待 ち ぶ せ る


 獲物が来るのをじっと待っている忍耐心にあふれた魚がいる.ヒラメやマゴチは海底の砂や泥の中で餌を待ちぶせる.相手に気づかれてしまってはまずいので,彼らの体は周囲の海底にとけ込むような色をしている.また,体も平べったいのでよほど注意しないと見つけることはできない.一見,能率の悪い待ちぶせ方式であるが,獲物になる魚が彼らの頭上を通ると,ヒラメやコチは体を思いっきり上に曲げて頭を上げ,大きな口をあいて獲物におそいかかる.

写真:キビレミシマ Uranoscopus japonicus 撮影:野村智之 
 キビレミシマなどのミシマオコゼ類は海底の砂の中に隠れている.目が頭の背中側についていて,いつも上を見上げているので,英語では「天文学者」という.口の中に小さな皮弁があって,これを口から出して小さな餌のようにひらひらと動かして小魚を誘う.


| 第六章 | 追いかける | さぐる | まちぶせる | 吸いこむ | 毒で一撃 | 胃袋攻撃 |
ご質問、またはコメントやご助言は、s-gento@kahaku.go.jpまでメールをいただければ幸いです。
このページは、2000/09/09にアップデートされました。
All Right Reserved Kubodera, 1998