Galling 虫こぶ
単なる傷とは異なり、虫こぶは形成者の影響のもとで新たに作られる植物の構造です。産卵や摂食の際に昆虫が放出する化学的シグナルが植物の発生過程を変化させ、その結果、幼虫を保護し、栄養を供給する特殊な組織が形成されます。 虫こぶは、葉・茎・芽・根などさまざまな部位に生じ、多様な形態を示します。現生では、葉にできる小さな膨らみや水ぶくれ状のものから、大型で目立つものまで存在します。たとえば、イスノキ(Distylium racemosum)にアブラムシが誘導する木質化した大型の虫えいは、果実と見紛うほどの大きさと形をもつことがあります。葉の虫こぶも、球状、紡錘形、角状、袋状など形態はさまざまで、葉脈上、葉縁、葉身中央など形成位置にも違いがあります。 虫こぶを形成する昆虫には、タマバチ類(Cynipidae)、タマバエ類(Cecidomyiidae)、一部のアブラムシ類、キジラミ類、ガ類などが含まれます。多くの虫こぶ形成種は強い寄主特異性を示し、特定の植物種や属に限定されることが一般的です。 化石記録では、虫こぶは局所的な膨らみ、組織の肥厚、あるいは葉や茎内部の特異な空洞構造として保存されます。その形状や内部構造、特定の植物部位への規則的な形成位置は、形成者の系統を推定する手がかりとなります。虫こぶ形成は植物の発生過程を高度に改変する相互作用であるため、現生・化石のいずれにおいても、最も特異性の高い植物–昆虫相互作用の一つとされています。

