Shigekazu Yoneda

米田 成一(よねだ しげかず)
理学研究部
名誉研究員

今から約200年前の江戸時代、1817年12月29日の午後2時頃、よく晴れた空に雷のような大音響がとどろき、現在の八 王子市市街の約10kmの範囲に長さが1メートルほどの石が3か所以上に落下しました。1つの隕石が上空で割れて多数の破片が降る典型的な隕石雨(隕石シャワー)といわれるもので、 当時、八王子だけでなく江戸でも火の玉や音の記録が数多く残されており、これは気仙隕石をしのぐ、日本最大の隕石だったと考えられます。ところが、幕府の天文方が調べた結果、火山の石と判断されてしまったため、現在では全て行方不明になっています。

しかし、当館には八王子隕石かもしれないという重さ0.1グラムの小さな破片が保管されています。これは1950年頃、江 戸時代に暦の編纂などを行っていた京都の土御門家の古文書 の中に「隕石之事」と書かれた紙包みが見つかり、その中に八王子隕石について書かれた紙片とともに挟まっていたというものです。ただ、同じ包みの中には、1866年に京都府に落下した曽根隕石の記録も入っていたため、曽根隕石のかけらである可能性もあります。そこで、国立極地研究所や九州大学の協力を得てこの小片を詳しく分析してみました。

小片から分析用に割り取ったのはわずか0.02グラムですが、 これを使って、光学および電子顕微鏡での組織観察や、電子線マイクロアナライザで化学組成の分析を行い、さらにX線回折装置での鉱物分析に加え、質量分析計で希ガス同位体分析を行いました。そして、曽根隕石の破片にも同様の分析を行い比較したところ、ほとんど誤差の範囲内で一致しました。つまり八王子隕石とされていた小片は実は曽根隕石のかけらである可能性が高いと思われます。

しかしながら、八王子隕石と曽根隕石が同じ母天体から別々に来た隕石である可能性は残されています。もし大きな隕石片が見つかれば、きっとその疑問にも答えが得られるでしょう。

「まぼろしの八王子隕石」探しています。

八王子隕石(偏光顕微鏡写真提供:国立極地研究所)鉱物の化学組成分析

研究員に聞いてみました!

米田博士_研究員に聞いてみました
1) 専門は何ですか

宇宙化学です。主に隕石の化学分析・同位体分析を行っています。一般の人に分かりやすいように「隕石学」とお答えする場合もあります。

2)研究する上での苦労や悩みなどはありますか

隕石は実物が限られているので、研究の目的に応じた適切な試料を得ることが難しいです。そのため、微小な破片を研究するしかないことがよくあります。

3)研究以外の趣味や熱中していることはありますか

デジタルガジェットの新し物好きです。最近はVRに興味があります。

4)今の職業に就いていなければ何をしていると思いますか

学生の頃にマイコン(パソコンになる前ですね)ブームがあり電子工作などにも興味を持っていましたので、コンピュータ関係のエンジニアになっていたかもしれません。

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