魚類学入門


Database for Aquatic-vertebrate Science

魚ってどんな生き物?

執筆:松浦啓一


魚は脊椎動物、つまり背骨をもった動物の仲間です。脊椎動物には哺乳類(イヌやネコ、人間など)、鳥類(カラス、ハト、スズメなど)、は虫類(トカゲ、カメ、ヘビなど)、両生類(カエルやイモリなど)そして魚類が含まれています。魚類は脊椎動物の中で最初に地球上に現れたグループです。ですから魚は人間の遠い「ご先祖さま」と言えます。

魚類は他の脊椎動物と異なる特徴をもっています。一生を通じて鰭(ひれ)をもち、鰓(えら)で呼吸するのが魚類の特徴です。両生類のカエルやサンショウウオも子供のときには鰓で呼吸しますし、鰭のようなものをもっていますが、大人になると肺で呼吸し、足で移動します。

魚類は現在、地球上に27,000種います。日本周辺には、およそ4,000種がすんでいます。魚類は海水、淡水を問わず、水のある所ならどこにでも現れます。地球表面の70%をおおう海では沿岸からはるか沖合の大洋の真ん中や8000 mの深海まで、魚がいない場所はありません。陸では川や湖はもちろんのこと、地下水や温泉、そして高山の湖や砂漠の水たまりにも魚はすんでいます。
哺乳類や鳥類では新種が見つかることは滅多にありませんが、魚類の新種は毎年たくさん報告されています。日本周辺からも毎年、数種の新種が報告されています。また、新種ではなくても、日本から初めて見つかったという魚が毎年15種くらい報告されています。つまり、魚類の分類はまだまだ発展途上なのです。




赤い矢印は鰭(ひれ)



レンコダイの鰓(えら)



とり出した鰓