ウラジロ
Gleichenia japonica Spring
ウラジロ科 シダ植物
分布 新潟県・福島県以南
高さ2m

葉の裏が白いのでこの名前がついた。葉は冬も枯れず、先の部分に芽ができて、何年ものび続ける変わった性質がある。土のなかに長くのびる固い針金のような地下茎があって、そこから垂直に葉をのばす。葉には1本の軸があり、軸から対になった葉の部分(羽片)が2〜4段くらい出る。春に、葉の一番先の羽片のつけ根に当たる軸の芽がのび出す。芽ははじめ、時計のゼンマイのように巻いているが、やがて、大きくのびて、1対の新しい羽片を開く。原始的な大きなシダで約3億年前の化石がある。

日本だけでなく、インドやインドシナの熱帯まである。低い山の日当たりのよい、乾燥したところに、たくさん集まって茂る。南ほど多く茂るので、東京より南では、ふつうのシダ。ひとつの丘の緑が全部ウラジロというところもある。

正月に鏡もちやしめ縄と一緒に飾る。直径5mmもある太くて固い葉の柄でカゴを編んだり、食事に使うはしをつくる。春にのびた葉は生け花の材料となる。暖かい地方では、昔から人々に親しまれ、シダといえば、ウラジロをさすことがある。また、たんにヤマクサという地方もある。林業家は、ウラジロの生えている山は土がかわいているので、乾燥地を好むアカマツにはよいが、湿った土地に生えるスギの植林にはよくないと判断する。

葉の裏の白い部分にはワックスがたまっているが、マッチの炎を近ずけるとそれがとけて葉は緑色となる。このことが、子供の遊びとされる。

小型で羽片のつきかたのちがうコシダは、ウラジロと同じような分布をする。九州に少しだけ見られるカネコシダは、ウラジロに似ているが、葉の裏が白くない。