標本写真の撮影方法


Database for Aquatic-vertebrate Science

標本の準備

執筆:松浦啓一

単に魚を横たえて写真を撮るだけでは研究用資料としては不十分です。体の色を記録するために写真を撮影するとはいえ、お魚さんにはポーズをとってもらわないといけません。お魚といえば、ひれ!私たちが写真をとるときにはピースをするように、ひれをお魚さんに広げてもらいます。そのほうが格好いいし!これを「ひれたて」と呼んでいます。








カメラをコピースタンド(あるいは三脚と水平アーム)を使って水平に固定します。


標本を発泡スチロール板の上において体をまっすぐにのばします。発泡スチロールだと水を通さないことはもちろん、パレットなどと異なり、虫ピンをさすことができるのでとても便利です。


ステンレスの虫ピンで鰭を固定します。鰭膜は破れやすいので細心の注意が必要です。背鰭や臀鰭の場合には鰭の後ろから鰭をひろげると破れにくいです。ひろげた鰭の鰭条のすぐ後ろに虫ピンをさして鰭膜をささえます。鰭が前後に長い場合には、鰭全体をささえるため、数カ所に虫ピンをさした方がいいでしょう。



鰭立て完了。虫ピンがささったままで写真をとるわけにもいかないので次の行程で鰭を固め、虫ピンを抜いて撮影に移ります。鰭の立て忘れには注意しましょう。固めた後、たて忘れに気づいても手遅れです。



鰭を固めるために、鰭全体にホルマリンを筆などで塗ります。数分待ってください。あせりは禁物です。



さあ、虫ピンを抜きましょう。いよいよこの瞬間がやってきました。わくわくする瞬間でもあります。撮影まで気を抜かないで。これで準備は完了です。


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