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All Right Reserved, T. Kubodera, National Science Museum, Tokyo, 2005
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  もし人間が海中で数十倍から数百倍まで物を拡大してみることができれば、そこには多様で美しく姿・形の変わった生き物たちが、海中を漂いながら独自の生活を営んでいることに驚かされるであろう。

  動物プランクトンとは,海中に漂って生活をしている動物の総称で,その中にはミクロン単位の原生動物から数m の大型のクラゲ類まで様々な動物群が包含される。動物プランクトンの主体は,体長数mmから数cmのかいあし類やオキアミ類・端脚類などの甲殻類であるが,遊泳力の未発達な魚類やイカ類の稚仔もその生活様式から動物プランクトンの仲間に入れられる。

  小型かいあし類やオキアミ類の多くは,植物プランクトンを食べる植食者であり,また毛顎類や端脚類,大型かいあし類等は他の動物プランクトンを捕食する活発な肉食者である.動物プランクトンは,植物プランクトンから始まる海洋の生物生産を大型魚類や海棲哺乳動物につなぐ食物網の一端を担う重要な動物群でもある。

  いままでに,海洋動物に関する様々な映像が紹介されてきているが,この微小な動物プランクトンを生きた状態で詳細に観察した映像はあまり多く得られていない。1995年と2001年に東京大学海洋研究所所属「白鳳丸」の調査航海に乗船する機会があり、西太平洋熱帯・亜熱帯海域および北太平洋・道東沖で多種(約70種)にわたる動物プランクトンの生時の顕微鏡によるビデオ撮影を行い、貴重な映像を集めることができた。これらの映像の一部は、国立科学博物館新館の「生物多様性・海洋生物」において,マルチスクリーンの手法を用いて紹介されている。

  本CDRは、当館が進めているバーチャルミュージアム構想の一環として、国立科学博物館ホームページに掲載している「海の微小な動物プランクトン 画像・動画データベース」が元になっている。このHPは、海に生きる微小な動物プランクトンの多様な形態,動きの面白さ,さらに半透明な体壁を通して活発に拍動する心臓等、驚きの動画を新しい情報伝達のインターネットを通じて全国の小・中・高校生のみならず自然史に興味を持たれる多くの一般の皆様に紹介しようとして企画したものである。残念ながらインターネットではサーバーの制約上、各々の動画は3−4秒ほどしか配送できなかった。このCDRは各々の動画を長めに(20−30秒)編集しなおしたもので、動物プランクトンの動きがより長く観察できるようにバージョンアップされている。

  なお、動物プランクトンの査定に関しては、大塚 攻(広島大学)、菊地知彦(横浜国立大学)、戸田龍樹(創価大学)、今島 実(国立科学博物館・名誉研究員)、武田正倫・篠原現人(国立科学博物館・動物研究部)、奥谷喬司(日本軟体動物学会会長)、蒲生重男(横浜国立大学・名誉教授)、西川 淳・山田雄一郎(東京大学海洋研究所)、各位の協力をいただいた。記して感謝の意を表する。また、各調査航海の際に動物プランクトン撮影にご配慮いただいた塚本勝巳(主席研究員・東京大学海洋研究所)、大田 秀(主席研究員・東京大学海洋研究所)並びに航海に同船して手助けをしてくださった多くの研究者、各位に心から感謝の意を表する。最後に、動物プランクトンの採集作業や船内生活など多義にわたりご協力、ご援助をいただいた白鳳丸の船長並びに乗組員各位に厚くお礼申し上げる。

  最後に、本CDRの全ての著作権は制作者である窪寺恒己と企画者である国立科学博物館とが保持しています。内容の変更、画像・動画・文章等の無断複製、転用は著作権法上禁止されていますので、お止め下さい。商業ベース以外の教育的あるいは研究目的でご利用を希望される方は、下記のメイル宛てにご相談ください。

窪寺恒己 (国立科学博物館・動物研究部)