前に戻る
日本で地震学を始めるのに大きな貢献をした2人の科学者 - ミルンとユーイング
ジョン=ミルン
John MILNE(1850〜1913)

 イギリス(イングランド)出身の鉱山技師で地震学者。工部省で鉱山技術を教えるために1876年に来日しました。1880年の横浜地震を契機にユーイングらと日本地震学会を創設し、地震学という未開拓の分野を切り開きました。以後生涯を通じて地震計の考案をはじめ、地震の現地調査、人工地震の実験に至るまで地震についてのあらゆる方面で活躍しています。1891年(明治24年)の濃尾地震を記録したTHE GREATE EARTHQUAKE IN JAPAN(日本の大地震:下)を刊行して、その被害のようすを世界に伝えました。遠隔地の地震を捉えるための光学式記録の水平振子地震計を考案し、1895年に帰国してからは、イギリス南部のワイト島に地震観測所を作り、世界地震観測網の構築に努めました。


(表紙では“OF JAPAN”となっている)
ジェイムズ=アルフレッド=ユーイング
Sir James Alfred EWING(1855〜1935)

 イギリス(スコットランド)出身の物理学者。東京大学理学部で機械工学を教えるために来日しましたが、後に物理学の講義も行ないました。日本滞在中に物質の磁性の研究を行う傍ら、水平振り子を使った水平動地震計を考案し、さらにバネを使った上下動地震計(グレイ[Thomas GRAY,1850〜1908]の考案)を改良して、地震観測の基礎をつくりました。帰国後は地震学から離れて物理学・機械工学の研究に戻り、スコットランドのカレッジの教授、ケンブリッジ大学の教授を歴任し、最後はエディンバラ大学の副学長を務めています。


ユーイングの水平振り子(明治期のもの)