魚類学入門


Database for Aquatic-vertebrate Science

魚の体

執筆:松浦啓一

多くの魚の体は左右に平たい形をしています。これを側扁(そくへん)といいます。アジやタイの仲間がよい例です。逆に上下に平たい形を縦扁(じゅうへん)といいます。アンコウやコチ、そしてエイの仲間に見られる特徴です。


口の位置
魚のグループによって口の位置が異なります。多くの魚では口は頭の先端にありますが、なかには口が上を向いている魚もいます。また口が下を向いている魚もいます。


魚には鰭(ひれ)があります。大多数の魚は背鰭(せびれ)、臀鰭(しりびれ)、尾鰭(おびれ)、胸鰭(むなびれ)、腹鰭(はらびれ)をもっています。胸鰭と腹鰭は左右に一つずつ、つまり一対ありますが、背鰭、臀鰭、尾鰭は対にならず、単一です。背鰭は背中側に一つか二つ(例外的に、ヘビギンポやタラなどには三つある)、臀鰭は一つ(タラでは二つ)、尾鰭は一つ(金魚の人工品種では尾鰭が分かれているものがいる)。


なお、サケ科やハダカイワシ科などの魚類には脂鰭(あぶらびれ)があります。背鰭の後方にあって、鰭条のない膜のような鰭です。



尾鰭
尾鰭は魚の種類によって形が決まっています。ですから尾鰭の形によって魚を分類することができます。また、尾鰭の形を見ると、その魚がどのような生活をしているかがある程度わかります。たとえば二叉形の尾鰭をもつ魚は泳ぎが得意です。円形の尾鰭をもつ魚はあまり泳ぎ回りません。

鰭条
鰭にはスジのような物があります。これを鰭条(きじょう)といいます。鰭条には固い棘条(きょくじょう)と軟条(なんじょう)があります。棘条は触ると固く、先端がとがっています。軟条は弾力性があって、しなやかです。そして、竹のフシのような構造があります。また、多くの軟条は先の方で枝分かれしています。



側扁(左)と縦扁(右)




レンコダイ(染色標本)の背鰭の棘条(左半分)と軟条(右半分)


マアジ(染色標本)の左側の腹鰭、a:1本の棘条、b-f:5本の軟条