顔かたちの違いは偶然にできたのか?

溝口 優司(みぞぐち ゆうじ)
生命史研究部
名誉研究員
世界中の人たちの顔つき、体つきを見ると、ひとりひとりが少しずつ違っているだけではなく、ヨーロッパ人やアジア人など、集団としても異なる特徴をもっています。この違いは偶然にできたものなのでしょうか。今のところ、形態(形と大きさ)の違いは色々な遺伝子と環境要因によって決定されていると思われていますが、どんな遺伝子が体のどの部分をどのように決定しているのか、また、その遺伝子がヒトの進化過程のどの段階でどのように出現したのか、ということについては、ほとんど分かっていません(少しは分かっています)。
私は形態の変異(違い)の規則性を調べて、このよう な問題の解決の糸口を見つけようとしてきましたが、最近、図に示しますように、歯のすり減りが強い人(水色)は、すり減りが弱い人(ピンク色)よりも、頭骨後方下部の構造のバラつき程度が大きく、顎の部分がより前方に、後頭部がより後方に伸びる傾向がある、ということ発見しました。このような規則性があることは、つまり、形態の違いは偶然ではないことは分かりましたが、歯のすり減りと頭骨構造の変異のどちらが原因でどちらが結果であるかを知るには、もっともっと研究が必要です。

研究員に聞いてみました!

1)専門は何ですか?
あえて言えば、形質人類学という、ヒトがどのようにして生じ、どのようにして現在のような姿形になったのか、ということを探る学問分野が一番近い分野です。
2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?
小学校高学年で岩石・鉱物に、中学校で化石や骸骨に、そして高校で「存在と無」「同一律」に心が傾いて、対象をヒトにする生物学的な研究にのめり込んでしまいました。
3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?
ここに紹介した結果を去年、36年越しで、自分自身で発見したことが、私にとっては最も大きな出来事でした。
4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !
一番やりたいことをやる、やれるように努力する、ということでしょうか。