶年に制定されました。
この世界的な行事にあわせて連載を開始したところ、折しも2014年のノーベル
物理学賞が、結晶成長技術が鍵となっている「青色発光ダイオードの発明」に
対し日本人3氏へ授与されるというトピックにも恵まれました。今号で記念す
べき本連載を締めくくり、来号から新連載が始まります。こちらもお楽しみに。
発行日 :平成27年3月1日(日)
定 価 :420円(税込)
定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html
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科博のイベント情報紙「kahaku event」4−5月号配布中!
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情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展覧会や開
催予定のイベントなどについてご紹介しています。国立科学博物館の各施設内
で無料で配布している他、下記ページからもダウンロードすることができます。
ご来館や、イベント参加の計画をたてる際などにご活用ください。
(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)
http://www.kahaku.go.jp/event/kahakuevent/index.html
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◆ 科博関連メディア情報 ◆
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○テレビ放送紹介
放 送 局:NHK BSプレミアム
番 組 名:キワミコトノハ得心寺!
放送日時:4月30日(木)21:00〜22:00
・当館地学研究部の真鍋真グループ長が出演します。
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★ メール募集中 ★
科博に関する思い出、展示の感想など皆様からのメールをお待ちしておりま
す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ
とがあります。なお、お名前は公表しません。)
宛先: magazine@kahaku.go.jp
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◆編 集:国立科学博物館 事業推進部 広報・常設展示課
◆発 行:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7−20
◆お問合せ:magazine@kahaku.go.jp
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