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「虫」の虫

小野 展嗣
玉髄:新潟県阿賀町楢山産
写真はコガタコガネグモ。大島で撮影
アジアから234新種

私が担当する動物たちは、翅のない昆虫類(トビムシ・シミなど)と昆虫・甲殻類以外の節足動物(クモ・サソリ・ダニなどのクモ類、ムカデ・ヤスデなどの多足類)です。
とくに専門としているクモ類の分類学、生態学、進化生物学などの分野について、これまで経常研究費や文部科学省の科学研究費補助金(奨励・基盤・海外学術研究など)を受けて研究を行ってきました。
日本各地のほか、台湾・韓国・中国・タイ・マレーシア・ベトナム、などで現地調査を行い、1977年以来30年で234の新種を世に送り出しています。
紅石英:福島県いわき市三和町産
図は私の研究する鋏角類と呼ばれるクモとそのなかまたちです
原点は昆虫少年

小学生のころ、近所にはまだ、草ぼうぼうの薮がたくさんあり、ザリガニやカエル、ケラやトンボを捕って遊びました。愛読書は、名著『昆虫の生態』(古川晴男著、偕成社、1950年初版)と『昆虫の図鑑』(小学館、1956年初版)。7歳のときに見よう見まねで作った標本は、45年間押し入れにずっと保管されてきました。当時私の家の周りにいた昆虫の記録です。
あるとき、クモがどうやって網を張るのか気になってしかたなくなり、クモの行動を1日中追跡しました。観察すればするほど、こんなに不思議な動物はないと思いがつよくなってゆきました。
虫という言葉には「あることに熱中する人」という意味もあります。研究室でひとり顕微鏡をのぞいていると、遠い森の中でくりひろげられている小さな虫たちの壮大なドラマを想像して思わず手に汗を握ることがあります。どんな推理小説よりも面白い、想像を絶する非人間的な恐ろしい世界、そして、それを生んだ地球の歴史のひとコマひとコマが、私をどんどん『「虫」の虫』にさせてしまうのです。
展示ポスターはこちらから
小野展嗣(おの ひろつぐ)

小野 展嗣(おの ひろつぐ)

陸生無脊椎動物研究グループ

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