現代人の地域的な身体特徴の違いや文化的多様性は、いつどのように生じたのでしょう? そのことにどのような意味があるのでしょう? この難問に答えるため、そして人間についてより深く理解するため、アジア地域における人類の成り立ちについて研究しています。専門は人類化石の形態解析を行う古人類学ですが、考古学・遺伝学・古環境学など様々な分野の研究者と協力して、過去200万年間における総合的な人類史復元を試みることが最終目標です。
旧石器時代の日本とアジア
縄文時代についてはよく知られていますが、それ以前の旧石器時代の日本列島はどうなっていたのでしょうか? 日本の旧石器時代人たちと彼らの文化について、考古学者と協力しながら調査しています。
5万年前ごろ、アフリカ発のホモ・サピエンス(=現代人を含む種、新人)の世界拡散が始りました。日本へもその一派がやってきているはずですが、その実態はまだよくわかっていません。この問題を追及すべく、沖縄の港川人など旧石器時代の人骨化石について、新しい再検討プロジェクトを始めました。沖縄における新たな野外調査活動も、沖縄県立博物館を中心に始動しています。

現生人類の世界拡散の概念図。詳細は今後の研究によって修正していく。

沖縄で見つかった港川人。旧石器時代に日本列島へやってきたのはどのような人たちだったのだろうか?

現代人起源論争に大きな影響を与えた
南アフリカのブロンボス洞窟を訪問。

オーストラリアのウィランドラ湖遺跡群。乾燥地帯を含む様々な自然環境に柔軟に適応できたからこそ、人類は世界中へ拡散できた。

オーストラリアの専門家を招いて考古学者と共同で行った
石器製作のワークショップ。

現代人の起源に関する著書。
他分野の研究者と協力して総合人類史の復元を目指す。