第641号
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科博メールマガジン第641号
発行日:2015年8月20日
http://www.kahaku.go.jp/
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昼間はセミたちのラストスパートをかけた大合唱が響き渡る一方、日が暮れ
るとどこからともなく秋の虫の音が聞こえるようになってきました。明日から
8月も下旬。暑かった夏も着実に秋へと移り変わっていることを感じます。
さて、お盆休みの時期も過ぎ、幾分か館内の賑わいも落ち着きを取り戻して
います。まだこれから夏休みをとられる方は、ぜひこの機会に平日にお越しい
ただけたらと思います。科博は一日中いても楽しめますよ!
※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「植物とワインの香り」
■ 筑波研究室トピックス 「新人研究員に聞きました(その2)」
■ お知らせ
■ 科博関連メディア情報
■ 壁紙プレゼント(8月カレンダー付き)
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◆ エッセイ ◆
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植物とワインの香り
植物研究部 村井 良徳
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植物はさまざまな香り物質(香気成分)を作っており、これらは周囲の植物
や動物などとのコミュニケーションツールとして役立っています。例えば、昆
虫に葉をかじられた植物は、青臭い香り(青葉アルコール)を放出して、食害
する昆虫の天敵を呼び寄せたり、周囲にいる仲間の植物に食害に備えるように
伝えたりもします。また花の香りは、受粉を手伝う昆虫を呼び寄せるのに重要
です。例えば2012年と2014年に筑波実験植物園で開花した「世界最大
の花」といわれるショクダイオオコンニャクは、開花日の夜に強烈な腐肉臭
(ジメチルトリスルフィド)を放って、昆虫を誘引します。
植物の香りは、いろいろな用途でヒトにも利用されています。その一つに、
飲料であるワインの香りがあります。ワインからは数百種類の香気成分がたち
のぼっており、その中には良い花の香りの成分もあれば、何と青葉アルコール
のような臭い香りの成分まで含まれています。臭い香りの成分は、低濃度であ
れば良い香りに感じることもあるのです。ワインの香りは、多種多様な香気成
分の質と量のバランスで成り立っています。原料であるブドウの品種の違いは
もちろん、栽培環境や醸造方法の違いによっても、ワインの香りはさまざまな
表情を見せます。ここでは語り尽くせないほど、実に複雑で奥深い世界です。
今秋開催される特別展「ワイン展」では、ワインの香りに関するコーナーもあ
りますので、是非お越しいただき、お楽しみください。
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◆ 筑波研究室トピックス ◆
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新人研究員に聞きました(その2)
筑波地区 研究活動広報担当
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前回の室谷研究員に引き続き、今年度、新しく当館に採用となった動物研究
部の田島研究員に、研究内容などについて聞きました。
○どんな研究をしていますか
専門は海棲哺乳類学と獣医病理学です。小さい頃から動物が好きでしたので、
獣医さんになりました。そしてその中でも海に棲む哺乳類に興味を持ち、彼ら
が自ら海岸に打ち上がってきてしまう「ストランディング」という現象を知り
ました。彼らがなぜストランディングしてしまうのか?を、病気という観点か
ら模索しています。その原因には環境汚染物質、ゴミ問題、温暖化など人間社
会の影響も垣間みえます。自然や野生生物と我々はどのように共存していくべ
きなのかも考えています。
○採用までの経緯は
科博にお世話になり始めたのは大学院時代です。前任者である山田格名誉研
究員に、標本の提供や、鯨類の遺残骨盤骨(※)周囲の形態学的研究の指導を
していただきました。学位取得後、非常勤職員として勤務し現在に至ります。
○科博で研究することの意味について
科博は調査研究、標本収集、学習支援活動を同時に行える非常に恵まれた環
境です。この3つは非常に密接な関係にあり、実はどれが欠けても博物館とし
ての存在意義が難しくなります。我々の研究成果を展示や学習支援活動で活用
することで、その情報を発信することができます。他の博物館等と協力してい
くことも重要です。
○研究者になりたい人へのメッセージをお願いします
焦ることはありません。1日1日、1歩1歩着実に進むことが大切です。あ
る動物、ある学問を知りたいと思ってもそれだけに固執しないでください。全
ては繋がります。無駄なことは何もありません。良き仲間がいることも大切で
すね。いつかどこかの現場でお会いできる日を楽しみにしています。
(※)遺残骨盤骨:鯨類、海牛類では哺乳類の骨盤が退化し、痕跡的に残って
いる。
▼研究者紹介ページ(田島研究員)
http://www.kahaku.go.jp/research/researcher/researcher.php?d=yuko-t
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◆ お知らせ ◆
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特別展「生命大躍進 脊椎動物のたどった道」
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本展では、世界各地の研究機関の協力により、日本初公開となる化石など、
生命進化の各時代を代表する重要な実物化石がこれまでにない規模で一堂に会
します。これら実物化石にDNAに関する最新の研究成果を織り交ぜ、精巧な
復元模型や4K映像を活用しながら、脊椎動物が歩んできた壮大な進化の道の
りを分かりやすく説明します。
[開催期間]平成27年7月7日(火)〜10月4日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2015/evolution/
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2015科博NEWS展示「日本の植物が近代分類学と出会ったとき−トゥンベリィ
(ツンベルク)日本産植物標本データベース公開記念展示−」
※間もなく会期終了です
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鎖国期の安永4年、オランダ商館付医師として来日したスウェーデン人博物
学者、トゥンベリィ。その足跡と日本の植物研究への功績をご紹介します。
[開催期間]平成27年7月25日(土)〜8月24日(月)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/2015/07thunberg/thunberg.pdf
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「水草展 〜海に生きる水草〜」:筑波実験植物園 ※間もなく会期終了です
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海の中にも水草がいます!ワカメやコンブなどの海藻ではありません。花を
咲かせる植物が海の中にもいるのです。不思議に満ちた海の水草の世界を特集
展示します。水中の美しさを表現した水草水槽の展示や、体感的に水草を楽し
むことができるイベントも多数ご用意しています。
[開催期間]平成27年8月8日(土)〜23日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2015/08mizukusa/index.html
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「第31回植物画コンクール入選作品展 ‐受賞作品‐」:附属自然教育園
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筑波実験植物園が実施している植物画コンクール入選作品の中から、文部
科学大臣賞、国立科学博物館長賞、筑波実験植物園長賞の9点を展示します。
[開催期間]平成27年7月25日(土)〜8月30日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.ins.kahaku.go.jp/
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Friday Night Science 大学生のための科学技術史講座
「日本の科学技術」 <参加者募集>
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「日本通」になろう。知っているようで知らない奥深い世界。科学技術史を
のぞいてみませんか。「日本の科学技術」をテーマに、各分野の研究者6名が
それぞれの専門領域について講義をします。ぜひ、当館のホームページ、チラ
シをご覧いただき、受講をご検討ください。
[開催期間]平成27年10月〜12月
(10月2日、10月16日、11月6日、11月20日、12月4日、
12月18日各金曜日の18:00〜19:30に実施)
カリキュラム内容、申込方法等、詳細は下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/learning/university/partnership/09.html
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自然史セミナー「ハギの花」<参加者募集>:附属自然教育園
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秋の花の代表ともいえるハギの仲間について、野生種を中心にして花のかた
ちや分布などについて解説します。
[開催日時]平成27年9月13日(日)14:00〜15:30
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?date=20150913
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国立科学博物館Facebookページ更新中!
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上野本館の情報を中心に、科博の「今」を写真付きでお届けしています。
Facebookユーザーでなくても閲覧可能ですので、ぜひご覧ください!
https://www.facebook.com/NationalMuseumofNatureandScience
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雑誌milsil(ミルシル)通巻46号と定期購読について
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頭やお腹が痛いとき、風邪をひいたとき、インフルエンザに罹ったとき、あ
なたはどうやって治そうとしますか? ひたすら寝て治す、病院へ行く、市販
の薬を服用する…。症状の強弱やその時々の事情もありますが、多かれ少なか
れ私たちは日常的に「薬」のお世話になっています。今回の特集は身近な存在
で頼りにしていながらも、どのように私たちの体に作用しているのか、あまり
考えたことがない「薬」について解説しています。
また、第11回となった「世界をはかる−単位の基準とその役割−」では、
五感で感じる“おいしさ”を客観的にはかる試みについて紹介しています。主
観的とも思われる“おいしさ”。果たしてどのように数値化しているのでしょ
うか。そのほか、この時季ならではの気象現象についての解説もあります。
発行日 :平成27年7月1日(水)
定 価 :420円(税込)
定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html
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科博のイベント情報紙「kahaku event」8−9月号配布中!
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情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展覧会や開
催予定のイベントなどについてご紹介しています。国立科学博物館の各施設内
で無料で配布している他、下記ページからもダウンロードすることができます。
ご来館や、イベント参加の計画をたてる際などにご活用ください。
(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)
http://www.kahaku.go.jp/event/kahakuevent/index.html
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◆ 科博関連メディア情報 ◆
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○テレビ放送紹介
放 送 局:BSジャパン
番 組 名:ガイアの夜明け「地方を変える! 新たな水族館・博物館」
放送日時:(再放送)8月20日(木)21:00〜
・当館の常設展リニューアルや、コラボミュージアムについて取り上げられ
ます。
放 送 局:NHK総合
番 組 名:至宝化石が大集合!探検ナイトミュージアム
放送日時:(再放送)8月22日(土)15:05〜15:55
・特別展「生命大躍進 脊椎動物のたどった道」の特集番組で、山田名誉研
究員、加瀬地学研究部グループ長、河野人類研究部研究主幹が出演します。
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★ メール募集中 ★
科博に関する思い出、展示の感想など皆様からのメールをお待ちしておりま
す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ
とがあります。なお、お名前は公表しません。)
宛先: magazine@kahaku.go.jp
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◆編 集:国立科学博物館 事業推進部 広報・常設展示課
◆発 行:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7−20
◆お問合せ:magazine@kahaku.go.jp
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