第517号
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科博メールマガジン第517号
発行日:2013年4月11日
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科博上野本館の所在地・東京の旧称でもある「江戸」。その「大江戸の人た
ち」に焦点をあてた企画展「江戸人展 ―からだが語る『大江戸』の文化―」
を9日から開催しております。
国立科学博物館では江戸時代の遺跡から発掘された人骨やミイラを調査・保
管しており、今回の企画展ではこれらの研究によって明らかになった科学的知
見をもとに大江戸の人たちの姿や文化を紹介しています。
江戸時代には、江戸前や江戸しぐさ等の言葉に表されるように、様々な風習
や文化が生み出されたことが知られています。大江戸のからだに加え、当時の
服装や髪形の紹介、お歯黒の匂いの体験コーナーなどから、当時の文化を感じ
取っていただければ幸いです。
※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「科学技術週間に思う科学の多様性」
■ 常設展示紹介 「地球館地下1階恐竜フロアの追加展示」
■ お知らせ
■ 壁紙プレゼント(4月カレンダー付き)
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◆ エッセイ ◆
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科学技術週間に思う科学の多様性
地学研究部 斎藤 めぐみ
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私たちの生活に役立つ道具や技術を生み出す科学は、なくてはならないもの
になっている。一方で、私は小さな化石を研究しており、これが果たして何か
の役に立つのだろうかと、ふと思うことがある。一般社会に対して、どのよう
に貢献しているのかと。
来週(4月16日から22日)は科学技術週間。科博の研究部があるつくば市で
は、この期間内に様々な研究機関の一般公開が行われる。既にそれぞれの研究
機関で興味深いイベントが企画されているが、科博の筑波研究施設の一般公開
「科博オープンラボ2013」(4月21日)にも、ぜひ立ち寄っていただきたい。
科博の多様なコレクションと研究活動に触れられることと思う。他所の研究機
関をハシゴして行かれるならば、さらに科学の多様性を感じられるに違いない。
役に立つかどうか、何が一番おもしろいかは、人それぞれの価値観に委ねら
れる。私は、一見役に立たなさそうに思えるものに対しても、それを人間らし
さ、人間の営みの奥深さとして感じることがある。この感覚を共有できる社会
は、真の意味で豊かなのではないだろうかと考えている。
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◆ 常設展示紹介 ◆
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地球館地下1階恐竜フロアの追加展示
事業推進部 佐々木とき子
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地球館地下1階「地球環境の変動と生物の進化 −恐竜の謎を探る−」展示室
は、ティラノサウルスやトリケラトプスの恐竜化石があり、多くのみなさまに親
しまれています。この4月から、展示物を追加しましたのでご紹介します。
まず、カマラサウルスの上顎の骨の実物化石を展示しました。すぐ後ろにカマ
ラサウルスの頭骨のレプリカがありますが、口の中までじっくり見ることはでき
ません。そこで、歯の生え方などをしっかり観察していただけるように展示しま
した。恐竜の歯は何度も生えかわるのですが、新しく生えてきた歯のようすもご
覧になれます。歯の縁のところが植物を食べてすり減っているのもご覧ください。
それから、恐竜と鳥類を比較して類似点や相違点を実感していただくため、デ
ルタドロメウスの骨盤(こつばん)のそばに、現代のダチョウの骨盤を展示しま
した。骨盤に丸い穴が空いていて、大腿骨(だいたいこつ)の骨の根元がすっぽ
り骨盤にはまることから、脚が胴体の真下にのびて歩行できるところが恐竜と鳥
類に共通する特徴です。一方、恐竜と鳥類では恥骨(ちこつ)の向いている方向
が異なっています。鳥類の恥骨は後ろ向きですが、爬虫類の恥骨は前方を向いて
います。恐竜の中の竜盤類(りゅうばんるい)も恥骨が前方を向いているのが基
本形です。恐竜のもう一方のグループである鳥盤類(ちょうばんるい)は恥骨が
後ろを向いていることから、鳥に似た骨盤をもつという意味で鳥盤類と名付けら
れました。しかし、その後の研究で、鳥類は竜盤類の一部から進化してきたこと
が明らかになっています。バンビラプトルやデイノニクスなど鳥類に近い種では、
後方を向くようになります。
文章で読んでもいまひとつよくわからないという方もいらっしゃると思います。
ぜひ実物をご覧になっていただけたら幸いです。
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◆ お知らせ ◆
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「さくらそう展 サクラソウ咲く景色、ふたたび」 <予告>
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かつては日本各地で春先にピンク色の可愛らしい花を咲かせていたサクラソ
ウも、現在は絶滅危惧植物に指定されています。身近で愛されてきた野生種が
起源となり、これまで多くの園芸品種が作られてきました。以前のようなサク
ラソウが咲く景色を求め、各地で地道な保全努力が続けられており、最近では
新たに見つかったサクラソウ自生地の保全対策も行われ始めています。今年の
さくらそう展では、野生サクラソウの保全の現状を紹介するとともに、筑波大
学が保有する園芸品種の中から100品種以上を展示します。
[開催期間]平成25年4月20日(土)〜4月29日(月・祝)
[会 場]国立科学博物館 筑波実験植物園
[入 園 料]一般300円 高校生以下・65歳以上無料
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/2013/04sakura/
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特別展「グレートジャーニー 人類の旅」
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本展では360万年前の人類が家族で連れ立って歩いた最古の足跡化石をその
「グレートジャーニー」の象徴として位置づけています。700万年前の人類誕
生から説き起こし、人類が様々な困難を克服しながらどのように地球上に拡散
していったのかを紹介します。人間にとって過酷な環境である「極地」(熱帯
雨林、高地、極北、乾燥地帯)で人はどうやって生きてきたのか。地球上の様
々な環境で今も暮らす人々の生活を紹介することなどにより、その土地ならで
はの“生きる知恵”と文化を見て、追体験していくことで、「人間の生きてい
く強さ」を再発見し、そこから自身の未来を考えていきます。
[開催期間]平成25年3月16日(土)〜6月9日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2013/gj2013/
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企画展「江戸人展 ―からだが語る『大江戸』の文化―」
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本展では、現在の山手線内に隅田川東岸(墨田区や江東区のあたり)を合わ
せた地域を「大江戸」としていますが、この地域から出土した江戸時代中期以
降の人骨資料などを中心に構成して、そこから見えてくる「文化」を幅広く紹
介します。本展を通じて、当時の「文化」についてご関心をもって頂くととも
に、人骨なども歴史を物語る重要な標本資料であり、それらを収集・保管する
ことの大切さをご理解頂ければ幸いです。
[開催期間]平成25年4月9日(火)〜6月16日(日)
詳細は下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/2013/04edo/
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科博NEWS展示『千石正一』と爬虫両生類標本
〜セーフティーネットで守られたコレクション〜
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爬虫両生類の調査研究、理解普及で知られる千石正一氏の標本コレクション
が、国立科学博物館に寄贈されました。今回の寄贈をきっかけとして、紹介パ
ネルと一部の標本展示を通じて、千石先生のコレクションと活躍を振り返り、
自然史標本セーフティーネットの重要性を紹介します。
[期 間]平成25年2月5日(火)〜5月12日(日)
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2013/02sengoku/index.html
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国際博物館の日記念事業 博物館・動物園セミナー
上野の山でサルめぐり <参加者募集>
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上野の山にある国立科学博物館と東京国立博物館、恩賜上野動物園が連携し、
「サル」をテーマに3つの施設を巡りながら、動物の観察や講義、美術品の鑑
賞を行うユニークなセミナーです。小学校高学年から中学・高校生の方々を優
先に募集しますので、お友達どうし誘いあって、ぜひご応募ください。
[日 時]平成25年5月19日(日)9:00〜14:20
[応募締切]平成25年4月30日(火)当日消印有効
企画の詳細、参加申し込み方法は下記ホームページをご覧下さい
http://www.kahaku.go.jp/event/2013/05icom/index.html
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ホットニュース最新号をアップしました!
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みなさん、小さな化石から様々な情報が読み取れることをご存じですか?
つくば市にある国立科学博物館の研究施設内にて微化石の研究者による集会が
開かれました。日本国内で微小な化石を研究している人たちが集まり、それぞ
れの研究成果や今後の研究の展望などについて報告されました。
今回のホットニュースでは、微化石研究で分かること、そして、この研究集
会で耳にした話題から、最近の成果を1つ紹介します。
最新号ページはこちら↓
http://www.kahaku.go.jp/userguide/hotnews/index.php
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雑誌milsil(ミルシル)通巻32号と定期購読について
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今回の特集は「対称と非対称−対称性で世界を見る」です。多くの動物の体
形は左右対称です。私たちヒトの体も背骨を軸に対称となっていますね。しか
し、細部を見ると必ずしも対称ではありませんし、内臓も非対称です。生物の
世界だけでなく、分子の世界を見てみると、化合物にも左右対称となる分子構
造が存在します。一見そっくりですが、それぞれ全く異なる作用をもつため、
取り違えるととんでもない事故につながることもあります。ノーベル賞を受賞
した野依・南部・小林・益川博士の研究はこの「対称と非対称」に深く関わっ
ています。今号をとおして、実は私たちの生活にも身近な「対称と非対称」に
興味をもっていただけたら幸いです。
発行日 :平成25年3月1日(金)
定 価 :400円(税込)
定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html
(賛助会員)http://www.kahaku.go.jp/userguide/support/index.html
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科博のイベント情報紙「kahaku event」4−5月号発行!
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4−5月号では、展覧会情報や4−5月開催予定のイベントを紹介していま
す。
情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展示や学習
支援活動などの情報を掲載しています。国立科学博物館の施設内等で無料で配
布しています。見学やイベント参加の計画をたてる際にご活用ください。
(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/news/kahakuevent/index.html
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科博に関する思い出、展示の感想など皆様からのメールをお待ちしておりま
す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ
とがあります。なお、お名前は公表しません。)
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◆発 行:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7−20
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