Tomoki Kase

加瀬 友喜(かせ ともき)
生命史研究部
名誉研究員

貝化石は進化研究の格好の材料

化石は生物進化の直接的な証拠です。なかでも化石として残りやすい強固 な石灰質の殻をもつ貝類は、古生代初期に出現して以来、約5億5000万年間 の豊富な化石記録を地層中に刻んでおり、その記録をたどることで地球環境 の変動や大量絶滅などの生物進化の重大事件をも読み取ることができます。 私はそのような貝類化石を材料とし、絶滅した化石貝類の古生態や、地球環境 変動と海洋生物生態系の関わりを研究しています。

モクレンタマガイ生きた化石巻貝、モクレンタマガイ
(クヨ島、フィリピン産)。
貝類の捕食史の謎を解き明かした。

フィリピン産の貝化石。日本列島の同時代の化 石に比べて保存が良く、未知の種が数多い。

フィリピン産_貝化石
東南アジア熱帯地域の多様な生物の起源を探る
ネグロス島_化石発掘ネグロス島(フィリピン)での化石発掘。フィリピンには、発掘されたことのない露頭がたくさんある。

フィリピンやインドネシアなどの東南アジアの熱帯の島々は、地球上 で最も多くの生物種を育む、専門的に言うと、種多様性の最も高い地域 です。この多様な生物を生み出した要因の解明は生物学者の長年の研 究テーマで、「熱帯は新たな種を生み出す地域」あるいは「地殻変動に よる離れた島々の合体による種の集積」など、多くの仮説が提唱されて います。現在、私はフィリピンやインドネシアの研究者と協力し、東南ア ジアでの地質調査と化石の発掘を続け、熱帯古生物研究の礎となる化 石コレクションの構築をおこなっています。そして、さらにそれらを材料 として、熱帯の新生代化石貝類の変遷を明らかにする研究を進めてい ます。これらの化石群には、東南アジア熱帯地域の島々の多様な生物相 の成り立ちの謎を解く鍵が隠されていると信じています。

研究員に聞いてみました!

加瀬友喜博士
1)専門は何ですか?

貝化石を用いた進化古生物学が専門です。地球環境と化石群の変遷から、熱帯の海の生態系の 進化を研究しています。

2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?

高校生時代、通学路近くにある崖に露出する地層と貝化石を見て、古生物学に興味を持ちました。将来は化石に関わる仕事をしたいと思い、大学では地質と古生物学を専攻しました。

3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?

もうかなり前のことですが、貝類進化史のある謎を解くため、唯一の生きた化石種の貝を探しにフィリピンの未開の地を旅しました。最後にスルー海の孤島でその貝の生体を見つけ、すべ ての謎が解けた時の感動は今でも忘れられません。

4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !

化石の研究者になるには、古生物学の研究室がある大学に進学し、もし研究者に向いている と思えば自分を信じ、あきらめないことです。

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