魚類学入門


Database for Aquatic-vertebrate Science

体の区分け 魚の体は構造によっていくつかの部分に区分けされます

執筆:松浦啓一



写真提供:藍澤正宏

頭部a-c : 口の先から鰓蓋の後端まで)
人間やイヌやネコを見て、どこが頭だか分からない人はいないでしょう。首が細くなっているので、頭はすぐに区別できます。でも、魚の場合はどうでしょうか。魚の体を口の先から後ろへ見て行くと緩やかな曲線でつながっていて、くびれはありません。ですから、どこまでが頭だか外から見ただけでは分かりにくいのです。もちろん、解剖すれば魚の頭は明瞭に分かります。頭蓋骨はすぐに区別できますから、頭蓋骨の後端が頭の後ろの端だということは誰でも分かります。では、外から見るとどうなるでしょう。多くの魚の場合には、鰓を覆っている骨、すなわち鰓蓋骨(さいがいこつ)の後端が頭の後端とおおよそ一致します。そこで、口の先から鰓蓋骨の後端までを魚類の頭部と定義しています。

吻部a-b : 口の先から眼の前縁まで)
頭部の前部のことです。あまりなじみのない言葉ですが、魚類の専門書や図鑑にはよく出てきます。

胴部c-d : 頭の後端から肛門まで)
体の肛門から前の方で、頭部を除いた部分です。内蔵がこの中に入っています。肛門は臀鰭の前にあります。

尾部d-e : 肛門から尾鰭の付け根まで)
尾部は肛門から後ろの部分なので、ふつう内臓は入っていません。