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ホットハウスアースを歩く - 三畳紀前期の地球 -

重田 康成

ルスキー島東南部の海岸

酸素欠乏の海
三畳紀前期のアンモナイト(ルスキー島産)
三畳紀前期の海底の復元図
古生代末(約2億5000万年前)の大量絶滅事件により生物の大部分は死滅し、それまでの生態系は壊滅的な打撃を受けました。それに続く三畳紀前期の地球は、大気中の二酸化炭素濃度が高く、"ホットハウスアース"と呼ばれる極端に温暖で乾燥した気候であったと言われています。その様な環境の中で、生物はどこで、どのように生活し、さらに生物多様性や生態系はどのようにして回復していったのでしょうか。

私が注目しているのは、ロシア極東のプリモーリエ(沿海州)地方です。ここには、三畳紀前期の地層が広く分布し、その中に地球環境や生物相の移り変わりの様子が連続的に記録されています。1998年以来、地質学、古生物学、堆積学、岩石学など様々な分野の研究者と共同で、ホットハウスアースの生物を調べています。

これまでの調査から、すこし深い海は酸素欠乏のため大型の生物が住めず、大部分の生物は浅海域に住んでいたことがわかってきました。三畳紀中期ごろになると、酸素欠乏が緩和され、それに伴って生物がより深い海域でも生息できるようになったようです。海洋における生物多様性や生態系の回復は、貧酸素環境の緩和と関係があるかもしれません。

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重田 康成(しげた やすなり)

重田 康成(しげた やすなり)

地球環境変動史研究グループ
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