Masanobu Higuchi

樋口 正信(ひぐち まさのぶ)
植物研究部
名誉研究員


コケ植物の研究をしています。研究の内容をわかりやすく言うと、どこにどんな種類がいて、それらが他の種類とどのような関係にあるのかを調べています。研究には材料が必要です。世界中のコケを自分で集めるのは不可能ですが、世界の研究者と親しくなれば標本を交換することによって可能になります。私は国立科学博物館の三代目のコケの研究者ですが、これまでの研究者が集めた標本をさらに充実させる使命があります。世界にコケは約18000種あり、タイプ標本1点しかない種もあるのですべてを集めるのは無理ですが、それに近い数の種の標本収集を、将来何代目かの研究者がきっと成し遂げてくれることでしょう。

キャンプ地での標本整理
Lyellia aspera.LyelliaLyellia aspera.Lyellia はスギゴケ科に属し、4 種のみからなり、ヒマラヤ東部、シベリア、北米北部に隔離分布する。Lyellia aspera はシベリア、アラスカ、グリーンランドに分布するが、胞子体はシベリアのみで記録される。今回、コブラのような形をした成熟した胞子体のついた標本を収集することができた。
ヌマチゴケの群落ヌマチゴケ Paludella squarrosa の群落。ヌマチゴケ属はヌマチゴケ科に属し、ヌマチゴケ1種からなり、北半球北部に分布する。日本国内では大雪山で一度報告があるのみ。赤いコケはミズゴケ類。

一方、やはり自分の目で実際にその種が生活している様子を観察できればそれがベストです。生態を初め、標本ではわからない多くの情報が得られるからです。私はこれまで20か国以上でコケの調査をしてきましたが、今、中国、台湾、ロシアに注目しています。それは日本の周辺地域の様子がわからなければ、日本のコケのユニークさやその起源などがわ からないからです。例えば、日本の固有種は周辺地域の研究が進むことによって、その実体がより明らかになります。

ロシア_調査風景2012年8月に実施したロシア、シベリア北東部の調査。
北緯61度付近で、8月でも寒い。

研究員に聞いてみました!

樋口博士
1)専門は何ですか?

コケ植物が専門です。特に、ハイゴケ科の分類について研究しています。

2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?

大学3年の時に森林調査のアルバイトをしていた時、何か興味のある植物はあるかと聞かれ、「コケなんか、おもしろいですね」とふと答えてしまったのが最初のきっかけです。

3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?

この夏のロシア調査で、日本では北海道でただ 1 回しか確認されたことのない種が、あたり一面を覆うように多量に生育していたのを見たことです。

4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !

いろいろ経験する困難を乗り越えられるのは研究をやりたいという気持ちだと思います。

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