第248号
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科博メールマガジン第248号
発行日:2008年3月13日
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先週号(メールマガジン第247号)では大変多くの方がプレゼントにご応募
くださいました。誠にありがとうございます。また、貴重なご意見とともに、
科博への想いをお寄せいただき、大変嬉しく思っております。これからも皆様
から愛される博物館として運営していきたいと考えております。そして、より
多くの方に当館を知っていただけるように、メールマガジンにも力を入れてい
きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
* 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「地震動針金模型の行方」
■ 上野散策 「不忍池、弁天島の利行碑」
■ お知らせ
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◆ エッセイ ◆
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地震動針金模型の行方
理工学研究部 大迫 正弘
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日本館1階に地震のときの地面の動きを示す模型を展示しています。コンピ
ューターグラフィックスなどなかった明治の中ごろ、地震学者の関谷清景とい
う人が地震動を針金で立体的に表わそうと考えたものです。
教材として売り出したときのチラシがまたふるっていて、「...相錯雑シタル
地震動ノ性質ヲ一目瞭然ニ示スモノナレバ学校ニ於テ地質学、地文学ノ教授ニ
ハ缺クベカラザルノミナラス一般ノ庶物指教ニモ有益ノ雛型ニ御座候」とあり
ます。
ところで、展示したこの模型は台座に英語で説明があり、輸出向けです。ネ
イチャーに記事が載り、外国に幾台も出たとのことです。たしかロンドンの科
学博物館の資料庫で見た覚えがあります。
国内向けにはもちろん台座の説明を日本語にしていました。歴史の長い学校
のどこか倉庫の片隅にこの針金模型が残っていないかと思うのですが、いまの
ところ見つかったという話を聞いていません。ひょっとすると、残るほど国内
にはさばけなかったのかもしれません。
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◆ 上野散策 ◆
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不忍池、弁天島の利行碑
広報・サービス部 石川 昇
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11日と12日、出勤前に上野公園を散策しました。公園入口のオオカンザクラ
は3分咲き、清水観音堂の下にあるカンザクラは散り始めています。五條天神
社の梅はシダレウメをはじめいろいろな梅が満開、モモはもう少しです。不忍
池の水も温み始めてきたようです。池の畔の柳も芽を出し、揺れています。
利行碑は弁天島に入る参道沿い、橋を渡って右側にあります。大きな石に横
書きで「利行碑」と彫られています。この碑の存在は以前から知っていました
が、恥ずかしながら長谷川利行の存在を知りませんでした。左側の台東区教育
委員会の解説板に気づかず、右側の歌碑も利行のものとは認識していませんで
した。ところが、昨年10月の新聞、今年2月のテレビによって、利行(りこう)
こと長谷川利行(はせかわとしゆき1891-1940)を知りました。
まず、新聞です。東京新聞では木版画家宇田川民生氏の「宇田川民生の文学
碑よこんにちは」という連載があり、昨年10月2日、「長谷川利行「人知れず
…」」というタイトルで碑が紹介されました。利行碑の右隣りに歌碑がありま
す。歌は次の二首です。碑は濁点がないので、区の解説板で紹介します。
人知れず 朽ちも果つべき 身ひとつの 今がいとほし 涙ぬくわず
己が身の かげもとどめず 水すまし 河の流れを 光りてすべる
利行は京都山科に生まれ、文学をめざして短歌や小説を作り、歌集も出しま
したが、30才で東京に出た頃から油絵を描くようになります。32才で関東大震
災を体験しました。利行は放浪の画家、日本のゴッホなどと言われますが、貧
困の中で友人宅や山谷の簡易宿泊所に寝泊まりし、上野、浅草、日暮里、日本
堤などの街中や酒場、カフェなどで驚くほどの早さで絵を描いて換金し、それ
は酒や宿代に消えました。40代半ば、健康を害し、1940年5月17日、三河島の
路上で倒れ、行路病者として東京市養育院板橋本院に収容されました。そして、
10月12日、誰にも看取られず49才の波瀾の生涯を閉じました。
テレビ番組は2月2日に放映されたテレビ東京の「美の巨人たち」という番
組で、「放浪画家長谷川利行…早書きがモデルに挑んだ勝負作」というタイト
ルでした。モデルは劇作家岸田国士。俳優が利行や岸田に扮し、絵を描いてい
る風景、利行が金をせびりにくる所などをドラマ化していました。
碑がなぜ不忍池の弁天島にあるのかわかりません。しかし、利行がさまざま
な展覧会に応募し、美術に挑戦した上野の山の下、利行のような異端児を受け
入れてくれ、利行が酒を求めて歩き回った上野の街、そこに碑があるのは自然
なことでしょう。池の水と柳を撫でた風がやさしく碑を包んでいます
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◆ お知らせ ◆
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【ダーウィン展】
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「進化」という考えは19世紀半ばに登場し、生物学にとどまらず、世界を大
きく変えました。本展では、進化論で広く知られるダーウィンの生い立ちから
人生を変えた出会い、「種の起源」発表までの苦悩や彼を支えた人々など、進
化理論誕生の軌跡をたどります。ダーウィンの波乱の人生と偉大なる業績に迫
り、子どもから大人まで、好奇心を刺激する「進化」発見の旅へご案内します。
【会 場】 国立科学博物館(東京・上野公園)
地球館地下1階特別展示室及び特別展第2展示室
【開催期間】平成20年3月18日(火)〜6月22日(日)
【開館時間】午前9時〜午後5時(金曜日は午後8時まで)。
なお、GW期間<4/26〜5/6>は午後6時まで延長開館(5/2(金)は午
後8時まで)。入館は各閉館時間の30分前まで。
【休 館 日】月曜日および5月7日(水)
(ただし3/24、3/31、4/7、4/28、5/5の各月曜日は開館)
【主 催 】国立科学博物館、読売新聞社、NHK
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.darwin2008.jp/index.htm
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【パネル展示 消えゆく植物たち −絶滅危惧植物展−】
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私たち日本人は古くから文化として植物を愛し、さまざまな恩恵を受けて生
きてきました。しかし今日、多くの日本の植物が滅びようとしています。
本展では多様な植物の重要性、絶滅危惧植物とその保全、関連する研究につ
いてパネルで紹介します。この機会に絶滅危惧植物について一緒に考えてみま
しょう。
【会 場】 国立科学博物館(東京・上野公園)
地球館1階展示会場
【開催期間】 平成20年3月11日(火) 〜平成20年4月6日(日)
【開館時間】 午前9時〜午後5時(毎週金曜日は午後8時まで。入館は各閉館時
間の30分前まで。)
【休 館 日】 3月17日(月)
【主 催】 国立科学博物館
【協 力】 ミュージアムパーク茨城県自然博物館、日本植物分類学会、
(社)日本植物園協会
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2008/03red_data/index.htm
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【つくば蘭展・ミニ】
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筑波実験植物園では今回花を付けた「キロキスタ」を含む野生種約50点と日
本大賞を受賞した「ユーロフィエラ・レンプレリアナ」を筑波実験植物園 研
修展示館温室にて公開展示することになりました。今回の「つくばラン展ミニ」
は通常のラン展の期間より長めに取ってありますので、後半はランの種を入れ
替えさせていただきます。
【会 場】 筑波実験植物園(茨城県つくば市)
研修展示館温室
【開催期間】 平成20年3月8日(土) 〜平成20年3月23日(日)
【開園時間】 午前9時〜午後16時30分(入園は閉園時間の30分前まで)
【休 園 日】 会期中は無休
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【科博ニュース展示 「カエルツボカビ−生物学と環境への影響−」】
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世界各地で両生類を絶滅に追いやって来たと言われる「カエルツボカビ」。
日本の野生の両生類からもそのDNAが検出され、影響が心配されています。
本展では日本のカエルツボカビ研究の最新の成果を中心に、カエルツボカビ
の生物学、カエルツボカビがもたらす病気・カエルツボカビ症、更にカエルツ
ボカビ侵入によって危険に晒される可能性のある、日本の希少な両生類をご紹
介します。
【会 場】 国立科学博物館(東京・上野公園)
地球館1階展示室
【開催期間】 平成20年2月5日(火) 〜平成20年4月6日(日)
【開館時間】 午前9時〜午後5時(毎週金曜日は午後8時まで。入館は各閉館時
間の30分前まで。)
【休 館 日】 毎週月曜日(ただし3/24、3/31は開館)
【主 催】 国立科学博物館
【後 援】 日本菌学会
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2008/02frog/index.html
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【新雑誌「milsil(ミルシル)」創刊と定期購読について】
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このたび、当館では、新雑誌「milsil(ミルシル)」(年6回刊行)を創刊い
たしました。
「milsil(ミルシル)」のmil(ミル)は「見てみる」「聞いてみる」「やって
みる」の「ミル」。そのような「ミル」から、新たな、そして豊かな「知る」
(sil(シル))が得られるでしょう。
創刊号の特集は「進化」。ダーウィンの「生物の進化をめぐる旅」や、固有種
の楽園「ガラパゴスのいま」を取り上げるとともに、系統と進化の謎に迫る6人
の研究者たちの取り組みを紹介します。その他、「標本の世界」「親子で遊ぼう
!科学冒険隊」など楽しい連載がいっぱい。
今後も、「milsil(ミルシル)」を通じて、広く自然史や科学技術史などに関す
る情報を積極的に発信していきますので、ご期待ください。
発売日 :平成20年1月23日(水)
頁 数 :本文32ページ(A4版オールカラー)
販売場所:当館ミュージアムショップ(日本館地下1階)、
ジュンク堂書店 池袋本店 (東京都豊島区南池袋2-15-5)
明正堂アトレ上野店 (JR上野駅内)
定 価 :400円(税込)
「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には無料でお届けいたします。
(入会時期により、お届けするmilsil(ミルシル) の発行号(送付開始する号)が
異なります。詳しくは、入会手続き時にご確認ください。)
入会手続きは、当館のホームページをご参照ください。
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/membership/index.html
(賛助会員)http://www.kahaku.go.jp/back_up/index.html
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*「milsil」(ミルシル)定期購読のお知らせ
ミルシルの定期購読をご希望の方は、下記により購読料金をお払い込みくだ
さい。発行の都度(1年間6回分)、お手元にお届けします。
1.振込先口座
ゆうちょ銀行 00150-8-22146
財団法人科学博物館後援会(ざいだんほうじんかがくはくぶつかんこうえんかい)
※通信欄に「ミルシル定期購読希望」と明記してください。
※ご依頼人欄に送付先の おところ・おなまえ・電話番号を明記してください。
2.購読料金: 1年間(6回分) 3,000円(送料込)
3.発送開始時期:発行月の前月末日までにご入金が確認できたものについて、
当該号からの発送となります。
例:(1)4/28のご入金→5月発行号からのご送付
(2)5/7のご入金→7月発行号からのご送付
なお、バックナンバーをご希望の方は、在庫の有無をe-mail
(milsil@kahaku.go.jp)又は電話(03-3822-0111代表)にてミュージアムシ
ョップへお問合せのうえ、通信欄に希望の号数を明記し、上記にお振込み
ください。この場合は、1冊610円(送料込)となります。(2冊以上お買
い求めの場合は送料がかわりますので、お問い合わせください。)
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科博イベント情報「kahaku event」も発行!
「milsil(ミルシル)」とともに、展示や学習支援活動などの情報を掲載した
「kahaku event」(年6回 A4サイズ 4ページ)も発行します。
「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方にはお届けします。また、
館内でも無料で配布します。見学や行事参加の計画をたてるときにご活用くだ
さい。
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◆編集:国立科学博物館 広報・サービス部 広報課
◆発行:国立科学博物館
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