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第777号

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  科博メールマガジン第777号

    発行日:2018年3月8日

   http://www.kahaku.go.jp/

 

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 戌年の今年は、日本原産の犬にあらためて注目が集まっています。例えば、

秋田犬(あきたいぬ)。日本館2階北翼「日本人が育んだ生き物たち」に展示

されている秋田犬ハチ(剥製)をご存知の方も多いことでしょう。本日3月8

日は、そのハチの命日。大きな体に優しそうな目が、飼い主とのエピソードを

思い起こさせます。当館の展示が、犬と人間との関係を考えるきっかけになれ

ばと思います。

   

 

 ※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。

 ※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。

 

▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼

 

 ■ エッセイ    「氷を滑る花崗岩、氷で運ばれる花崗岩」

 ■ かはくの縁の下 「日々の業務で培う博物館職員としてのスキル」

■ 上野の鳥    「春を探しに 三月の上野公園」

■ お知らせ

■ 壁紙プレゼント(3月カレンダー付き)

 

 

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◆ エッセイ ◆

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 氷を滑る花崗岩、氷で運ばれる花崗岩                 

 

            

                        地学研究部 谷 健一郎

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 この原稿を書いている今、韓国平昌での冬季オリンピックが佳境を迎えてい

ます。連日テレビの前で夜更かしが続いている方も多いのではないかと思いま

す。実はトップアスリート達の熱い闘いの一幕を、私が専門としている花崗岩

が支えていることをご存知でしょうか。

 

 「氷上のチェス」と呼ばれるカーリングは、2チームが氷の上でストーンと

呼ばれる丸い石を交互に滑らせ、自チームのストーンを目標となる円の中心に

より近づけることを競います。このストーンは細粒の花崗岩で出来ており、な

かでも本競技発祥の地であるといわれる、英国スコットランドのアルサクレイ

グ島に産する花崗岩で作られているものが、国際大会などでは用いられるよう

です。

 

 アルサクレイグ島は、グレートブリテン島とアイルランド島の間のアイリッ

シュ海に浮かぶ直径1.2km程度の小さな無人島で、今から約6,000万年前に出

来た花崗岩で主に構成されています。細粒花崗岩は緻密で摩耗に強く割れにく

いので、日本でも石材として有名な花崗岩産地は細粒のものであることが多い

のですが、この島の花崗岩はそれに加えてアルベゾン閃石という鉱物を含む珍

しい石であることも(ごく限られた関係者にとって)有名です。

 

 アイリッシュ海一帯は最終氷期には氷河で覆われており、沿岸一帯にはこの

時期に氷河で運ばれた迷子石が点在していますが、アルベゾン閃石を含む花崗

岩は極めて珍しいため、アルサクレイグ島由来のものはピンポイントでその起

源を同定することが出来ます。それによるとこの小島から旅立った迷子石は、

遠く400km近く離れたウェールズ地方の沿岸でも見つかっているそうです。

 

 現代では氷上で活躍するスコットランドの花崗岩が、かつては氷河に乗って

数百キロも運ばれていたのです。今度カーリングをご覧になる際には、石にも

ちょっと注目してあげてください。

 

 

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◆ かはくの縁の下 ◆

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 日々の業務で培う博物館職員としてのスキル

 

  

               研究推進・管理課 関根 則幸(総務担当)

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 このメールマガジンをお読みの方の多くは、当館が茨城県つくば市に研究拠

点を保有していることをご存知かと思います。研究活動には、行政機関等への

申請や届け出が必要となるものも多く、その種類も様々です。このような手続

きをサポートするため、筑波地区には研究推進・管理課という管理部門が存在

します。

 

 当課には総務、広報、外部資金、図書情報といった担当区分があり、私たち

総務担当は前述のような各種申請や手続きをはじめ、施設の維持保全、会議等

の庶務、収蔵庫の在り方検討の補佐など幅広な業務を担っています。これらの

業務の大半に共通することは、外部機関等と研究部を「つなぐ」仕事であると

いうことです。

 

 この「つなぐ」という仕事は、なかなか奥が深いもので、単純に右から左に

つなぐだけでは、伝えたいことが伝わらないケースが多く、研究部の要望や専

門的な意向を正しく理解し、どのように外部機関へ伝えればそれが実現するの

かを考えて対応することは、大変やりがいがあります。博物館には展示や学習

支援活動を通して、一般の方々に知見や情報、研究成果を伝えるという使命が

あります。発信者側の意図を受信者側が理解しやすいように考えるというスキ

ルは、博物館職員にとって大変重要なことであり、このような日々の事務的業

務においても、そのスキルを磨く機会は得られるものなのだと実感しておりま

す。

 

 

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◆ 上野の鳥 ◆

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 春を探しに 三月の上野公園

 

 

                  文京区役所 渡辺 浩(友の会会員)

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 3月1日、ジャイアントパンダのシャンシャンに会いに、上野動物園に行っ

て来ました。運の良いことに、正午ごろ整理券を貰いました。しかし、集合時

間帯が14:00〜15:00なので、それまで上野公園を散策することにしました

(整理券を提示すれば、動物園への再入園が可能)。

 

 この日の東京の気温は20度を超え、汗ばむほどの陽気でした。園路にあるカ

ンザクラはすでに開花していて、シジュウカラがその枝に止まっていました。

そこにヒヨドリが飛んで来て、シジュウカラを追い出してしまいました。その

後ヒヨドリはカンザクラの花の蜜を吸っていたので、おそらくシジュウカラを

ライバルだと勘違いしたのでしょう。私はメジロを呼ぶために、自宅の庭の木

の枝に半分に切ったミカンを刺しておくのですが、どこで見ているのか、すぐ

にヒヨドリがやってきます。ヒヨドリは、メジロを追い出したり、ミカンを落

としたりするので、私にとっては「招かれざる客」といったところです。

 

 不忍池のボート池で、コサギが池に入って魚を獲っていました。釣りに例え

ると「入れ食い」(釣り針を入れるとすぐ魚がかかり、次々に釣れること)状

態で、コサギが水の中に嘴を突っ込むと、必ず魚をくわえていました。夏羽に

ある冠羽(頭)と飾り羽(背中)が出ていましたが、まだ短く、ちょうど冬羽

から夏羽への衣替え(換羽)といったところでしょう。

 

 蓮池では、枯れたハスの刈り取りをしていました。池の見晴らしは良くなっ

たのですが、冬鳥であるカモの姿は少なく、代わりにオオバンやユリカモメが

泳いでいました。

 

 さて、シャンシャンには会えましたが観覧時間は30秒間で、飼育室の木の上

で熟睡していました。父親のリーリーと母親のシンシンも同様に眠っていまし

た。ポカポカ陽気のせいで眠気を催したのか、それとも前夜から早朝にかけて

の「春の嵐」のせいで寝不足だったのでしょうか。

 

 

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◆ お知らせ ◆

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3月の夜間開館関連イベントについて             <ご案内>

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 上野本館では、金曜日・土曜日は20時まで開館しています。(入館は閉館時

刻の30分前まで。)夜間開館関連イベントも実施しますので、この機会にぜひ

お越しください。

 

 3月の夜間開館関連イベントの詳細は、下記をご覧ください。 

 http://www.kahaku.go.jp/news/2018/premium_03/

 

    

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特別展「人体―神秘への挑戦―」                <予告>

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 私たちの体は神秘に満ちています。自らを生かし、動かすものの仕組みを理

解するために、人類は多くの挑戦を重ねてきました。本展覧会では、ルネサン

ス期以降の先人たちの努力の歴史と功績を振り返りながら、人体の構造と機能

を解説するとともに、それが最先端の研究でどのように変わりつつあるのかを

紹介します。

 

[開催期間]2018年3月13日(火)〜6月17日(日)

  

 詳しくは下記をご覧ください。 

 http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2018/jintai/

 

    

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第6回 ヒットネットミニ企画展「紡いで、織る −日本の産業技術−」  

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 「衣」をテーマにヒットネットから4つの博物館を紹介します。国内各地に

伝わる伝統的な衣服の紹介や、日本の紡績技術の発展の歴史などをお楽しみく

ださい。パネルや展示品を見ながら、日々の生活を支え、豊かな文化を育んで

きた産業技術の面白さや、技術の歴史を見る楽しさを感じていただければ幸い

です。

※ヒットネット(HITNET)は、登録した日本全国の産業系博物館等が収蔵・展示

 する資料についての共通データベースです。

 http://sts.kahaku.go.jp/hitnet/

 

[開催期間]2018年2月27日(火)〜4月8日(日)

  

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/2018/02hitnet/

 

    

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国立科学博物館×東京・春・音楽祭

〈ナイトミュージアム〉コンサート 〜展示空間で楽しむ多彩な音楽とトーク

<ご案内>

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 閉館後の展示室内で、ミニ・コンサートや当館名誉研究員によるスペシャル

トークをお楽しみいただける、音楽好き・科博好き必見のイベントです。

 

[開催日時]2018年3月15日(木)19:00開始(21:00終了予定)

   

 チケット情報等、詳細は下記をご覧ください。

 http://www.tokyo-harusai.com/program/page_4941.html

 

 

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高校生のための化学実験講座「光と化学反応」       <参加者募集>   

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 高校の教科書を眺めると、「光る反応」とともに「光によって起こる反応」

もいくつか取り上げられています。こうした光にまつわる反応について、今回

の実験講座で試してみましょう。例えばトイレなどで見かける「抗菌」は、ど

のようにして抗菌しているのでしょうか?

 

[開催日時]2018年3月24日(土)14:30〜16:00

  

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?id=0001513211626739

 

 

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国立科学博物館Facebookページ更新中!

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 上野本館の情報を中心に、科博の「今」を写真付きでお届けしています。

Facebookユーザーでなくても閲覧可能ですので、ぜひご覧ください!

 

 https://www.facebook.com/NationalMuseumofNatureandScience

 

 

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自然教育園見ごろ情報

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 園内の植物、鳥、昆虫等の見ごろ情報を毎週更新して紹介しています。

 

 http://www.ins.kahaku.go.jp/season/index.php

 

  

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自然と科学の情報誌「milsil(ミルシル)」通巻62号と定期購読について

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 「思いついたらやってみる」。子どものころ、朝顔の花で作った色水に、ふ

と思いついて石けん水を入れてみたら色が変わり、リトマス試験紙と同じ! 

と発見したり、カエルの体色が変わるところを見てみたいと思い、色紙を巻い

たビンにカエルを入れてみたはいいけれど…、ということがあったり。子ども

ながらに考えてやってみたことの数々を思い出しました。

 巻頭の「サイエンス・インタビュー」では、現代の生活に不可欠なネオジム

磁石を発明された佐川眞人先生にお話を伺っています。私も先生のように、試

して失敗したときにもっとよく考え、新たな方法を試していれば、今ごろ世紀

の大発見を…、ということはそうそうないと思いますが、あれこれ考え試して

みる楽しさを忘れないようにしたいと、あらためて思いました。

 特集では、人間の「知」の不思議と成り立ちに迫ります。皆さまの知的好奇

心を高めるきっかけに、本誌がお役に立てば幸いです。

 

 

 発行日 :2018年3月1日(木)

 定 価 :420円(税込)

 

 定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html

 (友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html

 

 

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科博のイベント情報紙「kahaku event」4−5月号発行!

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 情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展覧会や開

催予定のイベントなどについてご紹介しています。国立科学博物館の各施設内

で無料で配布している他、下記ページからもダウンロードすることができます。

ご来館や、イベント参加の計画をたてる際などにご活用ください。

(友の会会員には郵送でお届けします。)

 

 http://www.kahaku.go.jp/event/kahakuevent/

 

   

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