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第626号

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  科博メールマガジン第626号

    発行日:2015年5月7日

   http://www.kahaku.go.jp/

 

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 昨日は二十四節気の「立夏」で、上野公園も夏の気配を感じさせる清々しい

陽気でした。一転、今日はじめじめ空気にどんよりした曇り空。雨も降るかも

しれないとのことなので、お出かけには折りたたみ傘が必須です。

 さてGWも終盤ですが、上野本館は10日(日)まで開館時間を18時に延

長して皆様のお越しをお待ちしています。明日金曜日は通常通り20時までで、

最終入館は各閉館時刻の30分前です。ぜひご来館ください!

 

 

 ※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。

 ※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。

 

▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼

 

 ■ エッセイ    「上野にアノマロカリスがやって来る」

 ■ かはくの縁の下 「知恵を絞ってます 特別展『生命大躍進』」

 ■ 上野の鳥    「世界地図で見る アマゾンと日本の野鳥(その2)」

 ■ お知らせ

 ■ 壁紙プレゼント(5月カレンダー付き)

 

 

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◆ エッセイ ◆

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 上野にアノマロカリスがやって来る

 

 

                        地学研究部 加瀬 友喜

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 7月7日(火)から10月4日(日)まで、上野本館で特別展「生命大躍進

 脊椎動物のたどった道」が開催されます。この特別展では、40億年の生命

の歴史のなかで、我々人類の出現に至った躍進的進化の3つの出来事、すなわ

ち「カンブリア大爆発」「ほ乳類の誕生」、そして「人類進化」を取り上げて

います。

 

 そのうち、私が担当しているのは「カンブリア大爆発」です。およそ6億年

前の先カンブリア時代最末期(エディアカラ紀)、地球上に初めて目で見える

サイズの生物が現れましたが、それらは眼も口もない単純な構造の生物でした。

しかし、それから3000万年という地球史から見れば僅かな時間で、現在の

殆どの動物の祖先が爆発的に現れました。これを「カンブリア大爆発」といい

ます。そして、この大事件を象徴する化石群の一つが、カナダのロッキー山脈

から発見されたバージェス頁岩動物群です。

 

 今回の特別展では、カナダのロイヤルオンタリオ博物館が保管する膨大なコ

レクションの中から、選りすぐりの39点の標本を借用して展示します。それ

らのなかには、カンブリア時代の最強の捕食者・アノマロカリスや5つの眼を

持つオパビニアなどが含まれています。

 

 バージェス頁岩の化石は、どこにでもあるような黒色頁岩の表面に完全に押

し潰された動物の痕跡で、一見すると保存の良くない、見栄えのしない化石で

す。しかし、こんなちっぽけな岩片の中に、カンブリア紀に繰り広げられた生

物進化の壮大なドラマを見ることができるのです。そんな、とてつもなく重要

な化石を、この機会にぜひとも皆様に見ていただきたいと思っています。開催

まで残すところ2ヶ月、準備は着々と進んでいます。この夏の特別展に乞うご

期待!

 

 

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◆ かはくの縁の下 ◆

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 知恵を絞ってます 特別展「生命大躍進」

 

 

                 事業推進部 小松 孝彰(特別展担当)

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 今夏の特別展「生命大躍進 脊椎動物のたどった道」(7月7日(火)〜

10月4日(日))の制作が急ピッチで進められています。

 

 本展は、国内外から多数の貴重な化石標本が大集結する、これまでにない規

模の生命進化に関する展覧会です。特に「5億4100万年前のバージェス頁

岩動物群の実物化石39点」や「最古の胎盤を持つ哺乳類ジュラマイアの実物

化石」「95%の骨格が残る4700万年前の“奇跡”の霊長類イーダの実物

化石」は目玉であり、古生物に詳しい方からも「よくぞこれだけの化石を集め

られたね」と驚きの声が聞かれるほどです。しかし、私たち人類を含む脊椎動

物の進化史をたどる本展には、化石の他にもうひとつ重要な主役がいます。そ

れはDNAです。

 

 昨今、生命進化の分野では、化石の研究と遺伝子に関する研究が連携して行

われています。およそ40億年に及ぶ生命進化の過程で、生物が眼や顎、胎盤

などを獲得したことは、生命に飛躍的な進化をもたらしました。このことは、

私たちのゲノムにも痕跡として残っています。このようなゲノムに刻まれた進

化の証をどのように展示するのか。現在、第一級の専門家の方々にご協力を仰

ぎ、議論を重ねています。この難しくも興味深い世界をいかにわかりやすく噛

み砕くか、最大限知恵を絞っていきたいと思います。

 

 ちなみに5月10日(日)21時から、NHK総合でNHKスペシャル「生

命大躍進」の第1集が放送されます。本展とリンクしている番組なので、“予

習”になるかもしれません。是非ご覧ください。

 

 

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◆ 上野の鳥 ◆

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 世界地図で見る アマゾンと日本の野鳥(その2)

 

 

                  文京区役所 渡辺 浩(友の会会員)

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 前回はアマゾンと日本の両方に生息する野鳥についてお話ししましたが、今

回はその中で私が特に注目した野鳥について説明します。

 

 まず、キョウジョシギです。干潟や河口等の水辺で、小石等を嘴でひっくり

返して餌を探しているのをよく見かけます。漢字では「京女鷸」と書きますが、

その名前の由来は、地味な色をした種類が多いシギにしては、白・黒・赤褐色

が混じった華やかな色をしているため、艶やかな京都の女性「京女」(きょう

おんな)にたとえたものです。日本から見ると地球の反対側にあるアマゾンに

まで進出?しているとは、粋な京女もいたものです。

 

 次にミサゴです。魚食性のタカで、水面上でホバリングして足から水中に突っ

込み魚を捕えます。アマゾン川流域には広く分布しているので、ミサゴにとっ

ては天国のような所かもしれません。ピラニアも捕食しているかもしれません

が、間違ってもピラルクーやピライーバ等の巨大魚には手を出さないでほしい

ものです。その理由は、獲物が大きすぎるとミサゴの鋭い爪が抜こうにも抜け

ず、逆に水中に引きずり込まれて溺死してしまうからです。日本でも漁師が捕

らえた魚の背中に、ミサゴの死体や足だけがついていたという話があります。

 

 最後にササゴイです。ササゴイは、日本では水前寺公園(熊本県)等で「投

げ餌漁」(昆虫・果実・小枝・羽毛・パンくず等を水面に投げ落として魚を誘

引して捕える)を行います。こうしたササゴイの行動は、日本以外でもアメリ

カ合衆国・南アフリカ共和国等でも観察されています。アマゾンにもササゴイ

(日本とは別亜種)は分布しているため、投げ餌漁が観察できるかもしれません。

 

 

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◆ お知らせ ◆

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特別展「大アマゾン展」

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 本展は、アマゾン川流域に生息する生物の多様性を主なテーマにアマゾンを

総合的に紹介する過去最大級の“アマゾン展”となります。今回、大河アマゾ

ンの源流から河口まで、その広大な流域に生息する哺乳類・爬虫類・両生類・

鳥類・魚類・昆虫・植物・菌類の多様性について、化石や剥製、骨格標本、生

体を美しい映像資料とともに紹介し、あわせてそこに住む先住民と動植物との

関わりについても紹介します。

 

[開催期間]平成27年3月14日(土)〜6月14日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2015/amazon/

 

 

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コレクション特別公開「クレマチス園公開」:筑波実験植物園

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 カザグルマをはじめとするクレマチスの野生種とその園芸品種約250種類を

公開するとともに、クレマチスの種類や花の色などについて解説したパネルを

展示します。

 

[開催期間]平成27年5月2日(土)〜6月14日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2015/05clematis/index.html

 

 

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上野東京ライン開業記念 国立博物館・美術館3館共通入場券 発売中

<ご案内>

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 東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館の3館は、上野観光連盟

と共同で、JR東日本「上野東京ライン」の開業を記念した共通入場券「UENO

WELCOME PASSPORT(上野ウェルカムパスポート)」を2015年3月14日より発売

しています。この共通入場券は、3月14日〜5月31日までの期間中、3館の常設

展/総合文化展が各館1回観覧でき、すごろく式マップやスタンプラリーなど

も付いて、親子で楽しめる内容となっています。

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.ueno.or.jp/nmwp/

 

 

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国立科学博物館Facebookページ更新中!

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 上野本館の情報を中心に、科博の「今」を写真付きでお届けしています。

Facebookユーザーでなくても閲覧可能ですので、ぜひご覧ください!

 

 https://www.facebook.com/NationalMuseumofNatureandScience

 

 

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雑誌milsil(ミルシル)通巻45号と定期購読について

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 “おたまじゃくしは蛙の子”という歌にもあるように、おたまじゃくしはお

となになるにつれ、手足が生え、尾がなくなりカエルとなります。ほかにも幼

虫が蛹を経てチョウへ成長するなど、“変態”という言葉は知らなくても、両

生類や昆虫の体の変化は多くの人が知る自然現象といえます。ではそのメカニ

ズムは?今回の特集「変態のふしぎと多様性」では変態の謎に迫ります。普段

目にする現象を当たり前のことと受け止めず、なぜそうなるのか考え、検証す

ることは科学の原点かもしれません。変態のメカニズムの解説もさることなが

ら、研究者の飽くなき探究心も垣間見ることのできる内容となっています。

 また今号から新連載「旅する生き物」が始まります。第1回はニホンウナギ

です。おいしくいただきながらも産卵場所や川に戻ってくるルートは謎に包ま

れていたニホンウナギ。その壮大な旅についてご紹介します。

 

 発行日 :平成27年5月1日(金)

 定 価 :420円(税込)

 

 定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html

 (友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html

 

 

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科博のイベント情報紙「kahaku event」6−7月号発行!

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 情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展覧会や開

催予定のイベントなどについてご紹介しています。国立科学博物館の各施設内

で無料で配布している他、下記ページからもダウンロードすることができます。

ご来館や、イベント参加の計画をたてる際などにご活用ください。

(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)

 

 http://www.kahaku.go.jp/event/kahakuevent/index.html

 

 

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す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ

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