第655号
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科博メールマガジン第655号
発行日:2015年11月26日
http://www.kahaku.go.jp/
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急に冬がやってきたような寒さに、慌てて防寒具を引っ張り出しました。と
ころで今日は語呂合わせで「いい風呂の日」だそうです。日中でもお風呂で暖
まりたくなる季節ですね…。
さて、本日からメルマガ特製デスクトップ壁紙が新しくなりました。12月
は、現在開催中の特別展「ワイン展」より、ワイン貯蔵樽の展示風景です。壁
の煉瓦模様と相まって、おしゃれな雰囲気の壁紙に仕上がりました。ぜひご利
用ください♪
※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「国策だったワイン」
■ 常設展示紹介 「『波を観察してみよう』実験装置ができるまで」
■ お知らせ
■ 科博関連メディア情報
■ 壁紙プレゼント(12月カレンダー付き)
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◆ エッセイ ◆
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国策だったワイン
理工学研究部 沓名 貴彦
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秋も深まり、冬の声が聞こえる時季となってまいりました。みなさんも充実
した収穫の秋を楽しまれている頃と思います。現在特別展では、丁度実りの秋
にふさわしい「ワイン展−ぶどうから生まれた奇跡−」を開催中ですが、今回
はその中からご紹介したいと思います。
明治時代、政府は海外から様々な科学技術や制度を導入しますが、その一つ
に農業技術があり、西洋の野菜や果物も持ち込まれました。これは、開国によ
り外国人が日本へやってくることや、海外への輸出も考えてのことです。その
重要な果物の一つに、ブドウがありました。
私達のブドウのイメージは生食の果物ですが、明治政府が輸入したブドウは
ワインを作るための品種が中心でした。ブドウの苗は、北海道の開拓使や日本
各地に配られただけでなく、農商務省が直接ブドウ園とワイン醸造場を作って
生産に乗り出します。その場所は現在の兵庫県加古郡稲美町、名称を播州葡萄
園と呼びました。
残念なことに明治政府によるワイン造りは、開始早々頓挫します。この頃、
ヨーロッパでブドウを壊滅させる原因となった昆虫「フィロキセラ」が、日本
へも上陸したためです。播州葡萄園はこのフィロキセラによって壊滅的な被害
を受け、そのまま事業は終了しました。
国策だったブドウ栽培とワイン造りは、その後民間の手によって普及が進め
られるのです。
ワインを召し上がるときに、一寸思い出していただけると幸いです。
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◆ 常設展示紹介 ◆
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「波を観察してみよう」実験装置ができるまで
事業推進部 酒井 清武
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今年の7月にリニューアルオープンした地球館2階の展示室「科学技術で地
球を探る」では、電磁波や地震波など様々な「波」について紹介しています。
この波が伝わる様子をお子さんにも観察してもらいたい、そんな思いから、伝
わり方の違う2つの波を作り出す実験装置の開発が始まりました。
まずは単純な水路を作り、水中に入れた板を手で押して波を起こす実験を繰
り返しました。波は、液体の粘性によって伝わり方が違います。どのくらいの
差があれば、伝わり方の違いがはっきりして見やすいのでしょうか?水に混ぜ
る素材(ゼラチン、流動パラフィン、シリコン等)や割合を何度も変えて実験
した結果、水と、水の10倍高い粘性をもつアルギン酸ナトリウム水溶液を採
用することになりました。
そして波を起こした後は、次の実験のためにふたたび静かな水面に戻さなく
てはなりません。実はここが一番苦労したところです。波が自然に静まるまで、
意外と時間がかかります。終端に繊維のマットを敷く、スロープ状にして打ち
消し素材を置く等のアイデアが浮かびましたが、水槽が長くなってしまうのが
難点でした。いろいろ試した結果、フワフワ前後に動くようにした板を水中に
設置することで、波を打ち消すことができました。単純な構造で波が消えてい
くので、手前みそですが、とても良くできた仕組みではないかと思います。
この装置はボタンを押して実験を開始すると、細長い2つの水槽の中で波が
少しずつずれて進んでいき、先にゴールへ到達した側のランプが点灯します。
横から見てみると、波の伝わる様子がはっきりと観察できます。設計段階から
携わったこの装置が完成した時は、本当に感動しました。
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◆ お知らせ ◆
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地球館屋上の閉鎖について
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平成27年12月1日〜平成28年3月20日頃(予定)まで、改修工事に
より地球館屋上(ハーブガーデン、パラソルガーデン、屋上休憩所)を閉鎖い
たします。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/access/restaurant/index.html#harb
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ミニ企画展「植物化石展」:附属自然教育園
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自然教育園とその周辺に生育する“身近な”植物がどんな歴史を経て現在に
いたったのか、関連する化石を展示しながら、植物の進化や地球環境との関わ
りなどについてやさしく紹介します。
[開催期間]平成27年11月25日(水)〜平成28年1月28日(木)
[会 場]国立科学博物館 附属自然教育園
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.ins.kahaku.go.jp/
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特別展「ワイン展」関連イベント
「亜樹直氏トークショー」 <参加者募集>
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ワインを題材にした人気漫画『神の雫』の原作者、亜樹直さんがワインの楽
しみ方や漫画制作の裏話などを語ります。当日はトークにまつわるワインを少
量試飲いただける他、ワイン展オリジナルグッズや『神の雫』最新刊(トーク
の後、サインがもらえます)をプレゼントします。
[日 時]平成27年12月4日(金)18:00〜19:00
[講 師]亜樹直氏(漫画『神の雫』原作者)
[会 場]日本館2階講堂
[参加料金]3,000円(税込み。別途、受付時に本展入場券の提示が必要)
[定 員]100名
[応募方法]ローソンチケットにて事前申込制
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2015/wine/event.html#agitadashi
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特別展「ワイン展」関連イベント
「日本ワインセミナー 〜日本ワインをもっとわかりやすく」<参加者募集>
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日本ワインの振興を図るため、国税庁主催の関連イベントを開催します。
[日 時]平成27年12月11日(金)13:00〜16:00
[会 場]日本館2階講堂
[参 加 費]無料
[定 員]80名
[応募方法]往復はがきにて事前申込。 12月4日(金)消印有効。
応募者多数の場合は抽選。
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2015/wine/event.html#japan_wine
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特別展「ワイン展−ぶどうから生まれた奇跡−」
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本展は、ワインをテーマにした国内初の大規模展覧会です。世界中で古くか
ら愛されてきたワイン。美しい色と香りで私たちを魅了するワインは一体どの
ような過程を経て出来上がっているのでしょうか。本展では、そのひとしずく
に隠されたストーリーを、多彩な資料と映像で科学的かつ歴史的に解き明かし
ます。
[開催期間]平成27年10月31日(土)〜平成28年2月21日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2015/wine/
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企画展「世界のヒョウタン展−人類の原器−」
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ヒョウタンは世界最古の栽培植物のひとつで、1万余年もの歴史があります。
多くの地で土器に先立って、人間が生きていくための生活用具として使われて
きました。丈夫で軽い優れた容器として活用されてきただけでなく、絵を描い
たり、彫ったり、変形させたりといった芸術表現の素材となり、世界各国の神
話や伝説にも登場する神秘性を有しています。形や大きさの多様性と、さまざ
まな利用法について、世界各地から集められたコレクションをもとに紹介しま
す。
[開催期間]平成27年9月15日(火)〜12月6日(日)
詳細は下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/2015/09gourd/
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企画展 <予告>
「日本の科学者技術者展シリーズ第11回 渋川春海と江戸時代の天文学者たち」
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今年は日本で最初の天文学者ともいわれる渋川春海(1639-1715)が亡くなっ
て300年にあたります。渋川春海は自らの天体観測に基づいた日本で初めての
独自の暦を作成し、平安時代から800年以上用いられ、ずれの生じていた暦を
新しくして、幕府の初代天文方に任命されました。
本展ではさまざまな努力の末に改暦を行った渋川春海の業績、人物とともに、
その流れを継ぐ江戸時代中後期の天文学者たちについて紹介します。
[開催期間]平成27年12月19日(土)〜平成28年3月6日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/2015/12shibukawa/
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化学実験講座
「キレート滴定を利用した、様々な水の硬度測定」 <参加者募集>
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各種のミネラルウォーターの硬度を分析して種類による差を明らかにします。
キレート滴定は最新の機器分析に感度は全くかないませんが、精度は非常に高
い事を実感していただきます。
[日 時]平成27年12月12日(土)14:30〜16:00
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?date=20151212
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「国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座」受講生による
サイエンスイベント <参加者募集>
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■「アンモナイトに群がるモノたち〜穴から広がる科学の眼〜」
穴の空いたアンモナイトの化石。それを見た研究者は何を思ったのでしょう。
真実は化石だけが知っています。今回は皆さん自身が化石研究者となり、アン
モナイトの謎を解き明かしましょう!
[開催日時]平成27年12月13日(日)10:30〜12:00(受付開始10:00)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/learning/university/partnership/2015/sccafe1.html
■「『わければ』わかる 光の世界 〜読み解く光のメッセージ〜」
クリスマスと言えばイルミネーション!そんな季節に、「光」をいつもと違
う目線で見てみませんか?植物はなぜ緑に見えるの?赤外線ストーブはなぜ暖
かいの?光でどんな研究ができるの?科博の研究者と一緒に、みんなで考えて
いきましょう!
[開催日時]平成27年12月13日(日)13:30〜15:00(受付開始13:00)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/learning/university/partnership/2015/sccafe2.html
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国立科学博物館Facebookページ更新中!
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上野本館の情報を中心に、科博の「今」を写真付きでお届けしています。
Facebookユーザーでなくても閲覧可能ですので、ぜひご覧ください!
https://www.facebook.com/NationalMuseumofNatureandScience
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雑誌milsil(ミルシル)通巻48号と定期購読について
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今回の特集は酒造りに欠かせない微生物のお話です。顕微鏡などで微生物が
観察できるようになるずっと前から我々は、何かの力が働いて穀物や果物から
アルコールができることを知っていました。研究により明らかになったその複
雑な働きを知れば知るほど、見えない微生物の機嫌を取りながら、おいしいお
酒を作る方法を導き出した先人に畏敬の念が生じます。
2015年のノーベル賞受賞者が発表され、2年連続で日本人が受賞するこ
とが決まりました。大村智先生は、本誌2015年第2号(通巻44号)の巻
頭インタビューにご登場いただいています。また、梶田隆章先生は、本誌創刊
号の同記事にご登場いただいた故・戸塚洋二先生らとともに、「ニュートリノ
振動」の証拠となる観測データを示されました。まさにノーベル賞級の研究内
容を皆さまにご紹介できたことを嬉しく思います。
発行日 :平成27年11月1日(日)
定 価 :420円(税込)
定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html
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科博のイベント情報紙「kahaku event」12−1月号配布中!
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情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展覧会や開
催予定のイベントなどについてご紹介しています。国立科学博物館の各施設内
で無料で配布している他、下記ページからもダウンロードすることができます。
ご来館や、イベント参加の計画をたてる際などにご活用ください。
(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)
http://www.kahaku.go.jp/event/kahakuevent/index.html
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◆ 科博関連メディア情報 ◆
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○テレビ放送紹介
放 送 局:NHK総合
番 組 名:ニュース シブ5時
放送日時:12月1日(火)16:50〜18:10
・当館の研究、収蔵施設を、遊川植物研究部グループ長と川田動物研究部
研究主幹が紹介します。(予定)
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★ メール募集中 ★
科博に関する思い出、展示の感想など皆様からのメールをお待ちしておりま
す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ
とがあります。なお、お名前は公表しません。)
宛先: magazine@kahaku.go.jp
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◆編 集:国立科学博物館 事業推進部 広報・常設展示課
◆発 行:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7−20
◆お問合せ:magazine@kahaku.go.jp
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