ハネカクシ談話会ニュース No. 1
The Newsletter of the Staphylinidological Society of Japan, No. 1
1997年4月20日発行
The Newsletter of the Staphylinidological Society of Japan
ハネカクシ談話会ニュース No. 1
ハネカクシ上科Staphylinoidea(ハネカクシ,アリヅカムシ,デオキノコム
シ、コケムシ,シデムシ,ツヤシデムシ,チビシデムシ,タマキノコムシ,ム
クゲキノコムシ)の甲虫は,日本列島に5,000種以上が分布していると考えられ、甲虫の中でも最大の分類群を形成しています.このハネカクシ上科甲虫は体が小さく,採集法(主にふるい法)が特異であるために,容易に収集できる仲間ではありません.また,色彩的に地味であること,図鑑による同定・分類が困難なこともあり,国内では同好の志がけっして多くはありませんでした.
というものの,環境問題や自然保護等との絡みもあって,国や県,市町村.
あるいは.同好会や個人とレベルは様々ではありますが,地方の甲虫相の解明
が進むにつれて,ハネカクシ類にも興味をお持ちの方がずいぶん増えて来てい
るようです.同好の志が増えるにつれて.皆で集まって情報交換をやったらど
うかという声が聞かれるようになりました.そこで,ハネカクシ談話会と言う
ような会を開いたらどうかということになり.昨年から半公開的な状況で例会
や採集会を実施してきたしだいです.
具体的にいいますと,ハネカクシ談話会として,昨年,例会(千葉県立中央
博物館:6月23日;参加者15名)を1回、採集会(山梨県道志村三ケ瀬川:
11月16/17日;参加者7名)を1回実施してきました.しかし,これら
の会にご参加されなかった潜在的会員は,現在すでに約50名ほどに上ってい
ます.そこで今年から,談話会を会費制とし,より組織的な談話会にしていき
たく思っています.
1.ハネカクシ談話会の発会
会とニュースの名称,発会日は事務局により次のように決定致しましたので,
まず初めにお知らせ致します.
会の名称:ハネカクシ談話会(はねかくしだんわかい)
会の英文表記:The Staphylinidological Society of Japan
発会日:1997年1月1日
ニュースの名称:ハネカクシ談話会ニュース(はねかくしだんわかいにゅーす)
ニュースの英文表記:The Newsletter of the Staphylinidological Society of Japan
なお,ハネカクシ談話会の活動内容・運営方法については,例会等の際に会
員各位の意見を伺い.できる限り皆様の意見を反映して行きたく思いますが,
現時点で,事務局が考えている1年間の活動および行事は,以下の通りです.
1.ニュース(各ニュースは2〜4ページ)の発行
(1年に3回:概ね1月、4月、8月ごろ発行)
2・例会(年1回:日時はニュースで事前にお知らせします)
3・採集会(年1回:日時はニュースで事前にお知らせします)
ハネカクシ談話会は今年から会費制(前約制)とし,会費として1年に当面
の間・80円切手6枚(480円)をいただくこととします.
そこで・ハネカクシ談話会に入会ご希望の方は、事務局(千葉県立中央博物館,
直海)まで上記の切手6枚を送って頂くようお願い申し上げます.この会費納
入をもって,正式なハネカクシ談話会会員とさせて頂きたく存じます.ニュー
スNo・1は潜在的的会員の方に,発送していますので.できるだけ多くの方が,
正会員になられるよう御願い致します・なお,ニュースNo. 2からは.正会員に
のみ発送することといたします.
1998年の会賛は・本会が会費の前納制をとっているために,今年の年末
までに御支払いください・2年分(1997/1998)の切手を今回同時に,お支払いいただいてももちろん結構です.
また,会計年度を1月1日から12月31日と定めたく思います.そうする
と、今年の1月に発行されていてしかるべきニュースが発行されていないこと
になりますが、今年に限り3回発行のニュース発行日は,変則的になるとお考
えください.(つまり・1月に出すべきニュースを.今年の5月〜12月まで
の間に発行すると言うことです.)
2.ハネカクシ談話会第2回例会/懇親会のご案内
例会日時:1997年6月1日(日曜日):午後2時〜5時
場所:千葉県立中央博物館会議室(入館は業務用入口からお願いします;地図
参照)
交通:中央博へは・JR千葉駅東口正面のバス(7番:大学病院行き;川戸行き
に乗り,中央博前下車(乗車時間約15分)
例会内容:
(1).事務局からの連格
(2)・話題提供:野村周平(科博):日本産シデムシ科のかかえる問題
(3)・話題提供:直海俊一郎(中央博):日本産メダカハネカクシ属メダカハネカクシ亜属のS. comma一種群の紹介
(4).1人1話
(5).自由懇談/情報交換
(当日スライドや資料を用いた話題提供をご希望の方は,事前に事務局までご
連絡ください)
懇親会:例会に引続き・午後6時〜8時まで千葉駅近くで行います.会
費5,000−6,000円程度(まあ,酒でも飲んで盛り上がりましょう!)
宿泊のご案内:地方からおいでの方のために,千葉市の3つのビジネスホ
テルを御紹介たいします.
・千葉ワシントンホテル(千葉駅より歩いて約5分:043−222−4511):1泊8000円(チェックインのときに中央博の紹介と言ってください;8,000円は割引料金との事です!;良好なホテルです)
・ホテルサンシティー千葉(千葉駅より歩いて約3分:043−247−1101):1泊約7,000円
・千葉セントラルホテル(京成千葉中央駅近く/JR千葉駅からは徒歩15分ぐらい:043−227−7000):1泊約6,000円
お願い:例会/懇篤会に参加御希望の方は,参加/不参加のいずれかに
○を付けられ(別紙),5月25日までに事務局(中央博)にご連絡ください.
3.国内ハネカクシミニ情報
(1).茨城の大桃定洋さんから,石垣島のハネカクシを大量に送って頂きまし
た.大変ありがとうございました.これらのハネカクシは自動車に取り付けた
ネットに入ったものということで.ふるい法/ベルレーゼ法で採集できる土壌
性のハネカクシとまったく異なり.へんてこなハネカクシが多くびっくりさせ
られました.例えば,Eupiestus sp.(日本新記録属);Eleusis sp.(日本新
記録種).へんてこなXantholinini sp.(おそらく日本新記録属)などです.
(2).徳島の吉田正隆さん(昨年)と東京の岸本年郎さん(今年)から同定の
ため大量のメダカハネカクシの標本を送って頂きました.ありがとうございま
した.それぞれのコレクションには新種が4種と1種含まれていました.お陰
様で,日本産メダカハネカクシ属は,もうじき200種!に達します.
(3).今年の3月まで.千葉中央博で外研されていた東邦大学の丸山宗利さん
が.クロゲヒメキノコハネカクシ種群 Sepedophilus armatus Sharp;Tachypor
inae)の分類を.卒業論文として完了されました.その結果,日本産のこの種群
は5種に分類されるということが,明らかになりました.論文は,直海との共
著で日本昆虫分類学会誌に投稿される予定です.
(4).この3月まで.愛竣大学農学部昆虫学教室で,ハネカクシの分類を手掛
けていらっしゃた李利珍.趙梅君さん御夫妻が,4月18日中国に帰国されま
した.李さんは学位論文のなかで日本産のLordithonおよびその近縁属(シリホ
ソハネカクシ亜科Tachyporinae)をまとめられました.他方,趙さんは修士論
文においてAstenus属(アリガタハネカクシ属 Paederinae)をまとめられました.
大変お疲れさまでした.李さんは帰国後.天津市にある農業科学院植物保護研
究所に勤められる予定です.今後は,中国のハネカクシ相などの御研究を続け
られるとの事ですが,ご夫妻の研究活動に好運あれ!
4.論文紹介
(1):Revision of the Japanese rove-beetles of the genus Megarthrus(Coleoptera,Staphylinidae,Proteininae).
Giulio Cuccodoro:Revue suisse de Zoologie.103(2):475-524.
日本産ハバビロハネカクシ属地(ハバビロハネカクシ亜科)は,か
つて沢田高乎さんによってまとめられていました(Sawada,1962,Ent.Rev.
Jpn., 15:9-16)・それが・今回の研究で改めて再検討されたことになります.今回の結果によりますと,日本産ハバビロハネカクシ属16種に分類され,そ
のうち5種が新種であると言うことです.ちなみに,M.denticollis(Beck)と,
M. impressicollis Eppelsheimが日本から初めて記録されています.
ハネカクシ談話会ニュースNo.1(1997年4月20日発行)
発行責任者:直海俊一郎
事務局(〒260 千葉市中央区青葉町955−2 千葉県立中央博物館
直海 俊一郎 TEL:043−265−3274)
ハネカクシ談話会幹事(中央博:直海俊一郎);(科博:野付 周平)
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