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第678号

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  科博メールマガジン第678号

    発行日:2016年4月28日

   http://www.kahaku.go.jp/

 

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 いよいよ大型連休が始まりますね。雨模様ということも手伝って、当館は朝

から大賑わいです。明日からはお天気も回復するようですので、上野公園を散

策がてら、ぜひお立ち寄りください。

 さらに、港区にある附属自然教育園は、都心に居ながらにして豊かな自然に

触れられる貴重な森林緑地です。若葉の茂るこの季節、連休中のお出かけにも

おすすめです。ホームページの見ごろ情報は毎週更新していますので、ご来園

の際はぜひチェックしてみてください。

http://www.ins.kahaku.go.jp/season/index.php

 

 

 ※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。

 ※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。

 

▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼

 

 ■ エッセイ 「イモガイ」

 ■ 筑波研究室トピックス 「西之島2014年噴火のマグマ成因を初めて解明」

 ■ お知らせ

 ■ 壁紙プレゼント(5月カレンダー付き)

 

 

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◆ エッセイ ◆

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 イモガイ

 

 

                       動物研究部 長谷川 和範

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 巻貝の仲間にイモガイ類というグループがあります。吻(ふん)の中に毒針

をもち、これを餌となる動物に刺し、殺して食べるという、まさに海のハン

ター。中には人間を殺傷する毒をもつことで有名なアンボイナという種も含ま

れます。熱帯の浅海を中心に著しい種分化を遂げ、現在世界中から800種以

上が知られています。これだけ大きなグループなので、属レベルでも区別しよ

うという試みも昔からあり、今日までに140もの属名が提唱されてきました

が、あくまでも主観的なもの。実際は中間的な種も多いことから、最近では暫

定的に全体を一つの属(殻の形の円錐形を意味するConus)に含めよう、とい

う考えが主流となっていました。このような混沌とした関係を明らかにする方

法は、DNA解析しかありません。希少種を含めた多くの材料集めなどの困難

を乗り越えて、今年の2月にパリの国立自然史博物館を中心としたグループに

よる研究成果が出版されました。その結果、イモガイ類は4つの属と、多くの

亜属に分けられることになりました。ただ、いずれにしても近縁な種が多様に

分化したものであることは疑いありません。

 

 地球館1階の「地球の多様な生き物たち」では、様々なコーナーでこのイモ

ガイ類を取り上げています。「系統広場」では進化の道筋を示し、「多様性の

由来」で太平洋産の選りすぐった220種を展示、「自然を生き抜く工夫」で

はイモガイ類の食性の多様性を示しています。実は限られた生息環境に多くの

種が分化できたのは、餌の特殊化にあったのです。驚きの摂餌方法を含め、詳

しくは展示室で実際にご覧いただければと思います。

 

 

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◆ 筑波研究室トピックス ◆

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 西之島2014年噴火のマグマ成因を初めて解明

 

 

                      筑波地区 研究活動広報担当

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 4月5日にタイトルのプレスリリースを行った、地学研究部鉱物科学研究グ

ループの佐野貴司グループ長に、今回の研究成果の概要を聞きました。

 

○研究成果のポイントを教えてください

 2年以上噴火を続けている小笠原諸島、西之島火山の火山灰について化学分

析を行った結果を国際科学雑誌の「火山・地熱研究(エルゼビア出版)」に発

表しました。分析結果を考察したところ、以下のような新事実が明らかになり

ました。

 地球は「プレート」と呼ばれる十数枚の岩板で覆われています。これまでに

活発な噴火を行ってきた伊豆大島や三宅島、そして活動中の西之島は、フィリ

ピン海プレートと呼ばれる岩板の上に乗っていますが、これら火山の地下深く

には太平洋プレートが存在します。太平洋プレートは伊豆−小笠原海溝から西

に向かって地中に沈み込んでいるからです。太平洋プレートと一緒に地下深部

へ沈み込んだ水は、深さが100kmを超えると上に絞り出され、岩石を融かし、

マグマをつくります。このマグマが地表へ到達すると火山が噴火します。今回

噴出した西之島の火山灰には、これに合わせて海山由来の成分が検出されまし

た。これが新発見です。

 

○今回の研究に関する展望がありましたら聞かせてください

 西之島東方の太平洋プレート上には、多数の海山が分布しています。本研究

の結果により、太平洋プレートと一緒に沈み込んだ海山が、西之島の地下深部

でマグマの発生に関与していることが分かりました。

 今回、海山が地下深くまで沈み込み、火山噴火により地表へ戻ってくること

は分かりました。これをリサイクルと呼びます。しかし、いったいどの程度の

時間をかけて地表へ戻ってきたのでしょうか?これについては、まだ何も分かっ

ていません。私はこのリサイクル時間を知るためにベリリウム−10という放

射性同位体が利用できると思っています。今後、ベリリウム−10を使ってリ

サイクル時間を推定する予定です。

 

▼プレスリリース掲載webページ(PDF版)

http://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/123461.pdf

 

▼研究者紹介ページ(佐野貴司グループ長)

http://www.kahaku.go.jp/research/researcher/researcher.php?d=sano

 

 

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◆ お知らせ ◆

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コレクション特別公開「クレマチス園公開」:筑波実験植物園  <予告>

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 様々な色や形の花が楽しめるクレマチス。カザグルマをはじめとする野生種

や、多様化した園芸品種などを多数展示します。クレマチスに関する解説パネ

ルやセミナー、展示案内などもあります。

 

[開催期間]平成28年4月29日(金・祝)〜6月5日(日)

[会  場]筑波実験植物園

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2016/05clematis/index.html

 

 

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化学実験講座「易しい電気泳動実験」  <参加者募集>

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 水中のイオンの概念は重要ですが理解しにくいものです。本講座では、ろ紙

とアルミホイルを使う簡単な電気泳動の実験を通して、イオンの存在を実感す

ることができます。

 

[日  時]平成28年5月14日(土)14:30〜16:00

[会  場]上野本館 地球館3階実験実習室

[講  師]当館理工学研究部/米田 成一、若林 文高

[申込方法]往復はがきまたはWEB(4/30締切・消印有効)

[定  員]20名

[対  象]大学生以上、現職理科教員を優先

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?date=20160514

 

 

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特別展「恐竜博2016」

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 本展では、最新の研究をもとにしたスピノサウルスの全身復元骨格を、ティ

ラノサウルスと対峙する形で展示。貴重な赤ちゃん化石をはじめとする日本初

公開の標本など、近年の恐竜研究の成果をご紹介します。大迫力の映像シアター

も必見です!

 

[開催期間]平成28年3月8日(火)〜6月12日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2016/dino2016/

 

 

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企画展「生き物に学び、くらしに活かす−博物館とバイオミメティクス」

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 バイオミメティクスとは、生物学と工学が連携・協働し、生物に学びながら

私たちのくらしをより良くすることを目指す新しい学問です。本展では、昆虫

・魚類・鳥類を中心に、バイオミメティクスの実例とそのモデルとなった生物、

博物館が果たす役割、異分野の学術交流に役立つ情報科学技術などを紹介しま

す。

 

[開催期間]平成28年4月19日(火)〜6月12日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/2016/03biomimetics/

 

 

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企画展「日本海とその周辺の自然史の調査」

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 当館では平成23年度から5年間にわたり総合研究「日本海周辺域の地球表

層と生物相構造の解析」を行いました。すでに論文として公表された多くの研

究成果を含め、このたび企画展という形でその概要を紹介します。この研究成

果が、少しでも日本列島の自然史解明に貢献できればと考えます。

 

[開催期間]平成28年4月26日(火)〜5月29日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/2016/04JapanSea/nihonkai-flyer.pdf

 

 

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Friday Night Science 大学生のための自然史講座

「日本列島の自然史と生物多様性」  <参加者募集>

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 大学生のための自然史講座は、国立科学博物館における研究の成果に加え、

近年の生物多様性研究の知見を交えながら、日本列島の自然・自然史について

様々な角度から体系的に理解できる講座です。

 

[開講期間]平成28年5月から12月まで(原則第1・3金曜日の18:00〜19:30)

 

 カリキュラム内容、申込方法等、詳細は下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/learning/university/partnership/03.html

 

 

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国際博物館の日記念事業

ミュージアム何でも探検「上野公園建物ツアー」  <参加者募集>

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 明治から昭和にかけての建物や科学技術について、国立科学博物館や東京国

立博物館、国立国会図書館国際子ども図書館を見学しながら、楽しく学びます。

 

[日  時]平成28年5月21日(土)13:30〜15:30

 

 申込方法等、詳細は下記をご覧下ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?date=20160521

 

 

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「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」

クラウドファンディング最終結果のご報告

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 本プロジェクトの第一段階の活動資金を、日本の国立の博物館として初とな

るクラウドファンディングによって募集してきましたが、無事目標額を達成す

ることが出来ました。皆さまからのご支援、応援に、厚く御礼申し上げます。

 今後の進行状況等は、下記公式ページや、会員(支援者)向けメールニュー

スにてお知らせします。

 

▼「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」公式ホームページ

http://www.kahaku.go.jp/research/activities/special/koukai/

 

 

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UENO WELCOME PASSPORT−上野地区文化施設共通入場券− 発売  <ご案内>

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 上野「文化の杜」新構想実行委員会では、上野地区の文化施設を一度に楽し

めるお得な入場券「UENO WELCOME PASSPORT(上野ウェルカムパスポート)」

を2016年1月2日から発売します。この共通入場券では、1月2日〜5月

31日までの期間中、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、上

野動物園、下町風俗資料館、旧岩崎邸庭園、東京都美術館、東京藝術大学大学

美術館の8施設の常設展等を1回観覧できるほか、国立国会図書館国際子ども

図書館、東京文化会館、上野の森美術館を合わせた11施設を巡るスタンプラ

リーも楽しめます。

 

[販売および利用期間]平成28年1月2日(土)〜5月31日(火)

           ※限定10,000冊、売切次第販売終了

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/news/2016/Ueno_passport/UENO_Passport.pdf

 

 

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国立科学博物館Facebookページ更新中!

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 上野本館の情報を中心に、科博の「今」を写真付きでお届けしています。

Facebookユーザーでなくても閲覧可能ですので、ぜひご覧ください!

 

 https://www.facebook.com/NationalMuseumofNatureandScience

 

 

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自然教育園見ごろ情報

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 園内の植物、鳥、昆虫等の見ごろ情報を毎週更新して紹介しています。

 

 http://www.ins.kahaku.go.jp/season/index.php

 

 

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雑誌milsil(ミルシル)通巻50号と定期購読について

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 皆さまの知的好奇心を高めるきっかけになればという思いで、その時々の

科学の話題や研究の最前線などをお伝えして8年と2カ月。とうとう本誌も

通巻50号となりました。

 50号発行を記念して、今回の特集は「国立科学博物館」です。「科博?何

回も行っているからよく知っているよ」「オープンラボにも行ったことがある

し」という声も聞こえてきそうですが、そこは『milsil』。所蔵する標本資料

や研究者・研究内容をご紹介することで、当館をもっともっと知っていただけ

る内容になっています。博物館は展示だけではないのです。その土台となる標

本資料、研究があってこそ、皆さまに楽しんでいただける展示ができることを

少しでもお伝えできればと思います。そして、是非、お近くの博物館、科学館

にも足を運んでください。

 

 発行日 :平成28年3月1日(火)

 定 価 :420円(税込)

 

 定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html

 (友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html

 

 

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科博のイベント情報紙「kahaku event」4−5月号配布中!

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 情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展覧会や開

催予定のイベントなどについてご紹介しています。国立科学博物館の各施設内

で無料で配布している他、下記ページからもダウンロードすることができます。

ご来館や、イベント参加の計画をたてる際などにご活用ください。

(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)

 

 http://www.kahaku.go.jp/event/kahakuevent/index.html

 

 

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す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ

とがあります。なお、お名前は公表しません。)

 

 宛先: magazine@kahaku.go.jp

 

 

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 ◆編  集:国立科学博物館 事業推進部 広報・運営戦略課

 ◆発  行:国立科学博物館

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