第244号
┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
科博メールマガジン第244号
発行日:2008年2月14日
##$U:3:##
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻
今日は、バレンタインデーです。日本のバレンタインデーの特徴は、多くの
人がチョコレートを贈ることでしょう。そのチョコーレートの原料のカカオに
含まれるポリフェノールが、最近では注目されており様々な含有量のチョコレ
ートが出まわっています。カカオは高温・多湿な地方で栽培される熱帯植物で
す。おもしろい特徴は、枝だけでなく、幹にも実のなる樹だということです。
そんなカカオが当館の付属施設 筑波実験植物園の熱帯資源植物温室にも植え
てあり、バナナやパイナップルなどの熱帯の資源植物と一緒にご覧いただけま
す。寒い日が続いていますので暖かい屋内実験植物園にぜひお越しください。
* 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「パタゴニアの夏」
■ 上野散策 「谷中の天王寺(その1)」
■ お知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ エッセイ ◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
パタゴニアの夏
地学研究部 植村 和彦
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
昨年の暮れから約1ヶ月、南米パタゴニアへ植物化石の調査に行っておりま
した。日本からは地球の裏側、アメリカ経由で約30時間の長旅でチリの首都サ
ンチアゴにつきます。季節は夏、乾いた熱風を肌に感じながら、南米南端のプ
ンタアレナスへと向かいました。南緯53度のここまで来ると、初冬の東京とた
いして変わらぬ気候です。ですが、この地は夏の盛り、牧草地にはタンポポ、
マーガレット、クローバーなどが咲きみだれ、あちこちが黄色や白のじゅうた
んに敷きつめられます。タンポポにはパタゴニア在来のものがあるとはいえ、
このように外来種で占拠された様子は何か変ですが、壮観ではあります。
パタゴニアでは山岳氷河が海に連なるところがあります。これまで7回、パ
タゴニアを訪れていますが、氷河や山の雪渓がだんだん少なくなっていく気が
します。事実、衛星写真の記録からは氷河の後退がはっきり分かり、地球温暖
化の影響が顕著に現れているようです。
パタゴニアの美しい夏、その中で進行している地球や環境の変動は地球全体
の問題と無関係ではありません。今年2008年は「国際惑星地球年」です。われ
われの住む大地、それを取り巻く海、水、大気の様子や歴史を知ることは、地
球環境の問題、生物多様性の保全、あるいは自然災害の対処への基礎となりま
す。この国際年を契機に、地球のことをさらに理解するようにしたいものです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 上野散策 ◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
谷中の天王寺(その1)
広報・サービス部 石川 昇
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
科博北側の道を西へ。芸大を過ぎ、言問通りを過ぎても直進。道が緩やかに
左へカーブするところをカーブしないで谷中墓地へ直進。墓地の中を進むと十
字路の右側に交番があります。この奥に天王寺五重塔跡があります。
五重塔は日蓮宗時代の寛永21(1645)年に日長上人が建立しましたが、明和9
(1772)年の大火で焼失。寛政3(1791)年に再建され、幸田露伴の小説『五重塔』
のモデルとして有名になりましたが、昭和32(1957)年に放火心中のために焼失
してしまいました。上野散策では2004年9月30日(第65号)に訪れました。
http://www.kahaku.go.jp/magazine/backnumber/backnumber.php?id=133
さらに直進すると天王寺の山門に到着します。天台宗の寺で護国山と号して
います。谷中七福神の寺でもあり、毘沙門天がまつられています。
天王寺は鎌倉時代、日蓮宗の感応寺として建立されました。江戸時代の寛永
15(1638)年には3代将軍家光が鷹狩りの帰りに住職日長上人と会見、その後帰
依を受けるようになり、約3万坪を賜りました。しかし、幕府の禁に触れたこ
とから元禄12(1699)年に天台宗に改宗を命じられました。
そのとき住職になった慶運により毘沙門天が本堂に安置されました。また、
改宗で檀家を失って寺院経営が困難になったことから富突の実施を願い出て許
され、天保13(1842)年に禁令が出るまで、免許を更新されて実施しました。富
突は一種の宝くじで、年3回興行し、大いに賑わい、近くには茶屋もできまし
た。そして、湯島天神、目黒不動とともに江戸の三富と言われました。
天保4(1833)年、感応寺が池上本門寺の隠居寺として雑司ヶ谷に再興される
ときに、天王寺に改称しました。感応寺を日蓮宗に改宗させる動きもあったよ
うですが、寛永寺の輪王寺宮舜仁法親王の働きにより、天台宗のまま改名した
といいます。雑司ヶ谷の感応寺は5年で廃寺となりました。
慶応4(1868)年、彰義隊と官軍の戦いの際には、天王寺に小川椙太率いる天
王寺組がいましたが、輪王寺宮はここで着替えて芋坂から尾久方面へ逃げたそ
うです。芋坂を下りた団子屋「羽二重団子」には逃げてきた彰義隊士の小刀が
展示されています。彼らは店に闖入し、槍を縁の下に投げ入れ、百姓の野良着
に着替えて逃げていったということです。
戦いの結果、庫裏と五重塔を除き、ほとんどの建物は焼失しました。さらに、
明治3年以降、境内の大半は接収されて谷中墓地になり、あっという間に小さ
くなって、現在の形になりました。
なお、小川椙太は生き残り、明治になってから上野公園に彰義隊士の墓を立
て墓守となりました。上野散策では昨年5月10日に訪れました(第203号)。
http://www.kahaku.go.jp/magazine/backnumber/backnumber.php?id=420
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ お知らせ ◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座
【ミニシンポジウム−英国と日本のサイエンス・カフェについて】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座の「サイエンスコミ
ュニケーション2」の講義の一部を特別に公開します。英国Junior Cafe
scientifique の主催者であるMary Arber氏を招き、英国におけるジュニアサイ
エンス・カフェの現状について、また、国立天文台准教授の縣秀彦氏にも、三
鷹で企画・運営されている大変人気のアストロミー・パブについてお話いただ
きます。(同時通訳付き)
【会 場】 国立科学博物館(東京・上野公園)
地球館3階講義室
【日 時】 平成20年2月23日(土) 10:30〜12:30 10:00〜受付開始
【主 催】 国立科学博物館
【共 催】 ブリティッシュ・カウンシル
【内 容】(1)「国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座
の取り組み」
小川 義和(国立科学博物館 展示・学習部 学習課長)
(2)「Junior Cafe scientifique in UK」
Mary Arber 氏(英国Junior Cafe scientifique の主催者)
(3)「アストロミー・パブ in 三鷹」
縣 秀彦 氏(国立天文台 准教授)
【参 加 費】 無料 (博物館の常設展入館料600円が必要)
【応募方法】「先着60名様」をメールのみでの受付をしております。次の項目
(名前、ふりがな、所属、Email、電話番号、あればひとこと)を
ご記入の上、お申し込みください。
【参加申込】 ブリティッシュ・カウンシル science@britishcouncil.or.jp
※定員60名になり次第、締め切らせていただきますので、ご了承ください。
詳しくは、こちらをご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/news/2008/20080223.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【科博ニュース展示 「カエルツボカビ−生物学と環境への影響−」】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
世界各地で両生類を絶滅に追いやって来たと言われる「カエルツボカビ」。
日本の野生の両生類からもそのDNAが検出され、影響が心配されています。
本展では日本のカエルツボカビ研究の最新の成果を中心に、カエルツボカビ
の生物学、カエルツボカビがもたらす病気・カエルツボカビ症、更にカエルツ
ボカビ侵入によって危険に晒される可能性のある、日本の希少な両生類をご紹
介します。
【会 場】 国立科学博物館(東京・上野公園)
地球館1階展示室
【開催期間】 平成20年2月5日(火) 〜平成20年4月6日(日)
【開館時間】 午前9時〜午後5時(毎週金曜日は午後8時まで。入館は各閉館時
間の30分前まで。)
【休 館 日】 毎週月曜日(ただし3/24、3/31は開館)
【主 催】 国立科学博物館
【後 援】 日本菌学会
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2008/02frog/index.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【アンコール!特別展 「世界遺産 ナスカ展−地上絵ふたたび」】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2006年3月から、国立科学博物館を皮切りに、全国9会場を巡回し、総動員数
85万人を集めた特別展「世界遺産 ナスカ展」がクライマックスを迎えます。
見る機会を逃した方や、あの感動をもう一度!という方のご要望におこたえ
し、19日間限りのアンコールバージョンで開催中です。
数々の謎と疑問にお答えするバージョンアップ版ナスカ展をお楽しみください。
※注)展示作品は前回展と同様です。尚、作品保護のため「パラカス時代のもの
とされたミイラ」は展示されません。
【会 場】 国立科学博物館(東京・上野公園)
地球館地下1階特別展示室及び特別展第2展示室
【開催期間】 平成20年2月5日(火)〜2月24日(日)19日間
【開館時間】 午前9時〜午後5時(毎週金曜日は午後8時まで。入館は各閉館時
間の30分前まで。)
【休 館 日】 2月18日(月)
【主 催】 国立科学博物館、TBS、朝日新聞社
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2008/nasca19/
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【企画展 雷龍の王国 ブータン-その多様な自然と人々-】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国立科学博物館とブータン王国国立生物多様性センター間の協力活動を紹介
するとともに、植物を中心にその多様な自然と、自然の素材を利用した伝統織
物や工芸品、人々の暮らしや文化について展示します。
【会 場】 日本館1階企画展示室
【開催期間】 平成20年1月29日(火)〜2月24日(日)
【開館時間】 午前9時〜午後5時(毎週金曜日は午後8時まで。入館は各閉館時
間の30分前まで。)
【休 館 日】 毎週月曜日(但し2/11は開館)
【主 催】 国立科学博物館
【協 力】 ブータン王国国立生物多様性センター、財団法人進化生物学研
究所、日本ブータン友好協会
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2008/01bhutan/index.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【新雑誌「milsil(ミルシル)」創刊!】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
このたび、当館では、新雑誌「milsil(ミルシル)」(年6回刊行)を創刊い
たしました。
「milsil(ミルシル)」のmil(ミル)は「見てみる」「聞いてみる」「やって
みる」の「ミル」。そのような「ミル」から、新たな、そして豊かな「知る」
(sil(シル))が得られるでしょう。
創刊号の特集は「進化」。ダーウィンの「生物の進化をめぐる旅」や、固有種
の楽園「ガラパゴスのいま」を取り上げるとともに、系統と進化の謎に迫る6人
の研究者たちの取り組みを紹介します。その他、「標本の世界」「親子で遊ぼう
!科学冒険隊」など楽しい連載がいっぱい。
今後も、「milsil(ミルシル)」を通じて、広く自然史や科学技術史などに関す
る情報を積極的に発信していきますので、ご期待ください。
発売日 :平成20年1月23日(水)
頁 数 :本文32ページ(A4版オールカラー)
販売場所:当館ミュージアムショップ(日本館地下1階)、
ジュンク堂書店 池袋本店 (東京都豊島区南池袋2-15-5)
定 価 :400円(税込)
「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には無料でお届けいたします。
(入会時期により、お届けするmilsil(ミルシル) の発行号(送付開始する号)が
異なります。詳しくは、入会手続き時にご確認ください。)
入会手続きは、当館のホームページをご参照ください。
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/membership/index.html
(賛助会員)http://www.kahaku.go.jp/back_up/index.html
----------------------------------------------------------------------
科博イベント情報「kahaku event」も発行!
「milsil(ミルシル)」とともに、展示や学習支援活動などの情報を掲載した
「kahaku event」(年6回 A4サイズ 4ページ)も発行します。
「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方にはお届けします。また、
館内でも無料で配布します。見学や行事参加の計画をたてるときにご活用くだ
さい。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【科博ニュース展示 「DNAの先へ!-生命の暗号・ゲノム解読の歴史と未来-」】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
かつては手作業で行われていた、DNAの塩基配列の解読。30億もの膨大な塩
基を解読するには、数千年以上かかるとも言われてきました。
「DNAの先へ!」では、手作業から自動シークエンサー、大容量化・高速化
へと到るDNA解析技術の革新の歴史を紹介しています。
また、ゲノム・DNA・RNAの役割を解説し、ヒトゲノムの解読終了に伴い、今
後必要となる研究と、得られる可能性のある成果についても取り上げています。
【会 場】 国立科学博物館(東京・上野公園)
地球館2階展示室
【開催期間】 平成19年12月4日(火) 〜平成20年3月2日(日)
【開館時間】 午前9時〜午後5時(毎週金曜日は午後8時まで。入館は各閉館時
間の30分前まで。)
【休 館 日】 毎週月曜日 12/28〜1/1及び1/15(ただし12/24、1/14は開館)
【主 催】 国立科学博物館、理化学研究所 横浜研究所
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2007/12dna/index.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★ メール募集中 ★
科博に関する思い出、展示物についての質問、特別展の感想など皆様からの
メールをお待ちしております。
宛先: magazine@kahaku.go.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆編集:国立科学博物館 広報・サービス部 広報課
◆発行:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7−20
◆お問合せ:magazine@kahaku.go.jp
◆登録解除:ホームページの登録解除フォームに、ご登録いただいたメール
アドレスをご入力ください。
http://www.kahaku.go.jp/magazine/index.html
現在、ご登録いただいているメールアドレスは ##$mail## です。
※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━