>> 地学研究部「私の研究」一覧へ戻る

 アンモナイトを求めロシア極東を歩く

重田 康成
北カムチャッカ・ペンジナ湾岸


北カムチャッカ・ペンジナ湾岸

調査地域に道はない。家もない。ヒグマもいたるところに出没する。ヤブカの襲来に悩まされる。でも、自然のままの地層をハンマーでたたくと、化石が顔をのぞかせる。タイムカプセルを開けた瞬間だ。

ハンマー片手に中生代を読み解く

古生代末の大量絶滅事件により生物の大部分が死滅し、それまでの生態系は壊滅的な打撃を受けました。こうして幕をあけた中生代(約2 億5000 万年前〜6500 万年前)は、恐竜が出現し、繁栄し、絶滅しただけでなく、陸上 植物や海の生物にも大きな生態的な変革が起きました。それは現在の生物の分布や生態系の成立を理解する上で、重要なヒントを与えるものです。


では、その実態を明らかにするにはどのようにすればよいのでしょうか。新しい手法を導入することで、研究の能率は大きく向上しますが、やはり基本は研究者が露頭と1対1で向き合う地質調査です。地層をよく観察し、そこに含まれる化石を丹念に調べることが重要です。


私が狙いをつけたのは、プリモーリエ、サハリン、北カムチャッカなどロシア極東地域です。これらの地域には、中生代の海底環境や生物相の移り変わりの様子が連続的に地層中に残されています。しかも、開発など人為的な影響がほとんどない、まさに手付かずの状態で化石を野外で観察できます。1990年以来、様々な分野の研究者と共同でアンモナイトなどの海洋生物の生きざまの証拠を求めて、ハンマー片手にロシア極東各地を調べ歩いています。
サハリン・マカロフ地域の白亜紀の地層1
サハリン・マカロフ地域の白亜紀の地層2
アンモナイト
サハリン・マカロフ地域の白亜紀の地層とアンモナイト

展示ポスターはこちらから
重田 康成(しげた やすなり)

重田 康成(しげた やすなり)

地球環境変動史研究グループ

>> 地学研究部「私の研究」一覧へ戻る