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第544号

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  科博メールマガジン第544号

    発行日:2013年10月17日

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 10月らしからぬ真夏日がありつつも、朝晩の肌寒さで季節の移り変わりを

実感します。我が家はペットにうさぎがいるのですが、室内のケージでのくつ

ろぎポーズでも季節を感じられます。8月いっぱいまでは、後ろ脚を投げ出し

て横座りをしていることがほとんど。9月に入ると、後ろ脚を収納して前脚は

少し出ているスフィンクスのようなポーズがちらほら。10月に入ってからは、

スフィンクスと香箱座り(前脚も収納した状態、猫によく見られる)が五分五

分。毎年この香箱座りを見ると「冬ももうすぐだなぁ」と感じるのです。

 さて、筑波実験植物園では今週末からきのこ展が始まります。毎年大好評の

きのこ展は、オリジナルグッズも人気が高く売り切れ必至です。秋の味覚の代

表格と言えばきのこですが、食べるだけではなく、見て知ってきのこを満喫し

てください。

 

 

 ※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。

 ※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。

 

▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼

 

 ■ エッセイ    「アジア由来の新しい侵略的外来種?」

 ■ かはくの縁の下 「科博での素敵な出会い」

 ■ 上野の鳥    「ブラキストン線を望む 函館にて」

■ お知らせ

 ■ 科博関連メディア情報

 ■ 壁紙プレゼント(10月カレンダー付き)

 

 

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◆ エッセイ ◆

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 アジア由来の新しい侵略的外来種?

 

 

                         植物研究部 細矢 剛

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 先日、スウェーデンで開催された「FRAXBACK」というヨーロッパの会合に出

席していきました。これはAsh diebackとして知られ、ヨーロッパでトネリコ

の仲間に病気を起こしている病原菌(カビ)についての対策会合です。

 

 この病原菌は2006年に最初に知られたものですが、2011年に、それまで同定

されていた菌とは形態では容易に区別できない菌(隠ぺい種)であることが分

かり、新種として発表されたものでした。ところが、まさにこの菌を私は今か

ら20年も前に日本で知らずに記載していたのでした。このことが最近確認され、

さらに分子系統学的な手法を用いてこの病原菌がアジアからの外来種ではない

かと強く疑われるようになり、日本での情報が求められたというわけです。

 

 思えば、私がこの菌を報告したのは「日本新産」―つまり、国外では知られ

るが、日本では初めての記録―というものでした。その時に報告した、培養し

た時に作られる胞子をつくる構造が、両者の同一性を示すきっかけとなったの

です。



 研究者は見たものをすべて記すことが大切だと、大学時代の恩師から教わり

ましたが、改めてその重要性に気づかされる出来事でした。また、日本をはじ

めとするアジア地域に潜んだ未知の菌の可能性について再び考えさせられる出

来事でもありました。

 

 

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◆ かはくの縁の下 ◆

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 科博での素敵な出会い

 

 

               事業推進部 今 弓枝(ボランティア担当)

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 皆さんは、科博に来て、黄色いベストまたは黄色の腕章をつけて活動されて

いる教育ボランティアさんを見かけた事がありますでしょうか。現在、科博の

教育ボランティアさんの登録者数は、378人で、1日平均50人程の教育ボ

ランティアさんが活動しています。1日3〜4回実施しているガイドツアーや、

各展示フロアでのご案内、体験学習ができるフロアでの指導助言等を行ってい

ます。ボランティア担当は、その活動のコーディネートをさせて頂いています。

 

 教育ボランティアさんには色々な経歴の方がおり、その豊かな経験や知識も

生かして、科博の教育活動等にご尽力頂いています。ボランティアさんの展示

物の解説は、担当されるボランティアさんによって、違った切り口の様々な語

り口調の解説を聞くことができます。また、1時間ほど館内をお客様と一緒に

巡るガイドツアーでは、担当のボランティアさんによって様々なコース、様々

な展示物を見学することができます。



 「ツアー終了後にお客様に拍手をして頂いて、とても感激しました!」と、

ボランティア担当にお伝えくださるボランティアさんもいて、聞いているこち

らまで胸が熱くなる事も多々あります。後日、ボランティアさんあてに、お礼

のお手紙をくださるお客様もいらっしゃいます。科博は、思いやりのあるお客

様と、お客様のために思いやりのある活動をしてくださる教育ボランティアさ

んの出会いの場なのだと思います。

 

 皆さんも、ボランティアさんに会うのを楽しみに、科博に来てみませんか?

 

 

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◆ 上野の鳥 ◆

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 ブラキストン線を望む 函館にて

 

 

                  文京区役所 渡辺 浩(友の会会員)

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 9月10日から3日間、北海道の函館・大沼へ旅行に行ってきました。野鳥

を見るにはあまり時期がよくないのですが、仕事の都合でここしか休みがとれ

ませんでした。予想通りというか予想以上に野鳥の種類・数ともに見ることが

できず、函館山でのエゾアカゲラと大沼でのオジロワシ(地元の人の話では、

大沼のそばで繁殖しているそうです)以外は、東京周辺でも見られる野鳥ばか

りでした。それでも函館山の夜景、五稜郭、海鮮丼・寿司・塩ラーメン等のグ

ルメ、自転車での大沼一周等、観光という意味では楽しむことができました。

 

 本州と北海道の間にある津軽海峡に引かれた生物の分布境界線を、提唱者の

名にちなんで「ブラキストン線(ブラキストンライン・津軽海峡線)」と呼び

ます。T.W.ブラキストンはイギリスの軍人・貿易商・博物学者で、本州と

北海道の鳥類を研究し、著しい違いがあることを発表して注目され、東京大学

教授だったJ.ミルンの提案で津軽海峡がブラキストン線と呼ばれるようになっ

たそうです。函館山の頂上にはブラキストンの記念碑があります。

 

 国立科学博物館の日本館2F南の「生き物たちの日本列島」には、「ブラキ

ストン線と鳥たち」の展示があり、〔本〕アオゲラ・〔北〕ヤマゲラ(〔本〕

は本州以南、〔北〕は北海道以北のみに分布する種・亜種。以下同じ)、〔本〕

ゴジュウカラ・〔北〕シロハラゴジュウカラ、〔本〕カケス・〔北〕ミヤマカ

ケス、〔本〕エナガ・〔北〕シマエナガ、〔本〕アカゲラ・〔北〕エゾアカゲ

ラ等の野鳥の剥製があり、種や亜種の違いや分布についての解説があります。

 

 函館山やその南東にある立待岬からは、津軽海峡越しに対岸の下北半島を望

むことができました。翼のある鳥たちには簡単に渡れそうな距離ですし、現に

渡っている鳥たちもいます。しかし、「ブラキストン線と鳥たち」に展示され

ている鳥たちには、遠い距離だったのかもしれません。

 

 

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◆ お知らせ ◆

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特別展「大恐竜展―ゴビ砂漠の驚異」  <予告>

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 本展は、アジア最大の肉食恐竜「タルボサウルス」、大型植物食恐竜「サウ

ロロフス」の全身骨格など、ほとんどが非常に良質な実物化石で構成されます。

また今回、ティラノサウルス類の子ども化石としては世界で最も保存状態の良

いタルボサウルス(子ども)の化石を展示し、そこから読み解く肉食恐竜の成

長について日本人研究者が明らかにした最新研究を紹介します。

 

[開催期間]平成25年10月26日(土)〜平成26年2月23日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2013/daikyoryu/

 

 

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企画展「アザミの秘密」

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 日本の代表的な秋の草花として知られているアザミ。私たちにも身近なアザ

ミですが、実は日本のアザミは驚くほどの多様性を持っています。世界でも類

をみないほど多様な日本のアザミを、実物標本や写真で紹介するとともに、ア

ザミと人の関わりや、研究者がどのような取り組みをしてきたかなどを紹介し

ます。

 

[開催期間]平成25年9月18日(水)〜11月10日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/2013/09azami/

 

 

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きのこ展 〜こうじときのこが手をつなぐ!?〜:筑波実験植物園 <予告>

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 きのこって何の仲間?どんな形のきのこがある?きのこってどこで何をして

いる?そんな不思議がいっぱいのきのこワールドを紹介します。期間中は野生

きのこを大量展示する他、標本や栽培きのこを通じて、きのことその仲間の秘

密に迫ります。

 

[開催期間]平成25年10月19日(土)〜10月27日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2013/10kinoko/

 

 

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ミニ企画展「江戸のあかりと灯用植物」:筑波実験植物園  <予告>

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 現代では、「あかり」と言えば電気による照明が一般的です。しかし江戸時

代までは植物などから得た油を燃やしてあかりとしていました。本展では江戸

時代のあかりと、あかりに使われた多様な植物やその工夫をご紹介します。

 

[開催期間]平成25年11月1日(金)〜11月10日(日)

[開催場所]国立科学博物館 筑波実験植物園

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2013/11akari/download/akari2013.pdf

 

 

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企画展「絶滅危惧植物展」:附属自然教育園

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 自然絶滅した植物の実物化石展示及び、我が国の絶滅の恐れがある植物の現

状や、保全活動に関するパネル展示をとおし、植物を守ることの大切さを、さ

まざまな視点から知ってもらい、絶滅危惧植物への関心を高める内容となって

います。

 

[開催期間]平成25年9月3日(火)〜10月27日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.ins.kahaku.go.jp/exhibition/data/287935.pdf

 

 

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「科学のびっくり箱!なぜなにレクチャー」  <参加者募集>

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 トヨタ自動車と国立科学博物館が楽しく学べる科学体験・工作教室を行いま

す。今年のテーマは「電力回生自動車」。トヨタ技術会の先生が、丁寧に解説

してくれます。まだ参加したことのないキミ!この機会に参加してみよう!

 

[開 催 日]平成25年11月3日(日)

 

 詳しくは下記をご覧ください。(締切日を延長しました)

 http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?date=20131103

 

 

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第5回シンポジウム「暗黒の自然史」  <参加者募集>

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 藤原ナチュラルヒストリー振興財団は国立科学博物館と共催して、11月17日

(日)に日本館講堂において、第5回シンポジウム「暗黒の自然史」を開催いた

します。参加ご希望の方は以下のサイトからお申し込みください。

 

[開催日時]平成25年11月17日(日) 13:00〜16:00

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://fujiwara-nh.or.jp/archives/events/

 

 

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雑誌milsil(ミルシル)通巻35号と定期購読について

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 今回の特集は「水の惑星『地球』」です。当たり前に存在する「水」、この

液体の水は生命の誕生と進化に不可欠だったと言われています。「水」はどこ

からどうやって来たのか、その謎に迫る最新の研究を紹介しています。

 また、いまや空前の大ブームとなっている「ダイオウイカ」。ダイオウイカ

そのものを解剖することは不可能でも、ダイオウイカに非常に近い種類のスル

メイカを使って、これまた謎の多いダイオウイカの姿に迫ることは可能です。

こうした試みを紹介した記事「科学冒険隊」も、とても興味深い企画となって

います。皆様の知的好奇心を高めるきっかけに本誌がお役に立てれば幸いです。

 

 発行日 :平成25年9月1日(月)

 定 価 :400円(税込)

 

 定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html

 (友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html

 

 

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科博のイベント情報紙「kahaku event」10−11月号発行!

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 10−11月号では、展覧会情報や10−11月開催予定のイベントを紹介

しています。

 

 情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展示や学習

支援活動などの情報を掲載しています。国立科学博物館の施設内等で無料で配

布しています。見学やイベント参加の計画をたてる際にご活用ください。

(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)

 

 詳しくは下記をご覧ください。

 http://www.kahaku.go.jp/event/kahakuevent/index.html

 

 

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◆ 科博関連メディア情報 ◆

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 ○インターネット生放送紹介

 

 放 送 局:ニコニコ生放送

 番 組 名:ニコニコ学会βコンテンツ「菌放送局(仮題)」

 放送日時:10月21日(月)12:00〜13:30

 

 ・筑波実験植物園の企画展「きのこ展 〜こうじときのこが手をつなぐ!?

  〜」の会場の様子などが生中継されます。

 

 

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★ メール募集中 ★

 

 科博に関する思い出、展示の感想など皆様からのメールをお待ちしておりま

す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ

とがあります。なお、お名前は公表しません。)

 

 宛先: magazine@kahaku.go.jp

 

 

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 ◆編  集:国立科学博物館 事業推進部 広報・常設展示課

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